化学実験Ⅴ
 Practical Chemistry V
 担当教員:天羽 優子(AMO Yuko),亀田 恭男(KAMEDA Yasuo),臼杵 毅(USUKI Takeshi)
 担当教員の所属:理学部物質生命化学科
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:実験
 開講対象:物質生命化学科  科目区分:必修科目 
【授業の目的】
物理化学分野における基礎的かつ重要な実験テーマについて実習する。
現代における科学技術の急速な発展を支えてきたものは、物質の基本的な性質を解明しようとする多くの基礎研究から得られた実験事実の積み重ねであろう。化学実験Vでは、物質多様な性質や機能が、それらを構成する原子や分子の結合様式あるいは構造とどのように結び付けられるのかを、実際の実験を通して学ぼうとするものである。

【授業の到達目標】
実験を通して、物理化学の基礎を理解することを目標とする。また、立派な実験結果が得られても、その解析方法が貧弱では意味のある結論を得ることはできない。本実験では、実験データの正しい解析方法や結果のまとめ方について修得することも目標の1つとする。

【授業概要(キーワード)】
化学実験、物理化学

【科目の位置付け】
物理化学に関連した基本的な実験を行うことで、基礎的実験技術を修得する。(学習・教育目標F)

【授業計画】
・授業の方法
少人数グループ実験
・日程
<テーマ>
全員が行うテーマ:プログラミング、X線回折、ラマンスペクトル、ガラス細工
班による選択テーマ:凝固点降下、反応エンタルピー、分配係数、一時反応の速度係数、状態図、赤外吸収スペクトル
<実習内容の説明> 「反応エンタルピー」「状態図」「分配係数」「一時反応の速度係数」の測定を通して熱力学の基礎的概念を学ぶ。また、「凝固点降下」の測定から理想溶液の振る舞いについて、「X線回折」、「ラマンスペクトル」の解析から原子・分子構造の特性を学ぶ。「吸収スペクトル」の測定を通して電子状態の定量的な解釈に触れる。その他、実験技術として大切な「ガラス細工」や「プログラミング」実習も行う。

【学習の方法】
・受講のあり方
実習中は、常に様々なことをノートに記録すること。測定データはもちろんのこと、わずかな変化や失敗例、気づいたこと、など、とにかく実験ノートをメモ代わりに活用すること。また、特定の学生のみに実習を任せるようなことは、最終的には自分にとってマイナスになる。積極的に実習に参加すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
あらかじめ実習内容を十分に予習し実験ノートにまとめること。実習当日に初めて内容を把握することからはじめるようでは、円滑な実習が行えない。
その日のうちに実習データの整理を行うこと。1日おくと細かな内容を忘れてしまう。実習の映像・感触がまだ残っているうちに、整理すべきである。レポートの作成は、その整理作業とは別ものである。整理作業を経ないでレポートを作成しても、内容の薄いレポートとなるので、必然的に評価は低くなる。

【成績の評価】
・基準
それぞれの実習内容について、基礎的内容を理解しているか、基礎的概念を応用して諸事象を論理的に考察できるか、実験データの適切な処理が行えているか、考察ができているか、を成績評価の基準とする。
・方法
各実験テーマ毎にレポートを提出。レポートは1通100点満点とし、実験内容と結果・考察が書かれているかについて採点する。
実験ノートのチェックを行い、予習と実験中の記載状況を三段階で評価し、評価が低い場合は減点対象とする。
レポートの点数の平均にノート評価を加えて成績とする。
なお、1テーマでも未提出のレポートがあると単位は出せません。

【テキスト・参考書】
テキスト:千原秀昭 編、「物理化学実験法」第4版(東京化学同人)
これ以外に、テキストとなるプリントを配付します。

【その他】
・学生へのメッセージ
パソコンを使ってグラフを描く場合は、お作法にのっとっていない場合は再提出、あるいは大幅減点です。
特に、Microsoft Excelで作ったグラフは、そのままでは化学のレポートに使えるものではない。
どのようなグラフを作るべきかについては、配付プリントに記載するので、きちんと守ること。

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