臨床実習(第一外科)
 Clinical Practice
 担当教員:木村 理(KIMURA Wataru),平井 一郎(HIRAI Ichiro),手塚康二(TEZUKA koji),渡邉利広(WATANABE Toshihiro), 菅原秀一郎(SUGAWARA Syuichiro)
 担当教員の所属:医学部医学科
 開講学年:4年,5年,6年  開講学期:通年  単位数:61単位  開講形態:実習
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修  
【授業の目的】
肝・胆・膵疾患
4,5年次のBed Side Learning(BSL)

1.肝胆膵疾患の実際の症例を受け持ち,画像診断,術式の計画,手術の実際,肝胆膵外科に特有な術後管理について実践的なトレーニングを上級医と行う.
2.肝胆膵の解剖は血管や胆管のvariationが多く,CT容積測定を含め術前,術中に外科解剖の理解を深める.
3.症例提示の方法を学び、発表を行い,それぞれの症例にあったオーダーメードな治療法を考える.
4.手術に参加し、術式の学習を行う.さらに簡単な糸結びや縫合切開も行えるよう実技訓練を行う.
5.毎日2回の回診を手伝いながら,診察はもちろん,患者さんとのコミュニケーションがとれる将来,医師として重要な姿勢を身につける.

5,6年次のClinical Clerkship
4,5年次の経験をさらに発展させて,検査,手術,術後管理,処置,輸液メニューの作成などさまざまな実践的な知識を習得する.

【授業の到達目標】
1)全身,特に腹部の診察ができる。
2)肝胆膵機能検査(ICG検査,アシアロシンチ,PFD試験)について説明できる。
3)術前検査・管理について説明できる。
4)手術手技(消毒・切開・止血・結紮・縫合・ドレナージ法など)について説明できる。
5)術後管理・処置が実施できる。

【授業概要(キーワード)】
手術、膵頭十二指腸切除術,膵体尾部切除術,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN),系統的肝切除術,肝門部胆管癌手術,胆嚢癌根治術,腹腔鏡下胆嚢摘出術,肝移植、周術期管理、肝予備機能,プライマリーケア,全身管理.

【科目の位置付け】
臨床現場における実際の症例を通して,周術期管理,手術を身をもって体験しながら、ひとつひとつの症例を大事にしていく姿勢を学び取る。

【授業計画】
・授業の方法
1.朝カンファレンス(術前術後検討会)に参加し、術前術後管理、基本的な画像検査の読影法を学ぶ。
2.毎週月曜日の夕方の外科,内科,放射線科との肝胆膵カンファランスで術前画像診断,切除標本の肉眼像を実際に目で見ることにより,理解が深まる.
3.病棟回診、各種検査、手術に参加し、実際の診療を体験する.
4.病理標本切り出しに参加し、標本の取扱い方、外科病理を体験する.実際の腫瘍や臓器の状態をCT, MRI, ERCP, IDUS, EUSなどが表していることを体得する.
5.担当患者を受け持ち、術前・手術・術後管理に参加し,また患者さんとコミュニケーションをとる練習をする.
6.担当患者に関するレポートを作成することによって,文献の探し方や重要性を知り,勉強することで患者さんにより良い治療法ができることを経験する.
7.代表的疾患について少人数で講師と話しやすい環境でSGT(small group teaching)を毎週行う.
8.学術会議は自分たちの手術方法,術前術後管理の工夫などを報告し,より多くの患者さんを救うために重要である.また他施設の工夫や考え方も知る良い機会である.実習中に学会・研究会がある場合は積極的に参加し,プレゼンテーションの方法,質問などを考え,常に患者さんのために学習,向上する姿勢を体験する.
・日程
1.月曜日~金曜日まで毎朝8時よりカンファレンス(術前術後検討会)を行なう.
2.月曜日~金曜日まで毎日9時から朝回診、17時から夕回診を行なう.
(月・火・木曜日は教授回診で指導を受ける)
3.水・金曜日は手術に参加、見学する.
4.月曜日18時:肝胆膵カンファランス
5.木曜日18時15分:症例検討会
6.各種検査、SGT、病理標本切り出しなどは担当教官が指示する.
<定期>
山形肝胆膵研究会:第1外科、第2内科、放射線科、病理診断科を含む合同症例検討会。

【学習の方法】
・受講のあり方
1.病める患者さんに接するにふさわしい服装・態度・言葉遣いをする.
2.上級医がすべての学生さんに指導しますが,将来,臨床家になることが前提なので,教えられるだけの単なる見学に終わらず,自分から問題点,なぜこのような手術法にしているのかなどを考え,学習する積極的態度が望ましい.
3.何を勉強・実技したいのかあらかじめ決めておくと,有意義な2(4)週間の実習になります.
・授業時間外学習へのアドバイス
1.肝胆膵の局所解剖,生理学を予習しておく.
2.手術に参加する際には手術書を読んでから手洗いしないと,理解できないし,眠くなるだけである.
3.OSCEで学んだ医療面接、胸部診察、腹部診察法を再度確認しておくこと.


1.患者さんの状態、画像所見、検査データなどの疑問点を医局の文献で探したり,上級医に質問してみる.
2.医学用語や医学略語について調べ、正確な言葉や意味を理解する.
3.疑問点があれば積極的に質問し、不明な点をその日のうちに解決しておく.
4.糸結びを30秒で40回結べるように毎日訓練する.

【成績の評価】
・基準
出席、実習態度、レポート(ポートフォリオ)内容により判断する.
・方法
出席、実習態度、レポート(ポートフォリオ)内容により判断する.

【テキスト・参考書】
新臨床外科学(医学書院)
新外科学体系(中山書店)
イラストでわかる 外科手術基本テクニック 幕内雅敏 訳(エルゼビアジャパン)
膵脾外科の要点と盲点.木村 理編(文光堂)
肝臓外科の要点と盲点(文光堂)
胆道外科の要点と盲点(文光堂)
膵癌診療ガイドライン
胆道癌診療ガイドライン
胆管炎診療ガイドライン
肝シミュレーション-基礎とその臨床応用(Digital Medicine)


胆と膵(雑誌) 肝胆膵(雑誌) 肝胆膵画像(雑誌)
Pancreas (Lippincott Williams & Wilkins)
外科(雑誌) 手術(雑誌) 臨床外科(雑誌)
消化器外科(雑誌)
消化器外科 Vol.31 No.13 手術の王道Ⅱ 肝・胆・膵・脾の手術(へるす出版)
見て診て学ぶ 膵腫瘍の画像診断 大友 邦、木村 理 編集(永井書店)

【その他】
・学生へのメッセージ
CT, MRI, US検査の正常と異常(病変の所見)を判断できるようになって欲しい.
外科医がどのように患者さんを治そうとしているか,そして将来どのような医師になりたいか考えて欲しい.
外科は手術ばかりでなく,術前術後の治療も大きなウェイトを占めることを体験して欲しい.

人間の体にメスを入れるという敬虔な気持ちを持ちつつ,手術で患者さんを治すという外科医の使命感を感じて欲しい.
手術は大変ではあるが,病気が治れば大変やりがいのある仕事である.
医学生として当たり前であるが,服装、思いやりのある言葉づかい等に留意すること.

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