技術者倫理
 Engineering Ethics
 担当教員:立花 和宏(TACHIBANA kazuhiro)、會田忠弘(AITA Tadahiro)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)物質化学工学分野
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:バイオ化学工学科  科目区分:基盤教育科目・展開科目・◎必修 
【授業の目的】
あらゆる近代技術は危険なものを安全に使いこなす知恵だといいかえてもよい。それゆえ、技術者には専門的な能力に加え、高い倫理性が要求される。では技術者の倫理にゆだねられているものとは何なのか~技術者の倫理が問われるのはどのような場合なのか~技術者が専門的な職務を遂行する上で、倫理的な葛藤に遭遇した場合、どのように対処すればよいのか~近代技術の発展の歴史を踏まえて、さまざまな事例を通して議論する。
技術者として20年、30年と仕事をしていれば、否応なしにさまざまな倫理的な葛藤を経験するだろう。そのようなとき適切な行動をとるための指針を得ることをねらいとする。

【授業の到達目標】
1)技術者の持つ専門的能力が社会へ及ぼすリスクを自覚し、そのことを適切に説明できるようになること。
2)技術者としての必要な法規や規範についての基礎的知識を身につけ、そのことを適切に説明できるようになること。
3)技術者として遭遇する倫理的な葛藤に対して適切な行動指針を身につけること。
4)事例研究を通して、事故等が起きた原因を技術者の倫理、企業の倫理から分析できること。

【授業概要(キーワード)】
安全;環境;資源;危機管理;危険予知;技術者倫理;工学倫理;技術倫理;知的財産権;産業財産権

【科目の位置付け】
この授業は、健全な価値観に基づいた技術者としての倫理観を体得し、グローバルな視点から多面的に物事を捉え先導できる能力を身につけるものである(工学部・ディプロマ・ポリシー)。
本科目は、物質化学工学科の学習・教育目標「(A)人類の幸福に貢献できる技術者の育成」に該当する。

【授業計画】
・授業の方法
講義は前半を立花が後半を會田が行う。
前半
1)テキストを中心に素読と講義を行う。テキストを素読する学生を指名するのでテキストは必ず購入すること。
2)講義の途中で小演習を行う。
3)講義のポイントをミニッツペーパーの記入し、提出させる。
後半
1)技術者倫理に関わる様々な用語について説明する。
2)事故等の事例を紹介し、倫理面から問題を分析する方法について解説する。
3)受講者が事例研究を行い、倫理面からの分析を行う。
・日程
前半
1週 哲学と思想-技術者倫理の位置づけ-
2週 善悪と損得-個人の利益と公共の福祉-
3週 ルールの表現と形式化-法令遵守と知的財産権-
4週 リサイクル-環境保全と資源問題-
5週 安全と品質管理-リスクマネジメントと製造物責任-
6週 未来へ向けて-地球温暖化と人口爆発-
7週 受講ノートの「いいね!」の集計と仕上げ
後半
8週 技術者の倫理と企業の倫理、内部告発
9週 製造物責任、知的財産、営業秘密
10週 安全性とリスク
11週 環境・資源の倫理、研究の倫理、生命・医療の倫理
12週 事例研究
13週 事例研究
14週 事例研究発表会
15週 期末試験

