物質のマクロな変化の法則を学ぶ化学熱力学の基礎を勉強します。熱力学第1、第2、第3法則からは熱力学の体系は出てこないので、エントロピーの性質を中心として熱力学関数相互の関係を学ぶことで、教科書に出てくる法則や公式の関連性を明らかにします。

完全な熱力学関数と状態方程式の関係を説明できるようになる。
起こりうる自然現象に対してどのような熱力学的な制限があるかを知る。
熱力学関数の相互の関係を説明できるようになる。
測定可能な量と熱力学関数の関係を説明できるようになる。

物理化学、物質の状態、気体、熱力学

化学の体系のうちの化学熱力学を学ぶことで、主要な化学概念を修得し化学的事象を体系的に理解できる基礎を身に付ける。（学習・教育の到達目標E）

講義形式で進めます。必要に応じてレポートのための演習課題を出します。

１．熱力学の基本的要請と示量変数
２．熱力学の基本的要請と示量変数（つづき）
３．熱平衡、基本方程式の１次微分と２次微分
４．エントロピーの凸性、熱の移動、最大仕事、カルノーサイクル
５．ルジャンドル変換、ヘルムホルツエネルギー、エンタルピー、ギブスエネルギー
６．Maxwellの関係式
７．仕事の計算、熱容量（教科書１４章）
８．断熱変化、熱化学、１４章問題演習
９．ジュール・トムソン効果、１４章問題演習
１０．エントロピーの測定、変化、効率、熱力学第三法則、１４章問題演習
１１．標準反応ギブズエネルギー、電気化学との接続
１２．定積熱容量と定圧熱容量
１３．１５章問題演習、気体分子運動論（１８章）
１４．１８章問題演習
１５．試験とまとめ

板書により講義を進めます。
後半は毎回教科書の問題をレポート課題として出します。講義時間中に順番に黒板で回答を説明してもらいますので、自分でしっかり解くこと。ほぼ同じ問題を期末試験で出します。

講義で説明する順番はテキストの通りではありません。テキストのどこに何が書いてあるか把握する程度には目を通しておいてください。その日のうちにノートを見直してください。また、テキストの該当箇所と照らし合わせて知識の整理をしてください。レポート課題は毎回提出し、課題の問題についてはランダムに見せられた場合でも何も見ないで問題が解けるところまで自分で手を動かして練習してください。

化学における物理の重要性を認識し物理化学の基礎的内容を理解しているか、基礎的概念を応用して諸事象を論理的に考察できるか、などを成績評価の基準とします。教科書の例題や章末問題程度の問題が解ければ合格とします。

期末試験の得点で判断する（原則）。期末試験の結果によっては追試や追加でレポートを課すことがある（例外）。もし、追試・レポート課題による評価を行うことになった場合は、追試・レポートで合格した人の得点はすべて60点とする。

テキスト：アトキンス 基礎物理化学 分子論的アプローチ 下 東京化学同人

高校の微積分は必須で、基礎化学演習Iで修得していることを前提として講義します。理解を深めてもらうために適宜レポートを出す予定ですが、他人のレポートを写さないようにしてください。自分でわかるまで考えるという努力を省略すると、その場は取り繕えても、試験でほぼ確実に不合格になります。
毎年、追試をすることになってしまったため、学生の中には追試があることを前提にに考える人がいるようですが、あくまでも追試は例外措置であることを忘れないように。
なお、改組に伴うカリキュラム変更により、試験方法等は来年度から大きく変わる予定です。再履修となった場合、同内容の別科目で読み替える可能性もあります。できるだけ今年年度で合格するようにしてください。