応用統計学
 Applied Statistics
 担当教員:江頭 宏昌(EGASHIRA Hiroaki)
 担当教員の所属:農学部食料生命環境学科植物機能開発学コース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:水土環境科学コース  科目区分:コース選択科目 
【授業の目的】
水土環境科学の研究を進めるにあたり、調査や実験で得た結果を客観的に分析し、論理的に考察を加えるのに役立つ統計学の基礎知識と応用力を習得することを目的とする。

【授業の到達目標】
この応用統計学を履修した学生は、調査や実験で得た結果を客観的に分析し、論理的に考察を加えるのに必要な、以下の知識と能力を身につけることができる。
1)定量的なデータの要約を行うことができる。
2)データ間に有意差があるかどうかを客観的に判断して示すことができる。
3)実験目的に応じた適切な統計的方法を選択し、それに基づいた実験を設計できる。

【授業概要(キーワード)】
基本統計量、平均値の比較(t検定、分散分析、多重検定)、回帰分析、ノンパラメトリック分析

【科目の位置付け】
調査や実験で得た結果を客観的に分析し、論理的に考察を加える能力や手法を身につけるための科目(水土環境科学コースのカリキュラム・ポリシー)

【授業計画】
・授業の方法
前回の復習と補足説明、毎回その時間の学習目標となる例題を示し、教科書に沿った講義とパソコンを使った演習で授業を進める。
・日程
1.データの整理―記述統計学―(第1-2回)
2.確率分布―二項分布、正規分布、ポアソン分布(第3-4回)
3.不偏推定量と標本分布―推測統計学―(第5回)
4.信頼区間の推定(第6回)
5.χ2分布とF分布(第7回)
6.検定の基本と2群の平均の差の検定―t検定(第8-9回)
7.3群以上の平均の差の検定―分散分析(第10-11回)
8.多重比較法(第12回)
9.単回帰分析(第13回)
10.ノンパラメトリック法(第14-15回)

【学習の方法】
・受講のあり方
1)テキストとノートパソコン(PCと略;MS-Excelがインストールされたもの)を準備すること。PCは講義中の演習やレポート作成に必要。都合でPCが準備できない人は講義中の演習ができないので、授業時間外に学内の情報処理教室(203)のパソコンなどを用いて必ず自学復習すること。また自分のPCはあるがMS-Excelを持っていない人はフリーソフトのオープンオフィス(http://www.openoffice.org/ja/)の表計算ソフトで代用してもかまわない。
2)統計学は講義を聴くだけでは理解が深まらない。授業の中で練習問題を出すので、自分の手を動かして解いてみること。
・授業時間外学習へのアドバイス
1)例題をたどりながら復習することが重要である。授業で理解度を確認するために、しばしばレポートを出すので、必ず提出すること。分からないときは、複数の参考書を調べたり、受講者同士で教えあったりすること。それでも分からないときは教員に質問すること。ただし、絶対に他人のレポートをコピーしないこと。
2)さらに図書館などにおいてある様々な統計学の本を開いてみて、授業に関連した演習問題を解いてみる、授業では説明しなかった統計手法を知るなどして、積極的に統計学に触れてほしい。

【成績の評価】
・基準
レポートは7回以上出す予定である。レポートの意図が理解できているかどうかをチェックするので、答えが導かれるまでの過程をきちんと書くこと。結論の答えしか書いてないレポートや、分からないからといって白紙のようなレポートは不可とする。レポートは毎回70点満点、優(70点)、良(50点)、可(30点)、不可(10点)、未提出(0点)で評価し、全回の平均値をレポート点として評価する。
・方法
出席態度30点とレポート70点とし、100点満点とする。総合点が60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
<テキスト>
栗原伸一著「入門統計学-検定から多変量解析・実験計画法まで」オーム社
<参考書>
1)向井文雄編著「生物統計学」基礎生物学テキストシリーズ9 化学同人→統計学を広く分かりやすく紹介している。農学分野の例題が多く、レイアウトが工夫されており読みやすい。
2)米澤勝衞ほか「生物統計学」朝倉書店→分散分析の項は初心者にやや難しいが、それ以外は実例も豊富で分かりやすい。
3)統計学教育研究会編「らくらく統計学」ムイスリ出版→分散分析も含めて統計学を広く分かりやすく紹介している。
4)石村光資郎「やさしい統計学」オーム社→絵や図表が多く、理解すべきポイントをおさえやすい。
5)石村貞夫「分散分析のはなし」東京書籍→どんな実験計画に対して、どんな分散分析を選び、どのような計算をすればよいか分かりやすく紹介されている。計算の過程を読みながら理解できる。
6)有馬 哲・石村貞夫「多変量解析のはなし」東京図書→研究や生活の場面で多変量解析は非常に役に立つが、それを理解するのはややむずかしい。しかしそれを思い切って分かりやすく解説した入門書。どんな場面にどんな多変量解析が役立つのかが容易に理解できる。
7)永野裕之・岡田謙介「統計学のための数学教室」→ルート、∑、積分など、統計学に必要な高校数学までをやさしく復習し、統計学とのつながりも分かる。数学が苦手な学生への良書。

【その他】
・学生へのメッセージ
1)パソコンなどのソフトを使えば統計解析の結果は容易に得られる。しかし,その結果をどう解釈したら良いのかは統計学を学んでいないとお手上げである。さらに実験・調査精度を改善したり、データの説得力を高めたりするには、どのように実験計画をデザインし、どんな統計手法を用いればよいのかは,統計学を学ばなければ分からない。自分の手を動かして例題を解くことで理解が深まり,統計学の楽しさを知ってもらえるであろう。
2)レポートはメールで送ってください(メールアドレスは授業中に伝える)。ファイル名は学籍番号(半角数字)+氏名+授業日(例えば2017年4月25日の場合、170425)とする。
・オフィス・アワー
木曜日12:00-13:00、事前にアポをもらえるとありがたいです。

60408111-2017-06-69602