無機化学Ⅲ
 Inorganic Chemistry III
 担当教員:栗原 正人(KURIHARA Masato),崎山 博史(SAKIYAMA Hiroshi)
 担当教員の所属:理学部物質生命化学科
 開講学年:3年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
無機化学I、及びIIで既に学習した基礎的知識を発展させ、サブテーマ(1)「無機化学と有機化学」とサブテーマ(2)「無機化学と生体化学」が融合した化学分野について幅広く学習します。(1)では、有機金属錯体の電子構造についてその基礎を習得し、典型的な反応を例にしてその機能について発展的に学習します。(2)では、生体内の金属元素の役割についてその基礎を習得し、金属酵素や金属タンパク質の活性中心の構造と機能について学習します。

【授業の到達目標】
サブテーマ(1)では、有機金属錯体の構造を遷移金属イオンのd軌道と配位子の軌道の重なりから理解し、有機金属錯体とウェルナー型錯体の電子構造の違いを明確にすることで、有機金属錯体の反応性を適切に説明できるようになることを到達目標とします。サブテーマ(2)では、生体内での金属元素の働きを理解し、金属酵素や金属タンパク質の構造と働きについて説明できるようになることを到達目標とします。

【授業概要(キーワード)】
有機金属錯体、π酸性配位子、18電子則、配位不飽和、金属酵素、金属タンパク質

【科目の位置付け】
この授業は、無機化学と有機化学や生体化学が融合した化学分野について、その深い知識を修得し、自己の中に体系化することにより、幅広い視野と探求心を身に着けるものです(理学部ディプロマポリシー)。

【授業計画】
・授業の方法
テキストの精読や必要に応じて適宜配布したプリントを使った説明を通じて講義形式で進めます。教員からの一方通行の授業でなく、適宜、学生に向けての質疑応答を求めることがあります。
・日程
第1回 有機金属化合物と18電子則
第2回 有機金属化合物の電子構造とウェルナー型錯体との違い
第3回 配位子の供与電子数と配位構造
第4回 エチレン錯体、シクロペンタジエン錯体
第5回 水素分子の結合と酸化的付加・還元的脱離反応
第6回 水素脱離反応と光反応
第7回 触媒反応
第8回 第1~7回の授業に関する到達度試験とまとめ
第9回 生体における金属元素の役割
第10回 金属タンパク質による酸素運搬
第11回 金属酵素による活性酸素の消去
第12回 植物の酸素発生
第13回 金属酵素による水素発生と窒素固定
第14回 金属酵素による加水分解と酸素添加反応
第15回 第9~14回の授業に関する到達度試験とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
テキスト等に線を引くなどして活用すること。口頭及び板書した内容を整理してノートに筆記しその理解に努めること。質疑応答に積極的に参加すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
次回の講義までに、テキスト・配布物・講義ノートを活用して必ず復習をすること。適宜、テキストや、参考書による検索も含めて、予習をしておくことを勧めます。

【成績の評価】
・基準
サブテーマ(1)では、有機金属錯体の構造を遷移金属イオンのd軌道と配位子の軌道の重なりから理解し、有機金属錯体とウェルナー型錯体の電子構造の違い、有機金属錯体の反応性を適切に説明できていることを合格の基準とします。サブテーマ(2)では、生体内の金属元素の働きについて理解するとともに、金属酵素や金属タンパク質の活性中心の構造と機能を理解し、適切に説明できることを合格の基準とします。
・方法
サブテーマ(1)とサブテーマ(2)の到達度試験をそれぞれ50点の合計100点で評価します。

【テキスト・参考書】
サブテーマ(1):「基礎無機化学」(無機化学I、IIで使用した第2または3版)(荻野・飛田・岡崎 著:東京化学同人)
サブテーマ(2):参考書「基礎無機化学」(荻野・飛田・岡崎 著:東京化学同人)、「生物無機化学-金属元素と生命の関わり-」(増田・福住 編著:三共出版)

【その他】
・学生へのメッセージ
他の無機化学系の授業(無機化学I、II、無機化学演習、化学実験III)を含めて、体系的・発展的な理解ができるようになることが重要です。
・オフィス・アワー
栗原:特に特定の時間帯は定めません。可能な限り随時対応します。居室(205)に来てください。
崎山:月~金、9~18時。居室(206)に来てください。

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