【授業の目的】
免疫系による生体防御機構 免疫系は身体を外界の異物から守り、生体の恒常性を保つために必須な機能です。その理解は近年飛躍的に進んできています。しかしながら、様々な感染症やアレルギー疾患、癌の問題など、現代の医学、医療において免疫系の関わる様々な問題が数多く残されています。本講義では、免疫系の仕組みを分子レベルから個体レベルで理解することを目的とします。 2年生で開講される生体防御学の中の免疫学で学習するための、基礎となる講義です。
【授業の到達目標】
『免疫系の一般特性』 1)生体防御機構における免疫系の特徴(特異性、多様性、寛容、記憶)を説明できる。 2)免疫反応に関わる組織と細胞を説明できる。 3)免疫学的自己の確立と破綻を説明できる。 4)自然免疫と獲得免疫の違いを説明できる。 『自己と非自己の識別に関与する分子とその役割』 1)MHCクラスIとクラスIIの基本構造、抗原提示経路の違いを説明できる。 2)免疫グロブリンとT細胞抗原レセプターの構造と反応様式を説明できる。 3)免疫グロブリンとT細胞抗原レセプター遺伝子の構造と遺伝子再構成に基づき、多様性獲得の機構を説明できる。 4)自己と非自己の識別機構の確立と免疫学的寛容を概説できる。 『免疫反応の調節機構』 1)抗原レセプターからのシグナルを増強あるいは減弱する調節機構を概説できる。 2)代表的なサイトカイン・ケモカインの特徴を説明できる。 3)Th1/Th2細胞それぞれが担当する生体防御反応を説明できる。
【授業概要(キーワード)】
自然免疫、炎症、獲得免疫、免疫記憶、免疫寛容
【科目の位置付け】
生体防御学は感染症学と免疫学からなります。本講義は免疫学の基礎を学びます。
【授業計画】
・授業の方法
通常の講義形式により進めます。免疫学の理解を深めるためにレポートを随時提出してもらいます。
・日程
1 免疫学総論 2 免疫担当細胞とリンパ組織 3 自然免疫 4 抗体の構造と遺伝子 5 B細胞の発生と分化 6 液性免疫応答 7 免疫血液学 8 T細胞受容体とT細胞分化 9 T細胞の抗原認識 10 抗原提示機構とMHC 11 細胞性免疫応答
日程の詳細については講義前に日程表を配布します。
【学習の方法】
・受講のあり方
自らが積極的に講義に参加する姿勢で臨んでください。
・授業時間外学習へのアドバイス
いずれかの参考図書に目を通しておくことが望まれます。 各自のノート、配布物、参考図書をもとに講義内容をその都度整理して行くことを勧めます。
【成績の評価】
・基準
到達目標に記載されたそれぞれの項目について、他人に説明することができる程度に正確に理解していることが必要。
・方法
試験により評価します。
【テキスト・参考書】
テキストは特に選定しない。 参考書: 免疫生物学 原書第7版;笹月健彦 監訳(南江堂),免疫学コア講義 改訂第3班(南山堂), 免疫学最新イラストレイテッド 改訂第2版;小安重夫 編集(羊土社)
【その他】
・学生へのメッセージ
講義中でも疑問点をその場で質問するなど、積極的に参加してください。 質問カードを配る予定です。講義時間内に質問出来なかった場合、疑問点をそのカードに記入してください。次の講義で説明します。 教科書や論文などを自ら調べて理解を深めるために、レポートを数回提出してもらいます。
・オフィス・アワー
オフィスアワーは特に設けていません。基礎棟5階の免疫学研究室に気軽に訪ねてください。
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