地球物質科学実験
 Earth Material Science Practice
 担当教員:湯口 貴史 (YUGUCHI Takashi)
 担当教員の所属:理学部地球環境学科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:1単位  開講形態:実験
 開講対象:地球環境学科  科目区分:必修科目 
【授業の目的】
固体地球を構成する物質の基本単位は“鉱物”である.地球には4000種を超える鉱物があり,鉱物が集まって岩石を形成している.これらの岩石や鉱物の特性の理解は,地球の発達・進化の解明をもたらすことを可能にする.この授業では,偏光顕微鏡を利用し,主要な造岩鉱物を鑑定・記載する能力を身につける.

【授業の到達目標】
本実験を通じて以下の達成を目指す.1)偏光顕微鏡の使用に関する基礎知識を身につける. 2)基本的な造岩鉱物の光学的特徴を理解する.3)主要な造岩鉱物を記載・鑑定する知識を身につける.4)偏光顕微鏡観察で得た鉱物の情報から,岩石試料の形成過程を推定する方法を身につける.

【授業概要(キーワード)】
造岩鉱物,岩石記載,偏光顕微鏡

【科目の位置付け】
理学部のカリキュラムポリシー2およびディプロマポリシー2に対応する科目です.本科目は地球物質科学IおよびIIに密接に関連し,地球環境学科の学習・教育目標D-1,H,Iに深く関与します。

【授業計画】
・授業の方法
①授業1コマの前半で講義を行い,後半でその講義内容に基づいた偏光顕微鏡実習を行います.
②第1回から第6回までで実施する結晶光学理論に関する中間試験を実施します.
③授業時間外学習として,1人1枚薄片を作製します.
④『作成した薄片における岩石記載,それに基づいた岩石名決定,形成過程の推定』という課題で期末試験を実施します.
・日程
1.ガイダンス,導入:偏光顕微鏡とは何か?
2.結晶光学理論(1):(実験)ポーラライザーとアナライザーの調整
3.結晶光学理論(2):(実験)長さ・角度の測定,屈折率の観察
4.結晶光学理論(3):(実験)レターデーションの観察
5.結晶光学理論(4):(実験)コノスコープ像の観察
6.結晶光学理論(5):(実験)角閃石の多色性の決定
7.中間まとめ及び試験:結晶光学理論の筆記試験
8.試験解説,薄片作成方法
9.造岩鉱物の観察(1):(実験)シリカ鉱物・斜長石の記載・スケッチ
10.造岩鉱物の観察(2):(実験)カリ長石の記載・スケッチ
11.造岩鉱物の観察(3):(実験)カンラン石・黒雲母の記載・スケッチ
12.造岩鉱物の観察(4):(実験)輝石の記載・スケッチ
13.造岩鉱物の観察(5):(実験)角閃石の記載・スケッチ
14.造岩鉱物の観察(6):(実験)火成岩・変成岩を用いた岩石記載
15.期末試験及び授業のまとめ:1薄片における岩石記載,それに基づいた岩石決定,形成過程の推定

【学習の方法】
・受講のあり方
実験がただの作業になってしまわないように,目的を明確にし,実験に取り組んでください.毎回実習中にレポート提出を課します.
・授業時間外学習へのアドバイス
講義で配布した資料を用いて復習を行ってください.前回の授業内容を良く理解した上で,次回の授業に臨んでください.

【成績の評価】
・基準
目標1.~3.を達成し,その内容を受講者自身の言葉で説明でき,実際の薄片観察で実践できることを合格の基準とします.
・方法
評価は到達目標1.~3.の達成度を実習レポート,中間試験(筆記)および期末試験(岩石記載)にて実施します(実習レポート20%+中間試験40%+期末試験40%).

【テキスト・参考書】
テキスト:適宜,資料を配布します.
参考書:黒田・諏訪「偏光顕微鏡と岩石鉱物」 共立出版,都城・久城「岩石学」I・II・III 共立出版,周藤・小山内「記載岩石学」共立出版.

【その他】
・学生へのメッセージ
偏光顕微鏡観察は岩石・鉱物学的研究の基礎部分を担います.偏光顕微鏡を用いて鉱物を調べることで,地球規模の地質現象をひも解く足掛かりとなります.学生の皆さんの積極的な実験への参加を期待します.スケッチの際に,色鉛筆があると便利です.将来的に岩石学や鉱物学の研究を望む学生には,参考書の購入を勧めます.
・オフィス・アワー
在室時なら随時

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