安全工学
 Safety Engineering
 担当教員:桑名 一徳(KUWANA Kazunori)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)物質化学工学分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:バイオ化学工学科  科目区分:専門基礎科目・選択必修 
【授業の目的】
20世紀からの技術革新によって人類は多くの利便性を手に入れてきたが、同時に産業における大量生産・消費・廃棄に伴う環境破壊、化学物質・危険物質による産業災害などにも直面しつつある。化学系学生にとっては今後の各種化学実験、卒業研究、修士論文、産業界の各種現場において取扱う可能性のある化学物質や危険物質によってもたらされる諸災害を防止するための安全指針を修得することは極めて重要なことである。安全は与えられるものではない。
災害は自然災害と人為災害とに大別されるが、人為災害の発生源は人間の側にある。したがって、原則的には未然に防止可能である。安全工学は人為災害の発生原因究明に必要な科学と人為災害防止に必要な技術に関する系統的な学問体系である。本講義では、化学工業における安全工学に重点をおき、甲種危険物取扱者の資格試験へのチャレンジを目指し、免許取得の支援をするのがねらいである。また、救命講習を体験することで、より安全への意識を涵養させることもねらいの一つである。

【授業の到達目標】
安全工学の講義は消防法に基づく危険物としての化学物質及び関連物質の取扱上の防災と安全に関する知識を身につける。特に危険物取扱者免許取得のための基礎知識について身につけ、また諸化学物質等に適用される高圧ガス取締法、火薬類取締法、毒物劇物取締法との関連についても触れる。この講義をもとに、危険物取扱者免許(甲種または乙種4類等)を積極的に取得することが目標である。

【授業概要(キーワード)】
安全、防災、危険物、化学物質、高圧ガス、消防法、応急手当、救命講習、心肺蘇生法、人工呼吸方、自動体外式助細動(AED)

【科目の位置付け】
この科目はバイオ化学工学科の教育目標のB(専門知識の習得)に該当する。

【授業計画】
・授業の方法
必要に応じてプリントを配布し、主に12週の講義と180分の救命講習、期末テストおよびその解説を行う。
・日程
第1週 安全工学について(安全工学の目的と意義、国家試験免許)
第2週 産業災害
第3~9週 危険性物質
第10~12週 危険物関連法令
第13~14週 救命講習(止血法、心肺蘇生法、人工呼吸法、AED)
第15週 期末テストと解説

【学習の方法】
・受講のあり方
本講義で学んだことを活かすには、危険物取扱者の資格試験にチャレンジすることである。
得られた免許および経験は、技術者としてのそれぞれの将来に大いに寄与することは間違いない。
・授業時間外学習へのアドバイス
常に「環境・安全・健康」に留意すること。
学んだことは、その日の内にもう一度反復すること。

【成績の評価】
・基準
救命講習を受講し、レポート30点期末テスト70点の合計が60点以上を合格とする。また、授業開講の当該年度内に危険物取扱者免許甲種を取得した場合は90点、乙種4類を取得した場合は80点以上の評価とする(ただし、救命講習を受講し、レポートをすべて提出し、期末テストを受験すること)。なお、既に上記の危険物取扱免許を取得した学生も必ず救命講習の受講、レポートの提出をし、期末テストを受けること。
・方法
成績評価はレポートおよび期末テストで行う。100点満点中60点以上が合格であるが、救命講習を必ず受講することが条件である。

【テキスト・参考書】
テキスト:特になし
参考書:前澤正禮「化学安全工学概論」共立出版、北川徹三「化学安全工学」日刊工業新聞社、奥吉新平「甲種危険物試験合格大作戦」弘文社など

【その他】
・学生へのメッセージ
人生にはどんなことが起こるか分からない。いざという時にできる人とできない人では、天と地ほどの差が生まれる。危険物取扱者の資格試験や救命講習は積極的にチャレンジすること。経験は貴重な財産である。なお、危険物取扱者の国家試験は当該年度内に複数回の受験機会があるので,積極的に受験して欲しい。
・オフィス・アワー
基本的には、講義のある曜日の午後4時以降1時間程度を当てる。
なお,その他に時間の余裕がある場合にも対応する。
連絡先:TEL:0238-26-3167
E-mail : kuwana@yz.yamagata-u.ac.jp

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