現在の大学生の居住環境について、さらに、近い将来、家族生活を営む場となる住宅について、また自然素材を活かした建築資材を供給する林業について考えていきます。国民的な課題である住宅問題と日本の林業問題との関連、そのあり方などについて、木造軸組構法・伝統木構法の住文化、住宅市場の構造と担い手問題を中心に講述します。

居住に関する基本的人権の立場から、住宅問題と林業問題を考えます。さらに、衣食住（food,clothing and shelter)の重要性から見た住宅問題、住まい方の変革（スローな居住）といった観点から居住の主体として十分な知識と判断力を持つことを目的とします。

居住に関する人権、住宅問題、木造軸組工法、伝統木構法、大工・工務店、住宅産業、住宅市場、木材産業、林業問題

川上（森林）から川下（住宅）までの体系的な理解（公務員試験にも例年出題）

講義形式で行い、木造建築について学外研修（レポート提出）も行います。また、課題図書の論評についてレポート提出を行います。

．はじめに（第１回）
２．基本視角―住宅をめぐる人権について
１）住宅問題と人権（第２、３、４回）
２）住宅問題の展開（第５、６回）
３．在来工法の住文化と住文化の地域性
１）在来工法の住文化（第７、８回）
２）日本の住宅問題と在来工法の担い手（第９、10回）
４．在来工法の現状と地域性（第11回）
５．地域住宅市場の構造と特徴（第12回）
６．地域住宅市場の担い手と生産者（第13回）
７．住宅市場の改革と林業政策の転換（第14回）
８．まとめと試験（第15回）
なお、以上は予定であり、変更になる場合もあります。

問題意識をもって受講し、質問があれば積極的に行って下さい。

参考書などをよく読んで、ジャーナルな情報を日常的に集めるといいです。配付資料もよく読み直すといいでしょう。また、林政学分野が開講している講義（森林政策学、林業経済学、森林法律学、森林組合論）を受講することが望ましいです。

100点満点とし、試験(50％)、レポート(30％)、出席状況等(20％)を総合的に判断します。

出席（全講義回数2/3以上）、レポート提出を満たした上で、最終講義時の試験を受験することが可能です。レポートは返却しないので、各自控えをとるようにして下さい。

【テキスト】
１．講義時配付資料
【参考書】
１．宮沢俊義編：世界憲法集、岩波文庫、1986
２．日本住宅会議：住宅憲章、岩波ブックレット123、1988
３．ピーター・メンツェル：地球家族、TOTO出版、1994
４．早川和男：居住福祉、岩波新書527、1997
５．増田一眞：建築構法の変革、建築資料研究社、1998
６．早川和男他編：居住福祉学と人間―「いのちと住まい」の学問ばなし―、三五館、2002
７．小川三四郎：森林組合論－地域協同組合運動の展開と課題、日本林業調査会、2007

日本の大学の授業料は世界一高いです。払った授業料のモトを取るように、積極的に受講して下さい。森林科学コースの具体的な学習目標に該当する番号は（１）、（２）、（３）、（４）、（６）です。
広く住宅問題に関する文献を読破しつつ、受講した方が、より効果的に理解できます。木造住宅や木造の歴史的建築物等の見学を行うこともありますが、入場料等が必要な場合は各人の負担とします（講義時に詳細を説明します）。

あり