【学習の方法】
・受講のあり方
受講時は必ず学生証を携帯してください。 学術情報基盤センター発行のアカウントを確認してください。 座席は特に指定しません。 視力や聴力が弱い方は前の方の座席に着席してください。 そのほかの障害ついては事前に相談を受けた合理的な配慮についてのみ対応します。 グループ討論できるように相手となる学友の近くに着席してください。 授業時間中に受講エビデンスとして講義ノートの指定部分について写真を撮影し Google+ などに提出公開してもらいます。 スマートフォンやタブレットの端末を所有していない方は、代理アップロードを頼める学友の近くに着席してください。 テキスト(教科書)・受講ノート・教材を準備して授業に臨んでください。 トラブルの原因となるテキストの貸し借りは極力避けてください。 私語、講義中の入退室(遅刻・早退)など他人の受講の妨げとなる行為は慎んでください。 静粛を保つため必要に応じて出入り口を施錠します。 施錠された無断開錠は授業妨害とみなし、履修を取り消すことがあります。 急病等で止むを得ず退室するときは、手を挙げて担当教員の許可を取ってください。 板書は最低限です。リスニングで受講ノートをとってください。 撮影や学友の 署名 書き込みができるなら、ルーズリーフ、テキストの余白を受講ノートとしてかまいません。 受講ノートの写しをアップロードする際は、学籍番号、氏名、受講エビデンス以外の個人情報が映らないよう撮影してください。 教科書の余白に書き込んだ場合、著作権侵害ならないよう撮影してください。 端末を所有しない方が代理アップロードする場合、その理由を明示してください。 端末やネット環境の不具合があった場合、 当該授業を行う教室等以外の場所から アップロードすることができますが、その場合はその理由を明示してください。 受講ノートのアップロードは「本学が実施する試験等」と同等の扱いとします。 代筆、署名のなりすまし、自己の責に帰する当該授業を行う教室等以外の場所からアップロードは 不正行為として扱います。 病気、忌引きなどによる自己の責によらない欠席・遅刻・早退については早めに理由を文書により提出してください。 就職活動による欠席は自己の責として扱います。
・授業時間外学習へのアドバイス
前半
初回授業の授業開始前にテキスト(教科書)・受講ノート・教材を準備してください。 講義中にテキストを音読させるので読めない漢字は授業開始前に振り仮名等を書き込んでおいてください。 学内無線LANに接続設定した撮影機能付のスマホやタブレットをできるだけ準備してください。 課題に対しグループで議論を進めたり、成績評価で保証人や推薦人をお願いしたりする学友を増やしておいてください。 授業時間外を使ってできるだけ保護者への報告書、 工場見学報告書、 ヒヤリハット報告書、それらあるいは授業内容の ホームページ を作成し、提出してください。 授業時間外で生じた疑問が解決できないときは WebClass やミニッツペーパー、あるいは担当教員のオフィスアワーなどを活用してください。 WebClass の利用には学術情報基盤センター発行のアカウントが必要です。パスワードを忘れた人は授業開始前に再発行の手続きをとってください。
後半
事例研究をレポートとして課す。調べるだけでなく、自ら技術者の倫理、企業の倫理から分析を行うこと。

【成績の評価】
・基準
前半
1. エンジニアの信条、技術者、工場、安全などの与えられたテーマについて適切に説明された小論文にまとめられることを合格の基準とします。
2. 社会貢献できる技術者の姿勢について自らの考えを小論文にまとめられることを合格の基準とします。但し、履修過程において不正行為が発覚した場合は、ただちに大学へその事実 を報告し、成績評価の対象外とします。
o 出欠情報収集システム での出席率が67%以上、 WebClass での出席・課題提出が67%以上、 Google+ での課題公開が67%以上。あるいは担当教員が代替相当と認める受講エビデンスをもって単位認定(60点)します。
o 初回時の指定のテキスト(自署の署名があり他者の署名のない指定テキスト)・教材の準備を加点対象とします。
o 積極的な授業への参加(発表、討論、質問、実技)を加点対象とします。
o 保護者への受講報告書(保護者の署名つき)、工場見学報告書(訪問先の担当者の署名つき)、重要文化財見学報告書(米沢工業会担当者の署名つき)開講期間でのヒヤリハット報告書(工学部担当者の署名つき)提出した場合、加点対象とします。
o 授業内容のホームページを作成し、その確認報告書(学友の署名つき)を提出した場合、加点対象とします。

後半
1)事例研究をレポートとして提出すること。レポートでは技術者の倫理、企業の倫理の面から分析していること。
2)期末試験で技術者倫理に関わる用語を正しく理解し解答できること。
・方法
前半
o 出欠情報収集システム での出席率が67%以上、 WebClass での出席率が67%以上、そのほか受講ノートなどエビデンスもとにした単位認定申請書の提出で単位認定(60点)します。
o 初回に指定の教科書(自署の署名があり他者の署名のない指定テキスト)・教材を準備した人に加点する。 提出された受講ノートに作成した小論文の内容で加点する。 受講成果をホームページへ公開した人に加点する。加点は授業時間中に収集した「いいね!」の署名の数を反映する。

後半
レポート40点、定期試験60点 合計100点満点中60点以上合格。
本科目は前半、後半とも60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
中村 収三 編著, 技術者による実践的工学倫理第3版 , 化学同人
松林光男/渡部弘 著, イラスト図解 工場のしくみ , 日本実業出版
小林一也,工業技術基礎、実教出版

【その他】
・学生へのメッセージ
個人の価値観に依存する倫理観は個人の価値観に委ね、本講義では合理的かつ実践的な倫理判断のための知識を提供したい。
「倫理」ではなく「技術者倫理」である。本来は技術者としての専門知識や技術を身につけていることが前提であるので、開講年次に関わらず技術者としての素養を十分磨いておくこと。

諸連絡には下記のホームページを使います(学術情報基盤センター発行のアカウントを確認しておくこと)。
→ https://spf.yz.yamagata-u.ac.jp/fed/yamagata-u/yz/subject/ethics/ ←
・オフィス・アワー
立花和宏:3号館3-3308、9号館300-3
會田忠弘:3号館3-4205、木曜日16:00~17:00

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