小児科学総論、各論
　小児は成人を小さくしたものではなく、成長・発達といった特徴がある。成長とは量的に測定でき、身長・体重など加齢と共に増加するものがそれにあたる。発達とは加齢とともに機能を獲得し成熟、進展する過程をいい、知能、言語、運動がこれにあたる。小児は、これらの過程を経て、形態的および機能的に成熟し成人となる。小児期の疾患を理解するには胎児期を含め、こうした正常児の成長・発達を学ばなければならない。これらが理解できれば、小児期の疾患が成長・発達の障害で、時に不可逆的な変化をもたらすことがわかる。乳幼児期の栄養障害は知能障害をもたらし、小児期の肥満は中年以降の動脈硬化、虚血性心疾患、大腸癌などの罹患率を高める。小児科学は、このように成長・発達に対応した疾患を取り扱う。感染症も免疫力が未熟な小児にとっては重要な疾患である。小児科学は、すべての小児の正常な成長・発達を究極の目標とするため、予防医学も重要な課題であり、胎児診断、先天異常のスクリーニング、予防注射についても学習する。学習範囲が広範であることから、全ての分野にわたる詳細な講義は不可能で、学生諸君の自習が必要である。

　小児の発達・成長過程における基本的な生理を理解し、発達・成長の阻害因子とその影響による各種病態・疾患の特徴について理解し、説明できる。この理解の下、各疾患診断の手法とその治療についての専門的知識を述べることができる。
⑴成長、発達の阻害因子とその影響による各種病態について理解し、説明できる。
⑵先天性代謝異常等の遺伝性疾患、染色体異常、奇形症候群の遺伝形式、病態の主因を理解し、その対応方法を考えることができる。
⑶ 新生児、乳幼児の生理について理解し、この時期における各病態について説明し、対応方法を説明できる。
⑷ 循環器、呼吸器、消化器、神経、血液、内分泌、腎・泌尿器、免疫・アレルギー、膠原病、心身医学的、感染症、腫瘍性の各疾患における小児・若年者の疾患病態を理解・説明し、それぞれの診断にいたるまでの対応を示し、標準的な治療法を提示することができる。
⑸ すべての小児の健常な成長・発達を得るため、未だ難治性疾患が残る小児科領域において、今後どのように病態の更なる解明を行ない、疾患予防や治療につなげていけばいいかを考察できる。

小児の発達・成長過程、小児期における疾患の特徴

臓器別疾患コースで得た知識を、発達・成長と結びつけ深く理解するとともに、小児期の疾患について、より詳しい知識を習得し、小児期の各疾患病態を自ら考える。

講義（スライド映写、資料配付、板書）

講義日程
2月5日（月）〜3月2日（金）5・6校時（13:00〜14:40）、火のみ3・4校時（10:20〜12:00）
小児の発達・成長、神経、精神、呼吸器、腎臓、循環器、内分泌・代謝、感染症について講義を予定しているが、講師が未定につき、後日改めて発表する。

　疑問を持って積極的に質問すること、単に知識を増やすので無く、病態を理解し、説明できるまでにいたること。

全ての疾患について講義する時間がなく、教科書を使って自習の必要がある

講義内容の理解度をみる筆記試験、出席状況

毎講義、出席をとる。
4年次開講の全身性疾患学：小児科学と合わせ試験週間内に筆記試験を行う。

標準小児科学（医学書院）、講義録小児科学（Medical View)、Nelson Textbook of Pediatrics (Saunders Co.)

学習範囲が広範であり、全ての分野にわたり講義することは不可能であることから、学生諸君は継続的な自習が必要である。