【授業の目的】
本講義では、光励起された物質の緩和ダイナミクスについて学習する。 光によって生成された電子励起状態は、物質内部でのさまざまな緩和過程を経て基底状態に戻るが、物質によっては発光・化学反応・結晶構造の変化・過渡的相転移などの現象が誘起される場合があることが知られている。こうした過渡的な現象を理解するために必要な理論の基礎を、実例を交えながら身に着ける。
【授業の到達目標】
(1)光物性の基礎を理解する。(2)光励起状態の緩和過程の基礎を理解する。(3)発光現象の基礎を理解する。(4)多様な物質・現象における緩和過程の共通の要素について十分な素養を身に着ける。
【授業概要(キーワード)】
光物性、励起状態、緩和過程、電子・格子相互作用、非断熱ダイナミクス
【科目の位置付け】
凝縮系物理学において光物性は大きなトピックの一つである。結晶構造・バンド構造などの基底状態物性を学んだ後に励起状態が関与する物性の基礎を学ぶことにより、物性物理学における光物性研究の位置づけ・有用性についての素養を身に着ける。
【授業計画】
・授業の方法
板書を中心に講義を進める。レポートの課題を兼ねた演習問題を出題し、「手を動かす」ことを通じて理解を深める。
・日程
1. 光と物質の相互作用と電子系の励起状態 2. 電子・格子相互作用と相互作用モード 3. 断熱近似とランク・コンドン原理 4. 励起状態緩和ダイナミクスの基礎 5. 色素分子における量子核波束の運動 6. 蛍光体材料における発光現象 7. 光誘起核形成ダイナミクス 8. まとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
量子力学および固体物理学の基礎を履修していることが必須
・授業時間外学習へのアドバイス
講義後にレポート問題を積極的に解くようにしてください。
【成績の評価】
・基準
(1)光物性の基礎を理解する。(2)光励起状態の緩和過程の基礎を理解する。(3)発光現象の基礎を理解する。(4)多様な物質・現象における緩和過程の共通の要素について十分な素養を身に着けているかどうか。
・方法
履修目標の達成度を勘案しつつ、レポート提出により成績を評価する。
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