【授業の目的】
作物病害防除には化学合成農薬に頼らない防除法が理想であるが、ほとんどの生産者にとって農薬は欠かすことの出来ない防除手段となっています。農薬は消費者からネガティブなイメージを持たれていますが、農薬に関する知識、現場での使用の現状などは知られていないことが多いです。ここでは、農薬(特に殺菌剤)に関する様々な知識を理解するとともに、作物病害防除に関するあらゆる防除手段について理解し、それらの防除法を体系化した農薬に過度に依存しない総合的病害防除法(IPM)について考えます。
【授業の到達目標】
適切な病害防除を行うのに必要な病害診断技術および作物病害防除に関するあらゆる防除法を理解します。また、農薬に関する様々な知見、規制、薬剤耐性菌の発生等について理解するとともに、薬剤の使用を最小限にとどめる総合的病害防除法および有機栽培における病害防除法を知ることを目標とします。
【授業概要(キーワード)】
総合的病害防除(IPM)、環境保全型農業、農薬
【科目の位置付け】
環境を保全しながら、安全な農畜産物の持続的生産を担える人材の養成を目指します(安全農産物生産学コースの教育理念)。 なお、本授業を受講する前に、植物病理学と植物感染病学を受講しておくことが望ましい。
【授業計画】
・授業の方法
作物病害防除に関する基礎知識の他、農業現場における防除の実態や近年問題となっている作物病害などもとりあげて授業を進めていきます。
・日程
1.病害診断技術(肉眼診断) 2.病害診断技術(顕微鏡診断) 3.病害診断技術(免疫学的および遺伝子診断) 4.病害診断技術(遺伝子診断、抗原抗体法を利用した高度臨床診断技術) 5.防除技術(耕種的防除、物理的防除、生物的防除、化学的防除) 6.予防技術(耕種的予防技術、物理的予防技術、化学的予防技術、生物予防技術) 7.予防技術(病害抵抗性育種、発生予察、総合的有害生物管理(IPM)) 8.有機栽培における病害防除 9.特別栽培における病害防除 10.農薬の開発と安全性 11.農薬の分類 12.殺菌剤の作用機構 13.薬剤耐性菌の発生および対策 14.残留農薬等ポジティブリスト制度 15.植物病原菌とマイコトキシン(カビ毒)・遺伝子組み換え作物GMOの現状
【学習の方法】
・受講のあり方
パワーポイントで示される講義内容をノートに筆記して内容の理解に努める。
・授業時間外学習へのアドバイス
希望者には事前にパワーポイントファイルを配布するので、事前学習に利用する。
【成績の評価】
・基準
病害診断技術、病害防除技術、環境保全型農業、農薬の作用機作に関する基本的な概念を理解していることを合格の基準とします。
・方法
平常点20%、期末試験とレポート80%による総合評価。
【テキスト・参考書】
植物医科学(上)(難波成任著)養賢堂 植物防疫講座(岡田斉夫他著)日本植物防疫協会 農薬の科学―生物制御と植物保護―(桑野栄一他著)朝倉書店
【その他】
・学生へのメッセージ
地方公務員になると、実際に職場で担当する可能性があるので、しっかり勉強する。
・オフィス・アワー
1461(1号館4階)
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