【授業の目的】
振動現象の理解。振動解析法の基礎理論の修得とその有用性を理解する。
【授業の到達目標】
1) 振動現象を理解できること。また,振動制御,振動絶縁,振動利用技術に必要な振動の基礎理論を把握できること。 2) ニュートンの第2法則またはダランベールの原理に基づき,要素に働く力とモーメントのつりあいから振動現象を支配する運動方程式の誘導ができること。 3) 自由振動,強制振動,固有振動数,周期,固有振動モード,減衰振動,連成振動,共振現象について具体的な説明ができること。
【授業概要(キーワード)】
自由振動,強制振動,運動の法則,振動解析法,減衰系,連成,共振,1次元弾性体の振動解析
【科目の位置付け】
学習・教育到達目標 (G)「機械工学の基礎力」(重み1.0)の修得 に対応する科目である。
【授業計画】
・授業の方法
講義と演習を交互に行う1回90分の授業を15週にわたり行います。演習の一部として復習のレポート提出を課します。
・日程
第1週 振動の世界の紹介:いろいろな振動現象,振動による災害, 振動の計測法,振動の積極的利用など (予習)身の回りの振動現象にはどんなものがあるか,テキスト(P1-6)を読んで考えておくこと。 (復習)「振動とは何か」のビデオの内容の要点をレポートとして提出すること。 第2週 振動とその性質:振動とは何か,調和振動,不規則振動 (予習)テキスト(P9-13)を読んで振動,振動数,周期の定義,意味を確認しておくこと。 (復習)問題1.1-1.4から課せられる課題をレポートとして提出すること。 [1自由度系の振動] 第3週 非減衰自由振動(並進運動系):調和振動,固有振動数,固有振動周期,合成ばね定数 (予習)テキスト(P17-19)を読んで,慣性モーメント,ばね定数,復元力とは何か確認しておくこと。運動方程式の求め方,2階線形常微分方程式の解法を確認しておくこと。 (復習)問題3.1-3.2などから課せられる課題をレポートとして提出すること。 第4週 非減衰自由振動(回転運動系):振り子の自由振動,単振子,振子の等時性 (予習)テキスト(P21-26)を読んで,運動方程式の求め方,慣性モーメント,ばね定数,復元力,振子とは何か確認しておくこと。 (復習))問題3.4-3.8などから課せられる課題をレポートとして提出すること。 第5週 エネルギ法とその応用例 (予習)テキスト(P28-30)を読んで,運動エネルギ,位置エネルギ,弾性エネルギ,エネルギ保存則とは何か確認しておくこと。 (復習)問題3.10-3.14などから課せられる課題をレポートとして提出すること。 第6週 減衰自由振動:過減衰,臨界減衰,減衰振動 (予習)テキスト(P31-36)を読んで,粘性減衰,ダッシュポット,2階線形常微分方程式の解法,双曲線関数,オイラーの公式を確認しておくこと。 (復習)典型的減衰振動曲線の概形をレポートとして提出すること。 第7週 減衰自由振動:対数減衰率 (予習)テキスト(P31-36)を読んで,対数と指数の関係を確認しておくこと。 (復習)問題3.15-3.17などから課せられる課題をレポートとして提出すること。 第8週 非減衰強制振動:周期加振力,周期加振変位,共振,周波数応答曲線 (予習)テキスト(P41-43) を読んでおくこと。 (復習)非同次2階線形常微分方程式の解法を復習し,同次解,特殊解の定義を調べておくこと。 第9週 減衰強制振動:共振,周波数応答曲線,Q値,変位伝達率 (予習)テキスト(P44-50)を読んでおくこと。 (復習)問題3.18-3.19などから課せられる課題をレポートとして提出すること。
[多自由度系の振動] 第10週 2自由度非減衰系の振動:並進運動系 (予習)テキスト(P63-67)を読んで,運動方程式の求め方,2階連立線形常微分方程式の解法を確認しておくこと。 (復習)問題4.1などから課せられる課題をレポートとして提出すること。 第11週 2自由度非減衰系の振動:回転運動系 (予習)テキスト(P68-70)を読んでおくこと。 (復習)問題4.2などから課せられる課題をレポートとして提出すること。 [1次元弾性体の振動] 第12-13週 棒の縦振動 (予習)テキスト(P105-108)を読んでおくこと。棒の引張り・圧縮における応力,ひずみを復習しておくこと。2階偏微分方程式の解法を確認しておくこと。また,P101-102の解法の流れを読んでおくこと。 (復習)問題5.5-5.9から課せられる課題をレポートとして提出すること。 第13-14週 梁の曲げ振動 (予習)テキスト(P113-117)を読んでおくこと。材料力学における「梁のたわみの基礎方程式」について復習しておくこと。 (復習)問題5.13-5.17から課せられる課題をレポートとして提出すること。 第15週 総括および期末試験
【学習の方法】
・受講のあり方
毎回の講義を良く聞いて理解すること。それを授業中に行われる演習問題でチェックし,分からないことは質問すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
予習のあり方: あらかじめテキストに目を通して授業にのぞむこと。
復習のあり方: 復習として,毎回出題される課題をきちんと自分で解いてみること。さらに参考書で類似の問題を解いてみること。
【成績の評価】
・基準
1) 振動現象を理解,説明できる。また,振動制御,振動絶縁,振動利用技術に必要な振動の基礎理論を説明できる。 2) ニュートンの第2法則またはダランベールの原理に基づき,要素に働く力とモーメントのつりあいから振動現象を支配する運動方程式の誘導ができる。 3) 自由振動,強制振動,固有振動数,周期,固有振動モード,減衰振動,連成振動,共振現象について具体的な説明ができる。
・方法
期末筆記試験を60点,レポートまたはミニテストなどを40点とし,成績を決定する。合格ラインは60点とする。
【テキスト・参考書】
テキスト:千葉 正克,小沢田 正:構造振動学,共立出版,(2016),3,200円 参考書: 1.斎藤 秀雄:工業基礎振動学,養賢堂,(1977),3,600円 2.岩壺 卓三,松久 寛:振動工学の基礎,森北出版,(2008),2,800円 3.振動工学ハンドブック,養賢堂,(1976),12,000円
【その他】
・学生へのメッセージ
振動工学は,機械工学の分野では基礎的かつ必要不可欠な科目です。ほとんどの人が,エンジニアとしてなんらかの形でおつき合いすることになる分野です。身近な振動現象の理解や機械構造物の耐震設計に役立つことを感じて下さい。
履修にあたっての留意点: 講義中使用した基礎的な数学,特に微分方程式の解法などで不明な点をそのままにせず,必ず復習し習得しておくこと。ノートはまめに取ること。講義中の私語は厳禁。
・オフィス・アワー
毎週金曜日17:00~18:00,工学部6号館,6-607号室.
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