形態形成論II
 Theory of Morphogenesis Ⅱ
 担当教員:菱沼 佑(HISHINUMA Tasuku)
 担当教員の所属:理学部生物学科
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:生物学科  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
植物の形づくりには遺伝的要因に加え、さまざまな環境的要因による影響がある。このため、植物の発生や形態形成についての部分的な理解はあっても、全体をとおしての概要の理解は必ずしも十分とはいえない。本講義では、細胞から器官さらに個体レベルに至るまでの問題の中から、とくに重要と思われる細胞壁や細胞極性、細胞の伸長などの事項を整理して、植物細胞の形態形成、それと植物個体の形づくりとの関係に焦点をしぼり解説するとともに、問題点を考える。

【授業の到達目標】
(1)植物の形態形成に関する基本的用語を理解し、説明することができる。
(2)植物の成長生理学を理解する上で重要な細胞壁の構造、特徴について説明できる。
(3)成長制御のしくみについて、細胞壁の構成成分や関係する酵素、あるいは細胞骨格との関係、植物ホルモンとの関係などと関連させて、具体的に述べることができる。
(4)植物の細胞分裂を、細胞骨格の配列と関連させて述べるとができる。

【授業概要(キーワード)】
細胞極性、細胞分化、細胞伸長、細胞分裂、細胞骨格

【科目の位置付け】
この講義は専門分野における知識の修得を目的(理学部カリキュラム・ポリシー)として、細胞生理学や植物生理学で学習した内容をもとに、さらに植物生理学分野の知識を深めていく内容となっており、事前にそれらの教科を学習しておくことが望ましい。

【授業計画】
・授業の方法
教科書は使わず、適宜資料を配布し、それとパワーポイントを用いて講義を行う。
・日程
1. 授業ガイダンス
2-3. 細胞骨格の基礎
4-5. 植物の形態形成の特徴
6-8. 植物の細胞極性
9-12. 細胞壁と細胞伸長
13-14. 植物の細胞分裂
15. 植物の形態形成のまとめとテスト

【学習の方法】
・受講のあり方
事前に,植物生理学や細胞生理学の授業で得た知識を整理しておく。講義内容は、配付資料と関連づけながら理解する。
・授業時間外学習へのアドバイス
配付資料に事前に目を通し、基礎的用語や内容について調べておく。復習にあたっては、授業内容を配付資料やノートをもとに整理するととも
に、理解不十分な点や疑問点などがある場合は、参考書等で調べたり、あるいは授業にて質問する。また、各自の興味に応じて、自主的に参考書や文献にあたり、より専門的な内容について深める。

【成績の評価】
・基準
細胞壁の構造やその特性について、説明できる。細胞成長には、伸長方向を制御するしくみと成長速度を制御するしくみがあることを理解してい
る。 細胞壁合成のしくみを概説できる。植物の細胞分裂機構を、細胞骨格や膜輸送と関連させて説明できる。これらが一通りできれば合格とする。
・方法
小テストを40点、期末試験を60点として、合計100点満点で評価する。出席が2/3に満たないものについては評価しない。

【テキスト・参考書】
テキストはとくに用いない。
参考書として下記に4つをあげるが、事前に購入する必要はない。その他の参考書についても講義の際、適宜指示する。
1.成長と分化(朝倉植物生理学講座:4). 福田裕穂編. 朝倉書(2001)
2.植物生理学. Hans Mohr, Peter Schopfer著/網野真一, 駒嶺穆監訳. シュプリンガー・フェアラーク東京(1998)
3.植物生理学第3版.L.テイツ,E.ザイガー編/西谷和彦・島崎研一郎 監訳.培風館(2004)
4.新・生命科学シリーズ 植物の成長.西谷和彦 著.裳華房 (2011)

【その他】
・学生へのメッセージ
細胞生理学や植物生理学を学んだ上で受講すると、理解しやすいです。
・オフィス・アワー
火曜日16:00-17:00

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