【授業の目的】
微量元素の同位体組成の研究からは,地球惑星物質の進化過程や起源を解明するために重要な情報が得られます.岩石の形成年代を明らかにする放射年代測定はその一例です.また,過去の環境変動を明らかにするために,安定同位体がよく利用されています.同位体地球科学の基礎に関する講義で,地球科学における同位体利用の有用性を理解してもらいます.
【授業の到達目標】
同位体地球科学に必要な,原子の構造・放射壊変・二成分混合・質量分析などの事項を理解し,適切に説明できるようになる.放射年代測定の基礎・種々の放射年代測定法・安定同位体の利用等について理解し,適切に説明できるようになる. 具体的には,(1)放射壊変現象の基礎を理解し,説明できる,(2)放射年代測定の原理と応用の理解し,説明できる,(3)地球惑星科学における同位体利用の理解し,説明できる,(4)安定同位体を利用した地球科学の事例について理解し,説明できる,を目標とします.
【授業概要(キーワード)】
同位体,年代測定,地球化学,地球科学
【科目の位置付け】
理学部DPの2「理学についての深い知識を習得し,自己の中に体系化することにより,幅広い視野と探究心を持つ」,理学部CPの2「専門分野における知識の修得を目的に,高等学校教育から基盤教育への接続に留意した理学分野の基礎的教育を実施し,その上に講義,実験,演習を中心とした専門教育を体系的に行う」,および地球環境学科の学習・教育目標の,「D.地球環境学の基礎知識を習得し,それを問題解決に応用しうる能力を身につける.(D-2) 地球の物質循環や動態に関する専門知識とその応用」に対応します.
【授業計画】
・授業の方法
LMS(Learning Management System)を利用します.LMSを通じて講義資料を事前配布します.印刷して予習をして下さい.また,テキスト・参考書を読んでおいてください. 講義中は講義資料に講義内容を筆記し,内容の理解に努めて下さい.講義の開始時と終了時に,簡単な力だめしをしてもらいます.講義終了時に,講義資料と力だめしを提出してもらいます. 講義資料と力だめしは採点後に返却するので,復習して講義内容について理解を深めるよう心がけて下さい.
・日程
下記のトピックについて講義する予定です(順序は入れ替わる可能性があります). (1)ガイダンス・同位体とはなにか,(2)原子の構造・放射壊変,(3)放射壊変と年代測定,(4)K-Ar年代測定,(5)Ar-Ar年代測定,(6)Rb-Sr年代測定・二成分混合,(7)Sm-Nd年代測定・Re-Os年代測定・同位体進化,(8)放射性炭素年代測定,(9)安定同位体地球科学,(10)宇宙年代学・U,Th-Pb年代測定,(11)質量分析,(12/13)同位体に関する最近のトピックス,(14/15)達成度評価試験と解説
【学習の方法】
・受講のあり方
予習済みの講義資料を使って講義を受け,講義内容を筆記することで内容の理解に努めて下さい.
・授業時間外学習へのアドバイス
LMSを通じて事前配布される講義資料を印刷し,予習をして下さい.また,テキスト・参考書を読んでおくことを希望します.講義後は, 講義資料,講義毎の提出物(小テスト・クイズ)を復習し,講義内容について理解を深めるよう心がけて下さい.
【成績の評価】
・基準
下記項目の目標への到達度を講義毎の提出物(小テスト・クイズ)および達成度評価試験の成績で評価します. (1)放射壊変現象の基礎を理解し,説明できる,(2)放射年代測定の原理と応用の理解し,説明できる,(3)地球惑星科学における同位体利用の理解し,説明できる,(4)安定同位体を利用した地球科学の事例について理解し,説明できる
・方法
講義毎の提出物(40%),および達成度評価試験の成績(60%)で判断します. 目標(1)~(4)の割合は,おおよそ(1)20%,(2)40%,(3)20%,(4)20%です.
【テキスト・参考書】
(テキスト) 兼岡一郎:年代測定概論,東京大学出版会 (参考書) 加々美寛雄・周藤賢治・永尾隆志:同位体岩石学,共立出版,2008 海老原充:太陽系の化学,裳華房,2006 松尾禎士:地球化学,講談社,1989 このほかは講義の中で適宜紹介します.
【その他】
・学生へのメッセージ
積極的に学習して下さい.
・オフィス・アワー
研究室前に掲示します.実験や出張で居ないことがありますので,できるだけ事前に連絡をして下さい.
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