平衡状態における高分子の構造や物性を決定するのは熱力学である。しかし、熱力学は高分子にとどまらず、あらゆる物質の状態を支配する。本演習では、物理化学に関連する演習問題を解くことによって、熱力学の理解を深める。
高分子化学はもちろん、一見複雑に見える生体高分子の機能も含めて、マクロ的な自然現象のすべてを律している最も基礎的な原理の一つが物理化学である。従って、将来どのような分野で活躍するにしても、最低限この科目を理解しておかなければならず、高分子科学の教育・研究を行う際の必要不可欠な基礎知識となる。この講義では、気体の性質、熱力学の基本法則、化学平衡、反応速度論および統計熱力学について、演習問題を解くことによって理解をより深めさせる。

熱力学の基礎を身に着ける。特に、エンタルピーとエントロピーの概念を理解することにより、ギブズエネルギーを定量的に理解する。ギブスエネルギーを用いて自然現象や化学変化を定量的に理解できるようになる。純物質の相平衡、混合物の性質、化学平衡はギブズエネルギーの応用例として重要である。

気体分子運動論、熱力学、エンタルピー、エントロピー、自由エネルギー、化学平衡、反応速度論

関連する科目：高分子基礎物理化学、高分子物理化学I、高分子物理化学II、高分子熱・統計力学

高分子物理化学Iの講義と深く関連している。当日の講義に関連した演習問題を3問程度行い、その解説を行います。(35分) その後、課題を10～15問程度課します。 翌週、その課題の中から、類似問題を5問程度テストを行います。(40分)
先週のテストの解説を行います。(15分)

第１回：クラス分け、物理量および単位、有効数字
第２回：気体の性質（１）
第３回：気体の性質（２）
第４回：熱力学の第一法則（１）
第５回：熱力学の第一法則（２）
第６回：熱化学（１）
第７回：中間試験と解説
第８回：熱力学の第二法則（１）
第９回：熱力学の第二法則（２）
第１０回：純物質の相平衡
第１１回：混合物の性質（１）
第１２回：混合物の性質（２）
第１３回：化学平衡の原理と応用
第１４回：反応速度論
第１５回：期末試験と解説

私語等他の受講生の迷惑とならないように，毎週しっかり演習に打ち込んでください。関数電卓を使用するので持参してください。

毎週課される問題をしっかり解いておいてください。
高分子物理化学Iを履修していることを前提とします。

1. 気体の性質、内部エネルギー、エンタルピー、エントロピーおよびギブズエネルギーを用いて、純物質の相転移、相平衡および混合物の性質、化学平衡などの身の回りの化学変化について計算できるようになる。
2．様々な化学反応の速度論について計算できるようになる。

授業で行う毎週のテスト 30点
中間試験 30点
期末試験 40点

60点以上を合格とします。

アトキンス物理化学要論, P. Atkins, J.d. Paula著, 市原秀昭, 稲葉章訳, 東京化学同人, 5800円
・P.W.Atkins著，千原秀昭・中村亘男訳「物理化学（上・下）」東京化学同人
・W.J.Moore 著，藤代亮一訳「物理化学（上・下）」東京化学同人
・近藤和生他, 物理化学 朝倉書店

物理化学は、これから諸君が学ぶ高分子科学の基礎をなすものであり、必修科目です。授業に出席し、演習問題について真剣に取り組んでほしい。
自分で考えて解こうとする態度が大事であり，その習慣を是非身に付けて欲しい。
最初は分からなくてもやっていくうちに「なるほど」となります。早くなって下さい。

毎週月曜日17:00～18:00 2号館306号室