森林環境保全学
 Forest protection
 担当教員:森 茂太(MORI Shigeta)
 担当教員の所属:農学部食料生命環境学科森林科学コース
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義など
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
移動できない植物、樹木が環境(温度、水分、風)、昆虫、菌、哺乳類から受けるストレスへどのように適応しているか、山火事へどのように適応しているかなどを分子レベルから生態系レベルの広い視点で学びます。また、植物を利用したバイオリメディエーションのメカニズムを整理して森林環境保全の基礎科学を学びます。また、こうした適応現象をメボリックエコロジーの視点から解説します。環境適応などの生態学的プロセスはすべてメタボリックなプロセスの上に成り立っています。

【授業の到達目標】
現在行われている森林保全政策などにグローバルな視点で興味を持ち、卒業後の進路選択に活かす。卒業後に現場で直面する問題を解決できる柔軟性を養います。問題解決力やイノベーションは「自由な発想、遊び心」から生まれます。なによりも「遊び心」を持つことが最大の目標です。もちろん、努力も必要ですが、これだけでは本当の成功には至りません。楽しい工夫を自然体でできるようになりませんか?

【授業概要(キーワード)】
ストレス生理学、樹木菌類の相互作用、適地適木、分子生物学、植物生理学、メタボリックエコロジー、進化、生態系、保全、病虫害、内生菌、菌根菌、適地適木

【科目の位置付け】
幅の広い生物科学の知識を用いて森林保全の基礎を身につける。

【授業計画】
・授業の方法
講義だけではなく、樹木保全の視点で大学構内の樹木を観察して、講義内容を身近に実感してもらいます。さらに議論もおこないたいと思います。また、ネイチャー、サイエンス、PNASなどのトップジャーナルに掲載された最新研究成果や新聞記事も紹介して、それらの意義とともに現代の保全研究の問題点にも触れる予定です。
・日程
1.概論
2.樹木の保全と環境 ~メタボリック・エコロジー
3.地球大気・環境の変化と森林保全
4.木材生産から環境保全へ ~環境変動とともに~
5.収支理論、成長理論、エネルギーフローから見た植物の適応・防衛作用
6.微生物と森林保全 ~寄生と共生を考える~
7.森林被害、環境ストレスと森林保全 ~環境ストレスと進化~
8.環境ストレス(重金属、乾燥、過湿、高温、強光・・)
9.森林植物と昆虫の相互作用、森林植物と鳥獣の相互作用
10. 山火事生態学と森林保全 世界の森林保全
11. メタボリック・エコロジーから見た生態系保全
12.森林保全と種多様性
12.さまざまな生物学理論から保全の意義を考える
13.保全と生物競争、共存理論、
14.就職、進学のための森林環境保全学
15.授業総括とテスト

【学習の方法】
・受講のあり方
課題をだしますのでインターネットを利用しつつ自分自身で調べてもらう予定です。知識の獲得ではなく、知識の運用と「自分で考える」ことを重視します。
・授業時間外学習へのアドバイス
各自がさまざまな「興味」を持ち、自分で工夫して樹木保全を身近に感じてもらいたいと思います。

【成績の評価】
・基準
受講生が自分自身で考え、現在の森林育成の問題点の解決方法を自分なりに整理してもらいます。学生間の競争は重視しません。
・方法
平常点20%とテスト80%で緩やかに評価します。さらに、受講者のさまざまな事情も十分に考慮する予定ですので遠慮なく申し出てください。

【テキスト・参考書】
(購入の必要はありません。)
生き物たちは3/4が好き」化学同人、「持続不可能性」文一総合出版

【その他】
・学生へのメッセージ
賢くなるより、バカになることも大切であり、実は難しいことを知って欲しい。「遊び心」からイノベーションが生まれます。
・オフィス・アワー
いつでも気軽に研究室に「遊び」に来てください。一緒にコヒーをのみませんか?

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