植物感染病学
 Plant Infection
 担当教員:長谷 修(HASE Shu)
 担当教員の所属:農学部食料生命環境学科安全農産物生産学コース
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:森林科学コース  科目区分:コース選択科目 
【授業の目的】
講義は前後半の2部に分け、前半は、植物病原の80%を占める菌類の病気について、国内外に発生する主要作物病害の病原の生活環とその防除法について代表的な事例を理解することを目的とする。後半は、植物病原体の植物への侵入・感染行動と、発病戦略と植物の病原体に対する抵抗反応の巧妙さなど植物-病原微生物間の相互作用の仕組みについて理解することを目的とする。

【授業の到達目標】
<授業の目的>
前半では、代表的な事例に関する知識を基盤として、関連する病害全体を体系的に理解し、説明できるようになることを目標とする。後半では、植物-病原微生物間の相互作用の仕組みについて研究史を辿りながら最新の知見についても興味を持ち理解できるようになることを目標とする。

【授業概要(キーワード)】
病原体の感染戦略、植物の抵抗反応、主要病害の病原菌

【科目の位置付け】
この授業は,植物病理学の基礎知識をさらに深め,当該分野の問題解決や研究開発へと応用する力を身につけるためのものである(当該コース教育課程編成の方針)。

【授業計画】
・授業の方法
専門用語とその説明を補助的に記述したノート形式のプリントと関連図表を配布し、パワーポイントのスライドを用いて説明する。毎回、講義内容の鍵となる最重要事項(用語)を1から3程度はじめに紹介し、それについて知るところを数行程度で書いてもらいます。講義終了後、改めて、その用語に関連して新規に理解したことを5分程でまとめてそれを提出してもらいます。
・日程
1. 菌類による病害(総論)、原生動物界の病原
2. クロミスタ界の病原
3. 菌界(接合菌門)の病原
4. 菌界(子のう菌門)の病原
5. 菌界(不完全菌類)の病原
6. 菌界(担子菌門)の病原
7. 中間試験と解説
8. 植物病原の侵入と増殖:ウイルス
9. 病原の侵入と増殖:細菌、糸状菌
10. 宿主寄生者間相互作用における特異性
11. 植物の病原に対する応答:静的抵抗性、動的抵抗性
12. 植物の病原に対する応答:エリシターと情報伝達
13. 病原の感染戦略:侵入力、抵抗性抑止力、発病力
14. 病原の感染戦略: 宿主特異的毒素、細菌による感染機構、
15. 期末試験と解説

【学習の方法】
・受講のあり方
細かい専門用語などもあるので、内容を正確に理解する。
毎回授業の初めと終わりに書いてもらうまとめは、試験勉強の一環でもある。短時間でまとめる力の訓練にもなるのでうまく活用してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
後期の植物病理学の内容を理解していることが前提ですすめる。内容が細かく多少複雑であるので、養賢堂の「新植物病理学概論」を読んでくること。専門用語が多いので普段からノートを十分に整理し、復習すること

【成績の評価】
・基準
授業のテーマに関する基本的な概念を正しく,理解し,正確に説明できることを合格の基準とする。
・方法
記述の筆記試験を2回(中間試験と期末試験)行い,平均60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
参考書:新植物病理学概論(養賢堂)、最新植物病理学(朝倉書店)、植物病理学(文永堂出版)、植物病理学(化学同人)

【その他】
・学生へのメッセージ
国家公務員試験や都道府県の公務員上級「農業職」を受験すしようとする人には履修を勧める。また、最近の各種ウイルスなどの伝播、感染などが理解できるので、感染症に対する自己防衛に役立つ。
・オフィス・アワー
火曜日午後

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