児童期までの発達を踏まえ、生徒の学習（障害のある生徒を含む。）に関わる理論的、実践的諸問題について概説する。学校教育現場で問題になる学習環境、学習意欲及び学習と学習指導との関連などを取り上げ、主に行動理論と認知理論の対比から、生徒の学習面での課題と学習指導のあり方について検討する。

（１）学校における学習環境（人間，時間及び空間的な環境）を理解できるようになる。
（２）学習心理学の基本事項がわかり、学習の心理学的なメカニズムについて理解できるようになる。
（３）学習指導と学習理論との関係を理解し、学習指導上の課題に応用できるようになる。

学習環境、学習意欲、学習理論、教授学習

この授業は、教職科目に位置づけられ、生徒の発達と学習に関する領域の諸課題を理解し、解決に必要な幅広い専門知識を習得するものである。

授業は講義形式で行うが、随所で学校現場の具体例に即して課題を提示する。その課題解決につながるような手がかりを授業で提示していく。ま
た、毎回、質疑応答の時間を確保する。

第１回 オリエンテーション：授業の概要を説明し、学習心理学の課題を把握する。
第２回 学習環境としての学校・学級 ：児童期との違いを踏まえ、特別支援学校を含む学校や特別支援学級を含む学級の機能と学習への影響（効果）を考察する。
第３回 学習環境としての集団の形成：教科担任として協同学習などの前提となる集団の形成にかかわる問題について演習を通じて理解する。
第４回 個や集団の把握と学習：障害を含む学習者個々及び集団構造の理解の方法を学び、学習集団編成の考え方を理解する。
第５回 学習環境をつくる：学習過程において円滑なコミュニケーションを促す協同学習の方法を学ぶ。
第６回 学習環境として機能する教師：モデルを与える、期待をかけるなど学習者に対する教師の影響を考察する。
第７回 学習意欲の理解：学習指導要領改訂時の現場の様子をVTRで視聴し、意欲にかかわる課題を整理する。
第８回 動機づけと学習意欲：動機づけ理論の理解を通じて、学習意欲とは何かを考察する。
第９回 学習意欲の把握 ・評価：意欲の評価方法を具体的に学び、有効な手立てを考察する。
第10回 学習意欲を高める－主要な動機づけの手法と留意点－：「自ら学ぶ」をキーワードに自律性を高める動機づけの最新の知見を紹介し、青年期初期の発達と指導の留意点について考察する。
第11回 学習理論の理解：行動理論から認知理論への変遷を理解する。
第12回 学習の諸相を理解する：学習障害や発達障害などの障害の理解、技能学習や記憶の役割などの学習に関わる諸側面を包括的に学ぶ。
第13回 学習を指導する：障害をもつ生徒への学習指導を含む学習指導の理論と実践を考察する。
第14回 個に応じた指導：少人数学級や少人数指導、特別なニーズに応じた個別指導などきめ細かな学習指導のあり方を考える。
第15回 期末試験（60分）とその解説（30分）：評価を行うとともに、評価結果を今後の学習・指導に活かす機会とする。

学習心理学の基本事項を理解するために、自分の経験と重ねて具体例で考えてみることが大切である。

次の2点を大切にしてほしい。
(1)テキストをあらかじめ読み、専門用語等の理解を図ること。
(2)ノート等で授業内容を振り返り、疑問点を明らかにすること。

（１）授業で得た知識と自分の経験を踏まえ、学校における適切な学習環境を考え、論述できることが合格の基準となる。
（２）学習心理学の基本事項や学習の心理学的なメカニズムについて適切に説明できることが合格の基準となる。
（３）学習指導と学習理論との関係を踏まえ、学習指導上の課題について主体的に考え、論述できることが合格の基準となる。

上記の基準に基づき期末試験で評価する。①学習心理学の基本事項（60点）、②学習理論の学習指導への応用（20点）、③学習・学習指導に関わる実践的な理解（20点）の合計100点とする。

テキスト：新井邦二郎（編），図でわかる学習と発達の心理学（福村出版，2000）
参考書：桜井茂男（編），改訂たのしく学べる最新教育心理学（図書文化，2017）

心理学をこれまで履修していない方でも理解できる内容であるが、教職を志望することを考慮して履修すること。

第1回目の授業で連絡する。