有機化学Ⅲ
 Organic Chemistry III
 担当教員:落合 文吾(OCHIAI Bungo)
 担当教員の所属:理工学研究科物質化学工学専攻
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:物質化学工学科  科目区分:専門科目・選択必修 
【授業の目的】
有機化学は炭素原子の持つ共有結合性を理解する学問分野である。従来、暗記の学問のように考えられているが、必然性が理解できる理論化学の面を持っている分野である。何故結合が切れて、新しい結合が出来るのか、何故有機分子は新しい分子へと変化するのかを理解する学問である。
有機化学 I,IIに引き続いて有機化学の基礎の講義である。テキストの19章では、アルデヒドとケトンについて、命名法、アルデヒドの合成、ケトンの合成、アルデヒドの反応、アルデヒドとケトンの求核付加反応等について解説する。20章では、カルボン酸の命名、物理的性質、酸性度、カルボン酸の製造、カルボン酸の反応等を解説する。21章では、カルボン酸誘導体の命名と求核アシル置換反応を詳細に解説する。次に、22章では、カルボニル化合物の代表的な反応であるα-置換反応を解説し、23章では、カルボニル縮合反応について解説するが、それらを通して、有機反応を電子の移動をもとに理解するようにする。24章では、アミンの命名法から塩基性度、アミンの合成法、アミンの反応について解説し、基礎有機化学のまとめとする。

【授業の到達目標】
有機化学の基礎として、以下の項目について理解する。
a)アルデヒドとケトンについて基礎的な知識、合成法、反応性などを理解する。
b)カルボン酸とその誘導体に関する基本的な知識を理解する。
c)代表的な有機反応の一つであるα-置換反応と縮合反応について理論的に理解する。
d)アミンとその誘導体に関する基本的な知識を理解する。
この科目は、物質化学工学科教育プログラムの学習教育目標「(B)工学基礎および専門知識の習得と継続的学習」に対応する。

【授業概要(キーワード)】
アルデヒド、ケトン、カルボン酸、求核アシル置換反応、カルボニルのα-置換反応、カルボニル縮合反応、アミン

【科目の位置付け】
この科目は、物質化学工学科教育プログラムの学習教育目標(B) 工学基礎および専門知識の習得と継続的学習に対応する。化学を学ぶ学生にとっては大切な科目である。

【授業計画】
・授業の方法
初回に授業の概要、進め方を伝える。毎回ミニッツ・ペーパーを用いて問題を解いてもらう。教科書中の問題を適宜レポートとして課す。
・日程
第1週~第2週 19章 アルデヒドとケトン:求核付加反応
第3週~第5週 20章 カルボン酸
第6週~第7週 21章 カルボン酸誘導体と求核アシル置換反応
第8週 中間試験
第9週~第10週 22章 カルボニルのα置換反応
第11週~第12週 23章 カルボニル縮合反応
第13週~第14週 24章 アミン
第15週 期末試験と解説

【学習の方法】
・受講のあり方
予習をして授業に臨んで欲しい。教科書は必ず持参して授業を受けること。授業中は私語、飲食等でで他の受講生の迷惑となる行為は厳禁です。
・授業時間外学習へのアドバイス
教科書を読んで、予め概要をつかんでおくと理解が早い。
授業で習ったところを見直し、練習問題を解くことによって、さらに理解が深まります。
研究室のウェブサイトに補足資料があります。

【成績の評価】
・基準
中間試験と期末試験を各40点で80点、それにレポート点を20点として計100点とする。そのうち60点以上を合格とする。なお出席が3分の2に満たない学生は、期末試験を受けることが出来ません。
90点以上:カルボニル化合物およびその誘導体、アミン化合物とその誘導体に関する理解と知識が特に優れており、これらの有機分子の特性、合成法や反応について、しっかりと説明ができる。80-89点:カルボニル化合物およびその誘導体、アミン化合物とその誘導体に関する理解と知識が優れており、これらの有機分子の特性、合成法や反応について、おおよそ説明ができる。
評価70-79点:カルボン酸とアミン化合物及びその誘導体について、その構造と命名法について理解している。また、これらの有機分子の特性や反応について理解している。
評価 60-69点:カルボン酸とアミン化合物及びその誘導体について、その構造と命名法、さらに、これらの有機分子の特性についておおよそ理解している。
・方法
毎回、授業のたびにミニッツペーパーに問題の解答を解いてもらいます。また、適宜レポートが課されます。これらと中間試験と期末試験の成績を合わせて成績評価とします。

【テキスト・参考書】
テキスト
J.マクマリー有機化学 第8版、中、下 / JOHN McMUARRY 著/ 伊藤・児玉・荻野・深澤・通 訳
参考書
東京化学同人(2009)
ボルハルト・ショア- 現代有機化学(上下巻)
ブルース 有機化学(上下巻)
モリソン・ボイド 有機化学(上中下巻)

【その他】
・学生へのメッセージ
有機化学の多様さに気が付いて面白いと思うか、学ぶことの多さに投げ出したくなるかは、大きな分かれ道である。有機化学は実証の学問であり、実験で確かめることのでき、最先端の話題へと繋がるる広い世界が待っています。有機化学の面白さがわかるよう頑張って欲しい。
他に有機化学I,IIを学習して、官能基別に基礎をすべて学んだことになります。すべての履修が望ましい。
・オフィス・アワー
月曜日16:00~17:00 グリーンマテリアル加工研究所3階教員室

50105250-2017-05-53244