地学概論
 General Earth Science
 担当教員:長澤 一雄(NAGASAWA Kazuo)
 担当教員の所属:農学部非常勤講師(元山形県立山形中央高等学校教員)
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:集中講義
 開講対象:教員免許取得希望者  科目区分:必修科目 
【授業の目的】
地学は、固体地球、気象、大気、海洋等から、地球を離れて太陽系、銀河系など広大な宇宙空間を対象とする。そして、地学は地球の歴史46億年、宇宙の歴史137億年など、長い時間を対象とする。授業では、膨大な時空を扱うという地学の特性について概説しながら、固体地球の構成、古生物、プレートテクトニクスと地殻変動、日本列島と山形の地史等についてに学習する。日本列島は、4枚のプレートがせめぎ合う世界で最も過酷な場所である。2011年の東日本大震災のような、ときに巨大地震や大津波が発生することは、決して未曾有の事件ではなく、不可避的に起こる現象である。もしもあのとき、適切な地学の認識をもって、適切な判断をしていたならば、失わずに済んだ尊い生命がどれだけあったか。大地の特性と災害を科学的に学習する機会は、学校教育の中では地学しかない。そうした意味から、地学は変動帯の大地で暮らす国民の必修科目であるべきとも言える。学習内容の定着とフィールドでの観察、および調査法の基礎を学ぶために、野外巡検を実施して、地学を学ぶ意義を深める。

【授業の到達目標】
1)地学が対象とする時間と空間の特性を理解できるようになる。
2)固体地球を構成する岩石や鉱物の特徴を説明できるようになる。
3)地層と化石から古環境の変遷を理解できるようになる。
4)プレートテクトニクスによって地殻変動を説明できるようになる。
5)日本列島や山形県の生い立ちを理解できるようになる。
6)野外巡検を通じて、実際の地学現象を説明できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
理科教員、地学、地層、古生物、プレートテクトニクス、災害

【科目の位置付け】
教員免許状取得のための必修科目

【授業計画】
・授業の方法
授業の進め方は、資料集、プリント、実物標本、スライド等を使用しながら地学の学習事項を説明していく。説明にあたっては、多くの理系学生が高校で地学を履修していない事情を考慮し、学生の理解度を質問等によって確認しながら進めていく。また、地学の特性として、フィールドワークを重視することから、野外巡検を実施する。
・日程
第1回 地学とはどのような科学か。
第2回 大気と海洋の科学。
第3回 宇宙の果てを探る科学。
第4回 地震波特性と地球の内部構造。
第5回 地殻の構造と構成物質。
第6回 岩石と鉱物の分類。
第7回 プレートテクトニクスの基本。
第8回 プレート運動と地殻変動。
第9回 地層の形成と堆積構造。
第10回 化石の特徴と生物の進化。
第11回 山形と日本列島の地史。
第12回 日本列島の災害と地学。
第13回~15回 野外巡検・実習。鶴岡地域の地質を探る。

【学習の方法】
・受講のあり方
第1回~12回は、教室にて講義を主体として行う。(集中講義の予定)
第13回~15回は大学のバスを利用して鶴岡地域の野外巡検と実習を行う。巡検実施要項は別に配布予定。ハンマー、クリノメーター等は準備する。
・授業時間外学習へのアドバイス
興味を持った地学分野の科学書、雑誌、あるいは論文等を読んで、自己の興味・関心を広げることを勧める。他分野の情報が自分の専門に生かせることもことがしばしばある。そうした努力は、必然的に理科教員としての資質の向上につながる。

【成績の評価】
・基準
理科教員として地学的内容の授業を行うための知識が備わっているか、理科教員としての意欲が高いかなどを総合的に判断して合格の基準とする。
・方法
テスト60点+授業参加態度15点+レポート25点=100点

【テキスト・参考書】
参考書:「ニューステージ新地学図表」 浜島書店(理科教員になるために、持っていて損はありません)

【その他】
・学生へのメッセージ
高校で地学を履修していない学生でも理解しやすいように説明に配慮し、また授業内容を構成します。きっと地学が好きになってくれると思います。

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