臨床実習(眼科)
 Clinical Practice(Ophthalmology)
 担当教員:山下 英俊(YAMASHITA Hidetoshi),西塚 弘一(NISHITSUKA Koichi),金子 優(KANEKO Yutaka),林思音(HAYASHI Shion),今野 伸弥(KONNO Nobuhiko)
 担当教員の所属:医学部医学科
 開講学年:4年,5年,6年  開講学期:通年  単位数:61単位  開講形態:実習
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修  
【授業の目的】
眼科学総論
眼科学の基礎(眼解剖学、眼病理学、眼生理学、眼生化学、眼分子生物学)
眼科学の臨床(眼科診断学、眼科治療学、眼科手術学)
眼科学は、感覚器として我々の視覚を担っている眼球とその付属器について、基礎医学的および臨床医学的な研究を行う学問である。これまでの講義によって習得した、現代医学における眼科学についての総論、眼解剖学、眼病理学、眼生理学、眼生化学、眼分子生物学を基礎にして、眼科診断学、眼科治療学、眼科手術学に関する知識と基本手技、全身疾患診療における眼科の位置づけを実習によって習得する。また、以上の講義や実習を通して、医学者としての自覚と倫理を学ぶ。

【授業の到達目標】
眼球とその付属器の基本的な構造と機能の理解ができる。
代表的な眼科疾患の病態生理、診断、治療の理解ができる。
眼科における主な検査と診断方法の理解と習得ができる。
全身疾患と眼の関連性についての理解ができる。
実際の検査器械の使用、豚眼による顕微鏡下手術の実習などの実技の習得ができる。

【授業概要(キーワード)】
眼科の基礎と臨床。
眼科と他科、全身疾患との関わり。
眼科診察・手術の実際。

【科目の位置付け】
人間は外部からの情報の80%以上を視覚から得ている。その視覚を得るための「目」はどういう仕組みになっているか、どんな病気があるのか、どうやって治すのかを学ぶのが眼科である。また、目の周囲の脳外科的、耳鼻咽喉科的要因、あるいは糖尿病などの内科的要因と眼科は密接に関連している。

【授業計画】
・授業の方法
外来・病棟実習を通しての病歴の取り方、各種検査手技、診断および治療法の学習、症例のレポート作成、実際に細隙燈顕微鏡や検眼鏡を使用してのスケッチ、豚眼による顕微鏡下手術の実習
・日程
外来・病棟実習、SGT、レポート作成、実際の検査器械の使用、豚眼による顕微鏡下手術の実習

【学習の方法】
・受講のあり方
眼球とその付属器の基本的な構造と機能を説明できる。
代表的な眼科疾患の病態生理、診断、治療を説明できる。
眼科における主な検査と診断方法を説明できる。
全身疾患と眼の関連性についてを説明できる。
実際に検査器械を使用できる、豚眼による顕微鏡下手術ができる。
・授業時間外学習へのアドバイス
眼科固有の表記、語句など。
眼科検査器械の名称や機能。
代表的な眼科疾患の病態生理、診断、治療、手術方法など。
以上を参考書などで予備知識をつけておくこと。
その日、見聞した事項を教科書、参考書でもう一度確認する。
指導医に積極的に質問したり、参考文献をもらったりして確実に理解する。

【成績の評価】
・基準
第4学年での移行試験、第6学年での卒業試験の成績
症例レポートの内容
出席日数および実習態度
以上をもとに総合的に評価
・方法
移行試験、卒業試験
実習中のレポート提出
出席日数と実習態度

【テキスト・参考書】
講座にある専門書も参考にして下さい。
各指導医から与えられる参考文献。
標準眼科学(医学書院)、現代の眼科学(金原出版)、眼科学(文光堂)

【その他】
・学生へのメッセージ
老人人口が急激に増加しつつある日本において、失明率の増加が懸念されている。世界的にも、発展途上国を中心に失明率は確実に増加している。このような状況に対し、最近の技術の進歩はこれまで不可能とされてきた手術を可能にした。また、分子細胞生物学の進歩により、多くの眼疾患の分子病態が解明され,再生医療を取り入れた最先端の眼科治療も開発されつつある。これらのことから、最新の眼科学の知識の習得は医学生にとって、今後ますます重要なものとなっていくと考えられる。眼科学講義の中から、“ものが見える”ことへの新たな興味を感じ取ってもらいたい。また、眼疾患の知識は全身疾患の診断、治療に不可欠な情報を提供するので、全身疾患の診療における眼科学の位置づけについても学んでほしい。
正常な眼組織の解剖学的知識なくして、疾患を理解することは困難であり、その病態を議論することは不可能である。したがって、眼科学講義にあたっては、正常眼組織の構造と解剖学的名称をよく把握しておく必要がある。また、眼科疾患では電気生理学的検査、視野検査、色覚検査、暗順応検査などの客観的評価が診断に必須であり、さらに蛍光眼底造影検査が重要な位置を占めている。このような補助検査に関しても十分に理解しておくことが求められる。医学では、古くより眼疾患が全身疾患と密接な関係を有していることが知られており、ほとんどの臨床科目と関連している。糖尿病や高血圧といった以前から知られている疾患のみならず、AIDSといった新しい疾患でも眼合併症がみられ、全身病の診断と治療に眼科的診断が大きく関わっていることを認識する必要がある。このような視点から、全身病と眼疾患を常に交互にフィードバックしながら学習する姿勢が大切であると考えられる。

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