化学実験Ⅲ
 Practical Chemistry III
 担当教員:栗原 正人(KURIHARA Masato),崎山 博史(SAKIYAMA Hiroshi) ,金井塚 勝彦(KANAIZUKA Katsuhiko)
 担当教員の所属:理学部物質生命化学科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:実験
 開講対象:物質生命化学科  科目区分:必修科目 
【授業の目的】
遷移金属錯体に関する実験を行う。主に水溶液中で合成できる遷移金属錯体を取り上げ、その合成、性質、反応、解析を通じ、実験器具や機器の取り扱い・操作法の習熟を図る。また、班毎に課題を与え発表会を実施、遷移金属錯体の合成・性質・反応の理解を深めると同時にプレゼンテーション能力の向上も図る。

【授業の到達目標】
専門分野の授業等において修得した知識と思考方法に従って、実際に実験で与えられた課題を解決し、その結果を表現する能力と課題解決に対して共同で取り組めるコミュニケーション能力を身につける。また、基本的な実験器具・機器の取り扱いやその操作法を身につけ、遷移金属錯体の合成手法、反応・性質を理解する。

【授業概要(キーワード)】
無機化学、錯体化学、化学実験

【科目の位置付け】
無機化学についての深い知識を修得し、自己の中に体系化することにより、幅広い視野と探究心を身につけるものです(理学部ディプロマ・ポリシー)。そのため、無機化学I、II、機能性無機化学、生体無機化学、無機・分析化学演習と相互に連携した総合的な位置づけです。

【授業計画】
・授業の方法
班単位(項目によって2人組、4人組に分かれます)で遷移金属錯体の合成・反応と解析を共同で行います。班毎に課題を与え、学生を主体とする発表会(実験結果と考察)を実施します。合成したサンプルの提出を求め、その際、必要に応じて質疑応答を行います。
・日程
第1部(担当:栗原、金井塚)
第1回目 ガイダンス
第2~9回目
・硫酸銅の精製、遷移金属錯体の合成。合成する錯体:ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物、ペンタアンミンクロロコバルト(III)塩化物、ペンタアンミンアクアコバルト(III)塩化物、trans-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物、cis-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物、トリス(オキサラト)鉄(III)酸カリウム三水和物、ビス(アセチルアセトナト)銅(II)
・合成した遷移金属錯体の性質。 主な解析:硫酸銅結晶の熱重量分析、XRD測定、コバルト錯体の吸収スペクトル測定、鉄オキサラト錯体光分解、錯体のFT-IRスペクトル測定、結晶の電子顕微鏡観察
・レポートの書き方の説明、合成サンプルの提出
第10回目 学生を主体とする発表会
第2部(担当:崎山)
第11回目 ガイダンス
第12~15回
・金属錯体による生体関連反応(コバルト錯体による酸素吸収、金属錯体と過酸化水素との反応など)、錯体合成(ニッケル(II)錯体、コバルト(II)錯体、亜鉛(II)錯体)、サンプル提出

【学習の方法】
・受講のあり方
実験テキストを使い、実験計画(班単位で)を予め纏めておく。実験ノートに従って実験を進め、観察事項、結果などを正確に記入する。実験にふさわしい服装で臨むこと。尚、第1部、実験テキストの持ち込みは不可。
・授業時間外学習へのアドバイス
実験テキストに関連した内容について事前調査(反応式、錯体の構造、性質など)を行う。調査結果は実験ノートに前もって記入、観察結果と比較できるようにする。実験毎に、実験ノートの整理、レポート作成に向けた結果の整理を行うこと。

【成績の評価】
・基準
専門分野の授業等で修得した知識と思考方法に従い実際に実験で与えられた課題を解決し、結果をレポート、実験ノート、質疑応答で適切に説明できていること、その課題解決に対して共同で取り組めるコミュニケーション能力を発表会で適切に表現できていることを合格の基準といます。
・方法
レポート65点、実験ノート15点、発表・質疑応答・サンプル提出10点、平常点10点

【テキスト・参考書】
テキスト:配付します。参考書:「基礎無機化学」 F. A. コットン,G. ウイルキンソン,P. L. ガウス著 培風館、「基本無機化学」 荻野 博 他著 東京化学同人

【その他】
・学生へのメッセージ
実験と講義を結びつけることで、一層の理解の向上ができることを願っています。
・オフィス・アワー
各教員の関連しているシラバスを参照して下さい。

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