生きものには生化学的に共通な性質がある。細胞外から物質を選択的に取り込み、生体分子を合成し、エネルギーを獲得し、細胞機能を駆動し、不要な物質を細胞外に排出する。いわゆる代謝である。細胞内ではたくさんの種類の酵素が連携して「システム」として一連の代謝を制御している。本講義では、「代謝」をキーワードとし、個々の酵素反応ではなく、細胞機能の制御システムを理解することを目的とする。

細胞を構成する物質（核酸、アミノ酸、脂質、糖）の合成と分解過程を理解する
生命のエネルギー獲得の仕組みを理解する
細胞機能を制御する生体システムを理解する

代謝、呼吸鎖、光合成、物質輸送

生きものにおける代謝などの細胞システムについて“専門知識を身につける”。特に生体分子の物性から細胞内の化学反応を理解することで、物質生命化学科の特徴の一つである化学と生物学の“境界領域で卓越した能力を発揮するための力”をつける。（理学部物質生命化学科の学習・教育の到達目標）

教科書を中心に配布資料を含めて講義を進める。この講義ではアクティブラーニングを採用します。

下記の内容について講義します。
第１回：講義の概要説明　
第２回：生体エネルギーについて　
第３回：生体内における酸化還元反応　
第４〜５回：解糖の反応
第６回：クエン酸サイクル　
第７回：　中間試験とその解説　
第８〜９回：ミトコンドリアにおける電子伝達　
第１０回：葉緑体（クロロプラスト）　
第１１〜１２回：明反応と暗反応　
第１３回：脂質代謝　
第１４回：アミノ酸代謝　
第１５回：期末試験とその解説

教科書を中心に配布資料を含めて講義を進める。単純に受講するだけでなく、課題/演習に対し自ら取り組み、より深く「代謝」を理解することを目指します。この講義を理解するために物質名、反応名などを覚える必要はなく、科学的に“面白い”ことを講義中に見つけてください。自ら疑問を見つけ、それについて調べる姿勢を重視します。

「代謝」は日常生活（食品、医薬品など）の様々な場面に関連します。講義内容や教科書の内容を理解した上で、自ら興味を持った点を調べると、より深い理解につながります。

講義内容の理解度および演習等に主体的に取り組む姿勢をもって評価します。

中間試験（３０％）と期末試験（３０％）および演習/レポート（４０％）の得点に基づき総合的に評価します。

「ヴォート基礎生化学」と講義中に配布する資料

本年度から始まる新しい講義内容です。個々の酵素は、１つの反応を触媒しますが、細胞内ではそれら酵素が連携し、システムとして、細胞機能を制御しています。その生きもののシステムの面白さを伝えられる講義したいと思っています。

研究室（理学部2号館 2F 203)に在室時であればいつでも、質問に来て良いです。