倫理学概説
 Introduction to Ethics
 担当教員:松本 大理(MATSUMOTO Dairi)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科児童教育コース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
倫理学入門
西洋倫理思想史上の様々な倫理的問題と、それに対する多様なアプローチの特徴を理解し、その現代的意義を把握する。現代文明が抱える様々な倫理的課題を理解した上で、それについて思考するために伝統的倫理思想の理解と吟味が不可欠であることを確認する。

【授業の到達目標】
倫理思想史の上で、正義、幸福、快楽、悪と救済、自由、意志といった問題が、繰り返し様々な角度から問題化されていることへと注意を促し、「倫理」のもつ問題性そのものを、統一的かつ多角的に浮き彫りにしていく。その理解を通して、学生諸君が自ら自分の置かれた状況における倫理的諸問題を分析し、考察するための手がかりを得ることができるようになる。

【授業概要(キーワード)】
倫理、道徳、正義、幸福、快楽、善と悪、自由、意志、責任

【科目の位置付け】
中学校社会、高等学校公民、教員免許取得上の選択必修科目

【授業計画】
・授業の方法
西洋倫理思想史の基礎について、おおよそ時代順に概説する。講義を中心とするが、具体的問題の提起とグループ討論等を織り交ぜることによって、できるかぎり現代の具体的状況と倫理思想を結びつけ、また主体的関心を喚起することを試みたい。
・日程
第1回:序論 「倫理」とは何か
第2回:「よさ」の探究──ソクラテスとプラトン
第3回:プラトンの倫理思想──正義と幸福
第4回:アリストテレスの倫理思想
第5回:欲望と幸福1──倫理的生の理想(ストア派)
第6回:欲望と幸福2──快楽主義(エピクロス)と古代懐疑主義
第7回:中世の倫理思想──アウグスティヌスとトマス
第8回:カントの実践哲学1──イギリス経験論とカントの義務論
第9回:カントの実践哲学2──定言命法と仮言命法、道徳法則と自由
第10回:道徳と宗教──悪と救済の問題(ライプニッツの最善観、カントの宗教論と「根源悪」)
第11回:意志と道徳──ショーペンハウアーとニーチェ
第12回:社会と倫理──功利主義の思想
第13回:他者と倫理──レヴィナスの倫理思想
第14回:環境と生命──現代の倫理的諸問題
第15回:現代の正義論──ロールズ、コミュニタリアニズム
(上記の計画は、議論の進み具合等を見て変更することがある。)

【学習の方法】
・受講のあり方
倫理学を学ぶには自分自身で考えることが欠かせない。単に新たな知識を増やそうとするのではなく、あらためて根本から考える姿勢を求めたい。単に受動的に受講するのではなく、対話や討論を通して授業に積極的に参加し、倫理学的思考の実践を試みてほしい。討論に際しては、自分の意見を「わかりやすく」、「論理的に」伝える努力をしてもらいたい。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義と議論の内容を辿り直し、自分なりに考えをまとめておく。日常出会う倫理的な諸問題について、授業で得られた知見を生かして実際に考察を試み、その成果をレポートに生かす。興味を持った問題に関する倫理学の本を最低一冊は読む。

【成績の評価】
・基準
以下の観点に則り、レポートおよび討議での発言内容、発表内容等を中心に、総合的に判断し評価する。
・「倫理」についての様々な解釈やその意義を理解しているか
・「倫理」についての思想史的知識を現実の諸問題に結びつけ、多角的に考察できるかどうか
・倫理学的なものの見方に親しみ、レポートに学習成果を反映できるかどうか
・批判的な思考・討議の方法を身につけ、それをわかりやすい言葉で他の人に表現できたか
なおレポートでは、着眼点、内容の客観性と論理性、また論旨のわかりやすさを評価する。
・方法
発表または中間レポートの評価(40%)、期末レポートまたは期末試験の評価(40%)、ディスカッションにおける発言内容・貢献度等(20%)を基本として、その他の要素も加味し総合的に評価する。

【テキスト・参考書】
なし。適宜プリントを配布。

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