電気回路Ⅰ及び演習
 Circuit Theory I and Its Exercises
 担当教員:足立 和成(ADACHI Kazunari)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:4単位  開講形態:講義・演習
 開講対象:電気電子工学科  科目区分:専門科目・必修 
【授業の目的】
オームの法則、キルヒホッフの法則、変成器、電力とエネルギー、重ね合わせの理、テブナンの定理、複素表示(フェーザ表示)、インピーダンス、アドミタンス、交流電力とインピーダンス整合、共振回路などの項目について学習する電気電子工学にとって,最も重要な基礎科目の一つである。まず、電気回路に用いられる基本素子(変成器を含む)と電気回路の基本となる法則を学ぶ。次に正弦波交流回路において回路を微分方程式で記述できることを学ぶ。さらに,複素数の極座標表示を駆使した正弦波交流の電圧・電流のフェーザ表示(複素数表示)について学び、その表示に基づくインピーダンスの概念を導入する。フェーザ表示により、正弦波交流回路の定常応答解を与える微分方程式は代数方程式に変換され、四則演算のみを用いてその解を得ることが可能になる。さらに、インピーダンスとアドミタンスの概念を用いることで、交流回路を直流回路の延長として同様に扱えるようになる。最後に、インピーダンス整合,共振回路を理解する。

【授業の到達目標】
○キルヒホッフの法則,重ね合わせの理,テブナンの定理を使って直流回路の計算ができる。
○抵抗,容量,インダクタ、変成器などの基本素子の基礎的な性質を説明できる。
○正弦波交流が加えられた直列あるいは並列に接続された基本素子の交流特性を説明できる。
○正弦波の複素数(フェーザ)表示を用い,交流回路の計算ができる。
○インピーダンスおよびアドミタンスならびにインピーダンス整合を理解し,電力の計算ができる。
○直列・並列共振回路の共振特性を図および式で表現できる。

【授業概要(キーワード)】
キルヒホッフの法則,回路素子、回路方程式,フェーザ表示、インピーダンス、アドミタンス、交流電力、共振回路。

【科目の位置付け】
電気電子工学の基礎知識を習得し、問題解決能力を養うための講義である。また電気電子工学実験の項目(Ⅰ-1インピーダンス及びⅠ-2共振回路等)と関連させて電気現象への理解を深めるための講義でもある。

【授業計画】
・授業の方法
週2回授業があるが、講義の直後の授業でその内容に関する演習を行う、という形で進めていく。毎回出席をとる。応用問題として、演習では何回かの講義内容にまたがる問題も出題される。演習問題はプリントして配布する。
演習の進め方:(1)講義の時間に演習問題を配布するので、演習の時間までにその予習をしてくる。(2)演習の時間が終わるまでにその演習問題を解き、配布された下書き用の解答用紙に解答を記入しておく。この下書き用の解答用紙は演習の時間の最後に提出する。(3)演習の時間内に、配布された清書用の解答用紙に下書き用の解答用紙の内容を転記する。(4)演習の時間の最後に、下書き用の解答用紙と引き換えに模範解答を受け取り、次回の講義の時間までに、清書用の解答用紙を自己採点して、講義の時間に提出する。自己採点時には、点数(各小問点数,合計点数とも)を必ず赤字で記入する。(5)毎回の解答用紙は保存するため、返却ができないから、必要な場合には、演習の時間の後に各自、自己採点した清書用の解答用紙をコピーをしておく。(6)演習の時間には、数人の人に黒板に解答を記入しながらその簡単な解説をしてもらうことがある。
以上のことを毎週繰り返してゆく。
・日程
第1-2週 直流回路/第3-4週 受動回路素子/第5-6週 正弦波交流と受動素子の交流特性/第7週 中間試験とまとめ/第8-9週 複素数と正弦波の複素表示/第10-12週 インピーダンスとアドミタンス/第13-14週 共振回路の性質/第15週 期末試験と解説
演習は最低15回を予定している。演習の時間に補足の講義を行うことがある。

【学習の方法】
・受講のあり方
講義中は「話された内容」をノートにきちんと書きとり、復習や試験の勉強に役立つようにする。 わからないところは、担当教員やTAに質問し、不明のままにしておかないこと。
私語、喫煙、そのほか、他の受講生の迷惑となる行為を行った場合は、受講を遠慮していただき、欠席扱いとする。
・授業時間外学習へのアドバイス
シラバスで予定されているところを予め勉強しておく。全体の中の位置づけや前後のつながりも、試験前までに考えておくこと。授業中にとったノートや演習の問題、模範解答を十分検討し、確実に身につけるようにする。

【成績の評価】
・基準
授業概要に記載の各テーマについて毎週の演習及び2回の試験を行い,到達目標に達したと判断される者を合格とする。演習は講義が行われたテーマに関して、到達目標に照らして十分な学習が行われたとみなせる場合に満点(1回2点)とする。従って、提出しさえすれば点数がもらえるわけではない。試験は、中間試験と期末試験を行うが、到達目標のうち、前半の3項目については中間試験で、後半の3項目については期末試験で、その到達度を問う問題が出る。試験の各問題は、第3種電気主任技術者の試験における電気回路の問題を解くことができる水準のものとする。
・方法
中間試験30点,期末試験40点,演習問題30点(毎回の成績を合算して30点に換算),合計100点で,60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
(著者)柳沢 健、(書名)回路理論基礎、(発行所)電気学会、(発売元)オーム社、(価格)2,400円+(税)
(著者)大野 克郎、西 哲生、(書名)大学課程 電気回路(1)、(出版社)オーム社、(価格)2,600円+(税)

【その他】
・学生へのメッセージ
予習、復習をしっかり行なうように。電気回路は電磁気学と並んで、電気・電子工学の最も重要な基礎を与える理論である。ここで得た知識を基にして、後に続く、アナログ・デジタル信号処理、電子回路、制御工学などを容易に理解していくことができる。電気回路Ⅰでつまづくことは、在学中の本学科での勉学全般に壊滅的な悪影響を与えることになるので、気を引き締めて講義に臨むように。演習では、「どのように」問題を解くかという方法の「習得」もさることながら、「なぜ」そうした問題の解法が可能なのかという、理由の「理解」を深めるために問題を解いていくことこそが最も重要である。
・オフィス・アワー
時間は最初の講義の際に連絡する。教員の居室は工学部8号館8-319号である。

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