線形システム入門
 Introduction to Linear System Theory
 担当教員:田村 安孝(TAMURA Yasutaka)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:情報科学科  科目区分:専門科目・選択必修 
【授業の目的】
線形システム理論の基礎を理解する。線形システムの基本的な考え方である,インパルス応答,周波数応答を導入し,数学的な道具としてのフーリエ変換とその性質を学ぶ。次に,線形・時不変のシステムでの入出力関係が時間領域ではコンボリューション積分,周波数領域では伝達関数による積になることを理解する。また、ラプラス変換の基礎を解説する。

【授業の到達目標】
(a)インパルス応答とコンボリューション積分について説明できること。(b)線形時不変システムのインパルス応答,入力,出力の間のコンボリューション積分の式を導出できること。(c)周波数応答の意味を説明できること。 (d)正弦波の複素三角関数表現を計算できること。(e)振幅と位相の周波数特性から伝達関数を計算できること。(f)フーリエ変換の解釈について説明でき,簡単な信号のフーリエ変換が計算できること。(g)時間領域でのコンボリューション積分の関係が周波数領域では乗算になることを導出できること。(h)ラプラス変換の式の説明ができること。(i)基本的な信号のラプラス変換を導出できること。(j)ラプラス変換に関して,コンボリューション定理,最終値の定理などを説明できること。(k)複素周波数領域の伝達関数から周波数応答を導き出せること。

【授業概要(キーワード)】
線形システム,インパルス応答,周波数応答,伝達関数,フーリエ変換,ラプラス変換

【科目の位置付け】
情報科学科の学習・教育目標の(B)(情報基礎力)に対応する。
数学的基盤に関連する科目:「微積分解法」と「数学I」を受講していることが望ましいが必須の条件ではない。数学的に厳密な取り扱いは「数学Ⅲ」,「数学Ⅳ」で理解してもらうこととし,工学的な意味の理解を中心とする。
「線形システム入門」の知識を利用する主な科目:「制御工学」,「信号処理」,「画像処理」

【授業計画】
・授業の方法
講義形式で授業を進める。講義中に質問用紙を配布し,演習問題の解答,質問,意見を書いて提出してもらう。演習問題の解答と質問・意見の記入のために10~15分程度の時間を使う。
・日程
1 信号とシステム 2 δ関数による表現 3 インパルス応答とコンボリューション
4 正弦波による表現 5 周波数応答と伝達関数 6 フーリエ変換
7 フーリエ変換の諸定理 8 フーリエ変換の演習 9 中間試験と解説
10 ラプラス変換 11 ラプラス変換の諸定理 12 ラプラス変換の応用、
13 フーリエ変換とラプラス変換 14 ラプラス変換の演習 15 試験と解説
ただし,上記の日程は受講者の理解度に応じて変更されることがある。

【学習の方法】
・受講のあり方
1)講義開始前に教室に入り,板書の記録と演習用の記入欄を持つ講義資料を受け取る。配布資料は抜き差し可能なファイルに綴じておく。
2)授業開始時間がきたら直ちに講義が始まる。配布資料の空欄にスクリーンに示される内容を筆記する。
3)講義中の私語等は厳に謹み,携帯電話や携帯情報端末などの電源を切る。質問用紙に講義に対する質問・意見を書いてもらう。質問・意見は講義の進行にフィードバックし,質問・意見の有無によって講義に参加していたかどうかの評価にも用いる。
・授業時間外学習へのアドバイス
毎回の講義終了時に次回の講義内容について予告するので,テキストと配布資料の該当部分に目を通しておく。講義資料,テキスト,ノートを併せて復習に利用する。不明の点があれば資料に記載の参考文献を調べるか,担当教員に質問する。講義の配布資料およびスライドショーのファイルはwebで公開するので,必要に応じて参考にする。

【成績の評価】
・基準
「授業概要(到達目標)」の各項目が達成されていることを,筆記試験(中間試験,定期試験)および質問用紙の評価点により示すことが,合格の基準となる。
・方法
中間試験(40点),定期試験(40点),質問用紙の内容(20点)を総合し,合計100点で評価する。60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:小畑秀文,浜田望,田村安孝:信号処理入門,コロナ社

【その他】
・オフィス・アワー
毎週木曜日 16:00-17:00,相談場所:工学部8号館,8-205号室

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