1年次に学習した実数を変数とする実数値関数の微積分に対して，複素数を変数とする複素関数の微分積分を講義する。まずそのもととなる虚数単位から始め，複素数を定義する。
　次に，正則関数を導入し，Cauchy-Riemannの方程式による正則性の判定を学ぶ。正則関数とべき級数の関係を理解し，初等関数をべき級数により再定義する。複素関数の線積分を導入し，微積分の基本定理が成り立つことを見る。単純閉曲線上の正則関数の積分は零になるというCauchyの積分定理を導き，この定理から正則関数のCauchyの積分表示を導く。Cauchyの積分表示から正則関数のもつきれいな性質を見る。また，同公式から留数定理を導き，複素積分の計算に応用する。
　最後に，複素積分を応用して，実関数の定積分の計算を行う。複素関数の微積分の意味や定理を理解させることをねらいとする。

(1)複素数の計算ができる
(2)初等複素関数の微分が計算できる
(3)Cauchyの積分定理を用いて積分の計算ができる
(4)Cauchyの積分表示を用いた積分の計算ができる
(5)留数定理を用いた積分の計算ができる
(6)複素積分を応用して実定積分の計算ができる

複素関数と複素関数，正則関数，Cauchy-Riemannの方程式，Cauchyの積分，Cauchyの積分表示，Taylor展開とLaurent展開，留数定理

・工業数学の基礎となる科目
・実変数関数の微積分からの発展
・情報科学科では学習・教育到達目標のAに該当する。

90分間の授業時間の内，約60分間を講義に費やし，残りの約30分間で具体的な問題演習またはミニテストを行う．

1.複素数と複素関数（第1週）
2.正則関数 （第2−3週）
3.整級数と初等関数 （第4−5週）
4.Cauchyの積分定理 （第6−8週）
5.Cauchyの積分表示 （第9−11週）
6.Taylor展開とLaurent展開（第12−14週）
7.期末試験と解説（第15週）

私語，喫煙等，他の受講生に迷惑となる行為を行った場合は，受講を中止させ，ミニテストを受験させない．

(a)予習時には，参考書の該当箇所を前もって熟読しておくことが望ましい．
(b)復習時には，講義ノートとテキストを見ながら，ミニテストの問題が解けるようにすることが望ましい．

複素数の計算ができ，留数定理を応用して実定積分の応用問題が解けること。

ミニテスト（１４回の予定）（５０点），期末試験（５０点）を合計し１００点満点で判定する．単位認定は６０点以上とする．

（参考書）
１）洲之内治男，猪股清二：｢改訂　関数論｣（サイエンス社，1992年）
２）志賀浩二：｢複素数30講｣（朝倉書店，1989年）

授業は欠席しないこと。欠席すると内容のつながりがわからなくなり，理解が困難になる。

金曜日午後４時ー午後５時