設計工学
 Mechanical Design
 担当教員:飯塚 博(IIZUKA Hiroshi)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科 (工学系)
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択必修(デザイン・ロボティクス),選択(材料・構造工学、熱流体・エネルギー工学) 
【授業の目的】
近年,機械設計を取り巻く環境は大きく変化し,安全・省資源・環境等の観点に加えて,顧客視点に立った付加価値の創出が求められている。本講義では,それらの新しい観点について概説した後、最近発生した破損事故やフェイルセーフ等の設計思想等に関する話題を取り混ぜながら、設計工学の基礎について講義する。

【授業の到達目標】
この授業は機械システム工学科の学習・教育到達目標の(H)「実践的機械工学(デザイン・ロボティクス分野)の修得」に対応する科目である.具体的な到達目標は,
(1)最近重要視されている新しい設計の観点を4項目以上挙げられる
(2)基礎的な設計思想を3項目以上挙げられる
(3)素材の原子結合、特性、特性を活かした使用方法の関連を説明できる
(4)応力集中がどこに生じるかを具体例を3つ以上挙げながら説明できる
(5)基礎的な機械要素であるねじ,軸,歯車の破壊強度を計算できる

【授業概要(キーワード)】
引張・圧縮・せん断応力とひずみ,材料の強度と許容応力,ねじり,応力集中,応力解析

【科目の位置付け】
この授業は機械システム工学科の学習・教育到達目標の(A)「工学の基礎力」(重み0.15),(H)「実践的機械工学(デザイン・ロボティクス分野)の修得」(重み0.85)に対応する科目である。

【授業計画】
・授業の方法
毎回,講義に際して課題プリントを配布する。そのプリントを基に予習・復習を行い,内容を完成させて提出する。
・日程
授業は90分*15週にわたり,講義およびその内容を発展させた演習問題等に取り組みながら進める。
第1週;設計を取り巻く諸問題
(予習)教科書1.2節「機械設計を取り巻く諸問題」を読み理解しておくこと
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第2週;材料選定の基礎
(予習)金属結合・共有結合・イオン結合・分子結合の概要を予習しておくこと
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第3週;比強度・比剛性
(予習)軽くて強い材料の利点について理解しておくこと
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第4週;応力集中
(予習)教科書2.3.1.(c)項「応力集中」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第5週;き裂に着目した強度
(予習)教科書2.3.1.(d)項「き裂材の応力」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第6週;寿命予測法
(予習)教科書2.3.3.(a)節「S-N曲線」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第7週;高温強度
(予習)教科書2.3.4節「高温強度」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第8週;中間評価と解説
(予習)第1-7週に配布したプリントをよく復習してくること
(復習)評価の内容と教員からのコメントをよく理解すること
第9週;安全率の考え方
(予習)材料力学の講義で説明された安全率について理解しておくこと
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第10週;設計思想
(予習)教科書2.3.5節「許容応力と安全率」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第11週;締結要素・ねじ
(予習)教科書1.1.2節「ねじの用途と種類」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第12週;軸の設計
(予習)教科書2.1.1節「軸の種類」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第13週;歯車の使い方
(予習)教科書3.1.14節「歯車機構」を読んでくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること
第14週;歯車の強度
(予習)教科書3.1.8節「歯の強度」を読んでくること (復習)評価の内容と教員からのコメントをよく理解すること
第15週;期末評価と総括
(予習)第9-14週に配布したプリントをよく復習してくること
(復習)配布したプリントにある演習問題を解答し,次週に提出すること

【学習の方法】
・受講のあり方
詳細な公式の内容よりも全体の流れとイメージを捕らえることが大切である。
・授業時間外学習へのアドバイス
配布するプリントに記した課題を1時間程度で解きながら,復習すること。また,主に指定した教科書を用いて次回講義に関するポイントを30分程度予習すること。マスコミで話題になる破壊事故や設計不良等の情報に常に注意すること。

【成績の評価】
・基準
評価は学習・教育目標の(J)「システム設計工学分野の習得」に関し,現代的な課題や設計思想を説明できる(20%),材料特性に合った材料の使い方を判断できる(30%),材料の寿命・強度評価に関する判断を式で表現できる(30%),そして機械要素の使い方と強度評価を式で表現できる(20%)の重みで評価する。
・方法
到達度は到達目標の各項目について,中間評価(30点),期末評価(40点)と毎回の課題実施状況(30点)の合計100点満点によって評価する。この講義の合格は60点以上である。

【テキスト・参考書】
尾田十八・室津義定共編、機械設計工学1 [要素と設計]改訂版,培風館

【その他】
・学生へのメッセージ
マスコミをにぎわす破壊事故や設計不良のニュースは他人事ではないことをよく認識して,問題意識をもって受講してほしい。基礎材料力学及び演習,工業材料,運動と力学、基礎製図を受講した後で受講することが望ましい。
・オフィス・アワー
月曜日の16:00-17:00

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