【授業の目的】
この講義では、現在知られている結晶構造と、それを決定するための実験的手段について解説します。また、熱力学的な平衡と結晶相との関係、化学平衡、相転移、典型的な相図についても学びます。さらに、分光測定法の物理化学的基礎について学びます。
【授業の到達目標】
構造化学の概略と実験的手法について説明できること、および物理平衡や化学平衡に関する熱力学的な考察力を身につけること、分子の振動・回転スペクトルの量子力学的取扱いについて理解することを目標とします。
【授業概要(キーワード)】
物理化学、構造化学、平衡、相転移、量子化学、分光
【科目の位置付け】
この授業は、理学についての深い知識を修得し、自己の中に体系化することにより、幅広い視野と探究心を身につけることを目的とします。(理学部ディプロマ・ポリシー)
【授業計画】
・授業の方法
講義形式で授業を進めます。適宜、理解度アップを目的とした演習を行います。
・日程
第1回:結晶学(対称性と結晶構造) 第2回:結晶学(回折実験の原理) 第3回:結晶学(粒子線回折実験(X線、中性子線)) 第4回:結晶学(乱れた結晶、非晶質の構造) 第5回:物理平衡と化学平衡 第6回:相転移と相平衡 第7回:構造化学、平衡に関する総括 第8回:水素原子の波動関数(準備) 第9回:水素原子の波動関数(解法) 第10回:スピン系の取扱い 第11回:NMRの基礎 第12回:回転スペクトル 第13回:振動スペクトル 第14回:水素分子イオン 第15回:量子力学と分光に関する総括
【学習の方法】
・受講のあり方
板書により講義を進めます。その内容のみをただ単純にノートするのではなく、講義中の話をよく聞いて、乱雑でよいからノートに書き加えるように心掛けてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
あらかじめテキストの該当箇所を一度読んでおくだけで、授業での理解度に違いが出ます。乱雑にメモしたノートをもとに、その日のうちに少し内容を整理するだけで、理解度アップにつながります。それをしないと、講義で聞いた内容を忘れてしまいます。テキストの該当箇所を理解できるまで繰り返し読むことも重要です。
【成績の評価】
・基準
結晶構造学の基礎的内容を理解し説明できること、熱力学的基礎概念を応用して諸事象を論理的に考察できること、分光の基礎と量子力学との関連について理解していることを成績評価の基準とします。
・方法
以下のような複数の演習作業の結果から、総合的に成績を評価します。 理解度確認演習(20点)、総括時の確認テスト(80点)
【テキスト・参考書】
テキスト:アトキンス著「基礎物理化学 分子論的アプローチ」上・下巻 (東京化学同人) 参考書:授業中に適宜紹介します。
【その他】
・学生へのメッセージ
全く新しい物質を合成したとき本当に目指したものが出来ているか、特異な機能がなぜ出現するのかを解明したいといった時に、構造解析で得られる情報が大変に重要になります。また、物理化学平衡や量子化学的な概念も、物質の示す諸事象を理論的に考察するときなど、様々なところで威力を発揮します。いずれも物質生命化学科の皆さんに知ってもらいたい大切な学問分野です。
・オフィス・アワー
各教員に適宜相談してください。
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