無機化学Ⅱ
 Inorganic Chemistry II
 担当教員:栗原 正人(KURIHARA Masato)
 担当教員の所属:理学部物質生命化学科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:物質生命化学科  科目区分:必修科目 
【授業の目的】
配位化合物のd電子が関わる諸性質(構造と反応性)を学習する。
金属イオンは、そのまわりにイオンや中性分子を規則的に配列させる性質があります。既に、高校時代でも、銅や銀イオンのまわりにアンモニア(中性分子)が結合した化合物(配位化合物)を学んでいます。このような配位化合物(錯体)群には、天然にも、人工的にも膨大な数が存在し、今や、無機・有機・生物など広い分野で利用される題材となっています。ここでは、その配位化合物の歴史的背景、その成り立ち(結合と構造)、命名法、電子状態と色(吸収スペクトル)、その反応性など、配位化合物の性質を理解する上で、必ず、習得しなければならない基礎的な事項を学習しま
す。

【授業の到達目標】
この授業は、自然科学、特に無機化学分野における基本的な知識を身につけることを目的とします。具体的には、遷移金属イオンの中でも、d電子が関わる諸性質について配位化合物を題材に、その典型的な構造や色の由来、反応性などを、結晶場から配位子場理論・軌道相互作用を通じて理解
し、適切に説明できるようになることを到達目標とします。

【授業概要(キーワード)】
配位化合物、d電子、d軌道、錯体

【科目の位置付け】
この授業は、無機化学についての深い知識を修得し、自己の中に体系化することにより、幅広い視野と探究心を身につけるものです(理学部ディプロマ・ポリシー)。そのため、無機化学I、無機化学III、無機化学演習、化学実験IIIと相互に連携した総合的な授業の位置づけです。

【授業計画】
・授業の方法
テキストの精読を中心に講義を進めます。補足のプリントを配布して説明します。教員からの一方通行の授業でなく、適宜、質疑応答を含めて授業を進めます。
・日程
第1回目 配位化合物(錯体)の歴史と錯体の構造
第2~4回目 錯体の配位数と構造、錯体の命名法、錯体の異性現象
第5回目 錯体の結合と結晶場によるd軌道分裂
第6回目 錯体のスピン状態と結晶場安定化
第7回目 結晶場の正方歪み
第8回目 第1~7回目の授業の試験(中間試験)とまとめ
第9回目 配位子場の理論と錯体の色(電子スペクトル)
第10回目 π供与・逆供与結合と分光化学系列
第11回目 電荷移動遷移と錯体の反応(キレート効果)
第12回目 錯体の反応(置換活性・不活性錯体とその置換反応機構)
第13回目 白金錯体のトランス効果
第14回目 電子移動反応
第15回目 第9~14回目の授業の試験(期末試験)とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
教科書を購入し、本文に線を引くなどして活用する。板書した内容を整理してノートに筆記しその理解に努める。
・授業時間外学習へのアドバイス
回を重ねるごとに知識の連携が必要になります。教科書の該当箇所を自分で探して関連づけることを勧めます。化学実験IIIと本授業内容にいても自分で関連づけることを勧めます。

【成績の評価】
・基準
遷移金属イオンの中でも、d電子が関わる基本的な性質(配位化合物の典型的な構造や色の由来、結合、反応性など)が、結晶場から配位子場理論・軌道相互作用を通じて理解し、適切に説明できることを合格の基準とします。
・方法
中間試験50点+期末試験50点

【テキスト・参考書】
テキスト:「基本無機化学」(第3版、荻野・飛田・岡崎著、東京化学同人)

【その他】
・学生へのメッセージ
講義と化学実験を通じて、配位化合物への一層の理解が深まることを期待しています。
・オフィス・アワー
基本的にいつでもいます。居室(205)に来てください。

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