生化学概論
 Biochemistry
 担当教員:木島 龍朗(KIJIMA Tatsuro)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)バイオ化学工学分野
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:物質化学工学科  科目区分:専門科目・選択必修 
【授業の目的】
「生化学」は,生命活動を化学のことばで解き明かす学問です.19世紀,近代科学は爆発的な発展を遂げました.有機化合物は,“造物主たる神によってつくられた生物”のみがつくりうる,という従来の観念を打ち破ったウェーラーの尿素合成(1828)に端を発した有機化学は,リービッヒやケクレなどによって体系化されました.一方,人体の働きを系統的に解明しようとする生理学が誕生し,パスツールやコッホにより微生物学が確立され,発酵や消化の研究などと相まって,生命現象を化学的に研究しようという機運が醸成されました.元来,生物の化学的研究を目ざした有機化学が,しだいに「炭素化合物の化学」に向かうにつれて,19世紀末,純粋に「生命」を化学の立場から研究する生化学が独立して発展を始めました.その後の生化学の発展の軌跡は,20世紀の科学の歴史を大きく特徴づけるものです.

【授業の到達目標】
生化学は生物を構成する物質の化学であり,生命の理解に必須の学問です.本講義では,生物の基本となる生体高分子(核酸,タンパク質(酵素),糖質,脂質)やその構成単位(ヌクレオチド,アミノ酸,単糖,脂肪酸など)の基本構造や性質について理解することを目標とします。

【授業概要(キーワード)】
アミノ酸,ペプチド,タンパク質,糖質,脂質,酵素,DNA,RNA,遺伝子工学,タンパク質工学,代謝

【科目の位置付け】
生化学とそこから生まれた生物工学の基礎を学ぶ大切な講義です.将来的に生化学および生物工学を目指す学生はもちろん,基本的な科目なので物質化学工学科の学生は必修科目に準じた科目として履修することをお勧めします.またこの講義は,物質化学工学科の学習・教育目標「(B) 工学基礎および専門知識の習得と継続的学習」に主に対応します.

【授業計画】
・授業の方法
1回目の授業では,この授業の位置付け,目的,授業日程,到達点を概説します.それから授業を行います.生化学はイメージ(画像)が印象に残る分野なので,授業はテキストとPCを使ったプロジェクターを併用し,毎回配布する資料をノートとして完成させる形式で行います.必要に応じて授業の最後に課題を課します.
・日程
第1週 細胞 -生命の場-
第2週 アミノ酸とタンパク質1
第3週 アミノ酸とタンパク質2
第4週 ヌクレオチドと核酸
第5週 糖 質
第6週 脂 質
第7週 ヘモグロビンとミオグロビン
第8週 中間試験と解説
第9週 酵 素
第10週 代謝I -ATPの産生-
第11週 代謝II -糖と脂肪酸の合成-
第12週 光合成(炭素固定)と窒素固定
第13週 DNAの複製と遺伝情報の発現
第14週 生化学の広がり
第15週 試験と解説
これはおおよその目安ですので,多少変更があります.

【学習の方法】
・受講のあり方
授業は,予習を必ずしてきて受講することが基本です.授業中は,私語厳禁です.遅刻は認めません.毎回,授業で習ったことはその場で理解することが基本ですが,その確認には配布資料(ノート)の整理などで各自が行うことが必要です.授業の際には,テキストの持参は大前提ですので,忘れないこと.
・授業時間外学習へのアドバイス
予習はテキストを予め読むことで行うことが基本です.授業と,同じ時間の予習と復習及びテストに合格することで2単位が認められることを忘れないで下さい.
授業中に取った配布資料(ノート)をテキストを使いながら整理し,授業内容の理解度を各自点検してください.

【成績の評価】
・基準
生体を構成する物質,酵素とその働き,物質代謝とエネルギー代謝,遺伝子と遺伝情報,遺伝子工学とタンパク質工学に関する基本的な理解が出来ており,自分自身で演習問題を解くことが出来るかどうかが合格の基準になります.授業内容について基本的な事項を理解できており演習を自分で行う事が出来る:60点~69点,授業内容に関する理解が優れており,演習能力も優れている:70点~79点,授業内容に関しての理解が特に優れており演習能力も特に優れている:80点~89点,授業内容に関する理解と演習能力が極めて優秀である:90点以上
・方法
中間と期末に行う筆記試験(それぞれ100点満点)で行ないます.平均60点以上が合格です.しかし,出席が3分の2に満たない学生は試験を受ける資格がありません.

【テキスト・参考書】
【テキスト】
よくわかる スタンダード 生化学 裳華房(2600円)をテキストとして使用します.
【参考書】
生化学 -基礎と工学- 化学同人(3800円)
マクマリー有機化学(下)第6版 東京化学同人(4400円)
マクマリー生物有機化学 生化学編 第2版 丸善(5200円)
マッキー生化学 分子から解き明かす生命 第4版 化学同人(7400円)
スタートアップ生化学“わかる生命のしくみ”化学同人(2200円)
はじめての生化学 化学同人(2000円)

【その他】
・学生へのメッセージ
授業は,私語禁止,携帯電話禁止,遅刻禁止です.生化学および生物工学の基礎を学ぶ大切な授業ですから,専門に関係なく多くの学生が受講することを望みます.
出席が2/3に満たない人は筆記試験を受けることが出来ません.私語,携帯電話,遅刻は厳禁です.不定期で出席も確認します.
・オフィス・アワー
毎週月曜日,午後4時~5時まで3号館1201室で行っています.遠慮なくおいでください.

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