【授業の目的】
化学反応を適当に進行させるためには,原料を適当な温度にすることが必要である。また,化学反応は発熱や吸熱を伴うため,その熱の除去や供給は不可欠である。さらに,蒸発や乾燥などの基本的な操作にも熱移動は必要になる。さらに,化学反応は,反応の起こる場所に原料分子が移動しなければ起こらない。どの程度の速さで物質が移動してくるのか,その移動メカニズムは何かを把握しておかなければ,反応装置の設計,運転はできない。ここでは,こうした熱移動と物質移動の基礎的な知識を得ることを目的とする。
【授業の到達目標】
1) 熱移動の3つの形態を説明できる,2) 熱移動速度を計算できる,3) 熱移動装置に関して簡単な計算が出来る,4) 物質移動の形態を説明できる,5) 物質移動速度を計算できる,6) 物質移動と熱移動が同時に起こる現象を説明できる。
【授業概要(キーワード)】
熱移動,フーリエの式,熱収支,熱伝導方程式,伝導,対流,輻射,熱伝導率,熱伝達係数,熱交換器,物質移動,フィックの式,拡散方程式,拡散係数,物質移動係数,物質収支
【科目の位置付け】
この授業は,熱と物質の移動現象について,数理モデルを構築し,理論的に解析できるための基礎的な知識を身に付けるためのものである。
【授業計画】
・授業の方法
基本的に板書による講義。ときに宿題を課す。
・日程
以下の内容について講義する。 第1週~第7週:熱移動 ・温度と温度計,熱移動の三形態 ・熱伝導 ・流体の流れと熱伝達 ・強制対流熱伝達 ・自然対流熱伝達 ・熱伝達現象の次元解析 ・熱交換器 第8週~第14週:物質移動 ・物質移動の形態 ・拡散の基礎~Fickの法則~ ・物質収支と拡散方程式 ・物質移動係数による現象の解析 ・物質と熱の同時移動 第15週:期末試験とまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
講義内容をノートに筆記し,その内容の理解に努める。
・授業時間外学習へのアドバイス
宿題として出された問題は必ず自力で解いておくこと。また,講義中に解説した例題などは必ずもう一度自分で解いてみること。理解不足な箇所は参考書などで補うこと。
【成績の評価】
・基準
熱移動,物質移動速度が計算でき,さらに両者に関する簡単な微分方程式を導出でき,それを解いて空間的な温度分布,濃度分布を計算できることを合格の基準とする。
・方法
100点満点の期末試験で60点以上を合格とする。
【テキスト・参考書】
「ベーシック移動現象論」吉川史郎著,化学同人
【その他】
・学生へのメッセージ
大学というところは自分で勉強するところです。自分が苦労したことだけが身に付きます。すべてにおいて能動的に行動してください。講義には技術者として必要だと考えられる内容を選定してあります。これが難しいと感じたら,理解できるように努力を払ってください。自分で選んだ進路です。卒業後の実りある人生のためのトレーニングです。高校物理における様々な物理量の単位を理解しておくこと。SI 単位を理解しておくこと。
・オフィス・アワー
宍戸昌広:金曜日16:00~17:00(3-2107)
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