生体薬理学
 Pharmacology
 担当教員:石井 邦明 (ISHII Kuniaki), 小原 祐太郎 (OBARA Yutaro), 白石 正 (SHIRAISHI Tadashi), 豊口 禎子 (TOYOGUCHI Teiko)

 担当教員の所属:医学部医学科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:3単位  開講形態:講義・演習
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修 
【授業の目的】
生体に投与された薬物は作用部位に到達した後、一部の例外を除き薬物受容体に結合し、その作用を発揮する。そして、その後体内から排泄される。薬物療法の基本について理解するために、薬物動態学・薬力学の知識を得ることを目的とする。
安全で効果的な薬物療法について理解するために、細胞機能調節に関与する受容体、および受容体刺激を介する細胞内情報伝達過程の生理学的機序・生化学的機序に関する知識を得ることを目的とする。
臨床の場で各疾患に対して使用される様々な薬物の分子〜個体レベルにおける作用機序を理解することを目的とする。

【授業の到達目標】
薬物の受容体結合と薬理作用との定量的関連性について説明できる。
計数的容量反応関係について理解し、有効量・中毒量・致死量の関係を説明できる。
完全活性薬・部分活性薬・拮抗薬および分子標的薬を説明できる。
薬物の吸収・分布・代謝・排泄を説明できる。
薬物の生体膜通過ならびにそれに影響する因子について説明できる。
薬物投与方法を列挙し、それぞれの薬物動態を説明できる。
薬物および生理活性物質の作用と生体内情報伝達系について説明できる。
各種疾患に用いられる薬物の作用機序を理解し、記述できる。
各種疾患に用いられる薬物の副作用を述べることができる。

【授業概要(キーワード)】
薬物療法、薬力学、薬物動態学

【科目の位置付け】
臨床における薬物療法のもととなる薬理学の基礎について学ぶ。

【授業計画】
・授業の方法
講義資料を配布し、パワーポイントを用いた講義を行う。授業日程・内容は以下の通りである。
・日程
講義時間 平成29年 月曜日 8:30 〜10:10、10:20〜12:00
9月11日 薬理学総論
9月 25日 自律神経薬理学総論・コリン作動薬
10月2日 コリン作動薬・拮抗薬
10月16日 コリン拮抗薬、アドレナリン作動薬
10月23日 アドレナリン作動薬・拮抗薬
10月30日 薬物動態学(吸収、分布、代謝、排泄)
11月 6日 薬力学
11月13日 循環器系の薬理学 ①②
11月20日 循環器系の薬理学 ③④
11月27日 特別講義 抗炎症薬 富山大学 服部裕一 教授

講義時間 平成30年 月曜日・水曜日 10:20〜12:00、13:00〜14:40
1月15日 循環器系の薬理学 ⑤⑥
1月17日 呼吸器系の薬理学、消化器系の薬理学
1月22日 特別講義 カルシウムによる細胞機能制御 日本大学 飯野正光 教授
1月24日 中枢神経系の薬理学 ①②
1月29日 特別講義 心臓の興奮性 大分大学 小野克重 教授
1月31日 中枢神経系の薬理学 ③④
2月 5日 中枢神経系の薬理学 ⑤⑥
2月 7日 抗腫瘍薬

実習:平成29年12月4日(月)、6日(水)、7日(木)、11日(月)、13日(水)14日(木)
1.薬物・受容体反応の特異性
モルモット盲腸紐を用いて、自律神経伝達物質の受容体に対する作動薬・拮抗薬の作用を検討する。
2.薬物の排泄
学生諸君がアスピリン(常用量)を服用し、その代謝物の尿中への排泄に及ぼす尿pHの影響を検討する。

【学習の方法】
・受講のあり方
よく考え、時間内に講義内容を理解するように努める。講義時間を無駄にしない。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義項目について教科書に目を通し、自分なりに理解できる点・出来ない点を明確にしておく。
理解が不十分なものを残したまま次の講義に臨まないようにする。

【成績の評価】
・基準
薬力学および薬物動態学の基本的な事項を適切に説明できることを合格の基準とする。
各種疾患に用いられる薬物の作用機序ならびに副作用について適切に説明できることを合格の基準とする。
・方法
講義(特別講義を含む)および実習の内容に関しての筆記試験を行う。また、講義および実習に臨む態度、さらに実習のレポート内容も評価の対象とする。

【テキスト・参考書】
テキストを一冊所有することを勧める。薬理学の知識は将来も日常的に必要となるものである。特に教科書指定はしないので、自分に合ったものを選んでもらいたい。
1) 標準薬理学 第7版(医学書院)
2) NEW薬理学 第6版(南江堂)
3) 医科薬理学 第4版(南山堂)
4) Bertram G Katzung (ed): Basic & Clinical Pharmacology, 13th ed., Lange Medical Books, McGraw-Hill
5) Brunton, Chabner, Knollman (ed): Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 12th ed., McGraw-Hill
6) Principles of Pharmacology: The Physiologic Basis of Drug Therapy, 4th ed., Lippincott Williams & Wilkins
7) Harvey, Clark, Finkel, Rey (ed): Lippincott's Illustrated Reviews: Pharmacology, 5th ed., Lippincott Williams & Wilkins

【その他】
・学生へのメッセージ
医学部学生のほとんどが将来臨床医として薬物療法を行うことになる。そのため、薬理作用の基礎および薬物の体内動態を理解することは不可欠である。個々の薬物の作用よりも、薬理学における一般的知識の基礎を重視する。薬理学の基礎的な考え方を学ぶことは臨床医学における適切な薬物療法の考え方を身につける上で極めて大切なことである。
・オフィス・アワー
特に設けていない。随時対応可能である。

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