技術系文書作成法
 Technical Writing
 担当教員:仁科 浩美(NISHINA Hiromi)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:電気電子工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
技術者は、組織内で仕事を計画的かつ円滑に遂行することが求められるため、文書や口頭によるコミュニケーションを通じて、他者との相互理解を図ることが必要になる。本講義では、他者の意見を理解し、自らの考えをまとめる作業を繰り返すことで、論理的で誤解を招かないような文章の書き方や言葉遣いができるような、日本語能力を身につけることを目的としている。

【授業の到達目標】
○論理的かつ明快で、誤解されないような文章を書くことができる。
○段落の成り立ちを理解して、自分で文章を組み立てることができる。
○文書の目的に応じた適切な語彙を選択して使うことができる。
○他者の文章(意見)を要約できる。
○自らの主張を文章で表明できる。

【授業概要(キーワード)】
理科系の作文技術、文章と段落、主張、事実と意見、図表の説明

【科目の位置付け】
電気電子工学科の学習・教育到達目標におけるコミュニケーション能力の育成に対応する講義である。

【授業計画】
・授業の方法
一般的な意見の一致が見出しにくい、特定の論争的な事柄に関する議論を通じて、本講義の目的である日本語能力の向上を目指す。議論の各段階において、自分と他者との間の見解の相違を文書で整理しながら、口頭での討論を行い、自らの考えをまとめていく作業を、教員の指導の下に行っていく。
・日程
第1週 ガイダンス(これからの講義の進め方)(合同クラス)
    最終作成論文のテーマの提示。
第2週 クラス分けとグループ分けの通知及び最終作成論文のテーマに関する
    第1回グループ討論(合同クラス→2クラス)
第3週 同じく第1回グループ討論の続き(2クラス)
第4週 各グループ見解の第1回発表会(2クラス)
第5週 各グループ見解の第1回発表会の続き(2クラス)
第6週 担当教員によるグループ討論と発表の講評(合同クラス)
第7週 第2回グループ討論(2クラス)
第8週 第2回グループ討論の続き(2クラス)
第9週 第2回グループ討論の続き(2クラス)
第10週 各グループ見解の第2回発表会(合同クラス)
第11週 各グループ見解の第2回発表会の続き(合同クラス)
第12週 各グループ見解の第2回発表会の続き(合同クラス)
第13週 各グループ見解の第2回発表会の続き(合同クラス)
第14週 講評並びに論文作成

【学習の方法】
・受講のあり方
 ほぼ毎週、自分や他者の意見をまとめたメモや報告を提出してもらう。また、グループ内の意見の取りまとめ作業にも関わってもらう。それらの活動を通じて、論理的で誤解を招かないような文章の書き方や言葉遣いができるような、日本語能力を養う。そのため、議論(特にグループ内での)には積極的に関与し、自他の意見の相違を論理的に把握することが求められる。
 テキストは、自分自身の文書作成技術を高めるためのワークブックとして、学期中の自習用に使う。そのため一部想定回答を配布する。最終作成論文を書く際に役に立つ。第1週と第13週を除く各週に提出するメモに、上記テキストの内容に関する質問を書くことを認める。テキストに関する質問が出たら、担当教員が講義中に回答する。
・授業時間外学習へのアドバイス
日常的に新聞やTVでの報道内容に接するようにし、そこで用いられている言葉の意味とその用法に慣れるようにすること。

【成績の評価】
・基準
最終作成論文について、各到達目標が達成されている程度に応じて評価する。合格とする水準は、その内容が第三者に理解され得るものであり、その主張の根拠となっている事柄が明確であるところにおく。ただし、その主張に論理性のない感想を記しただけの文章は、論文としては評価しない。
・方法
講義に少なくとも12週以上出席し、グループ見解のとりまとめに参加して、その発表に協力していることを前提条件に、最終作成論文の内容にのみ基づいて行う。論文を提出しただけでは、評価しない。出席などは、各週に提出するメモや報告書によって確認する。

【テキスト・参考書】
テキスト:東山、仁科「技術系文書作成法」(2016年)
(参考書)森下、久保田、鴨川編「新版 理工系学生のための日本語表現法」東信堂(2010年)
木下是雄:「理科系の作文技術」中公新書(1981年)

【その他】
・学生へのメッセージ
どのような主張をするにせよ、必ず自らの主張の根拠となるべき事実を提示すること。可能な限り客観的と思える証拠(例えば統計的数値等)に基づいて、論理を展開することが求められる。他者の発表に対しても、その主張の根拠に注意すること。その際、個人的な価値観や倫理観だけに基づく判断は、主張の根拠とはならないことに注意する。また、「判断ができない(分からない)」という場合であっても、何故、どのように「判断できない(分からない)」のか、を他者に理解できるように説明し、どのような事実(事柄)が明らかになれば判断が可能となるのか、について説明することが求められる。「わからない。」というだけの論文は、全く評価しない。他者の主張や他所の情報を引用する場合には、必ずその出典を明らかにし、自身の主張と引用とを区別した形で書くこと。具体的には、「~新聞によると」とか「××大学の~教授は『・・・』のように主張している。」というような表現をすることや、参照文献には番号を付けて、論文の末尾に整理すること、などが求められる。
・オフィス・アワー
初回の講義でお知らせする。

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