【授業の目的】
日本列島上に展開した歴史を、世界の歴史と関連づけながら総合的に考察し、日本の伝統と文化の特色について広い視野に立って理解する。身近な地域の歴史を、考古学・民俗学・歴史地理学・宗教学などの成果を活用し、様々な資料を援用しつつ、大きな歴史の流れの中に位置づけながら考察する。 今年度は特に中世の都市と城館をテーマに取り上げ、立地や景観、あるいはその特徴などを総合的に考えていくことを目標とする。最新の研究成果を反映させ、できるかぎり全国の都市や城館を紹介し、なおかつ中世都市特有の問題も取り上げて講義する。
【授業の到達目標】
日本中世史を考察するために必要な基本的な概念、用語が理解できる。前近代の都市の形成過程を、多様な資料・史料から考察することにより、日本列島の都市の特徴を理解することができる。 未来を展望するためには、過去を客観的に分析し、教訓を導き出す作業が大切であること、そしてそこに歴史を学ぶ意義があることを認識できる。過去を現代社会と比較・対照しながら、受け継がれてきた伝統や文化的歴史的遺産を尊重する態度が身に着く。 中学校社会科および高等学校地理歴史科担当教員として必要な専門的知識を理解できる。
【授業概要(キーワード)】
中世、都市、館、城
【科目の位置付け】
この授業は、地域社会の教育文化・生活を多方面に支え、それらを創造的に発展させることのできる人材の養成に資することを目指したものである(地域教育文化学部ディプロマ・ポリシー)。 中学校教員免許状(社会)および高等学校教員免許状(地理歴史)取得のための選択科目である。
【授業計画】
・授業の方法
講義形式ではあるが、毎回資料プリントを配付して、それを読解しながら理解を深めていく。
・日程
第1回 授業の概要説明、授業の進め方 第2回 中世都市とは何か―京都①― 第3回 権門都市―京都②― 第4回 浄土世界と平泉 第5回 中世都市とは何か―鎌倉― 第6回 中世の禅律文化と鎌倉 第7回 都市的な場①―湊― 第8回 都市的な場②―宿と道― 第9回 中世の城館1 第10回 中世の城館2 第11回 杉山城問題 第12回 花の御所体制と地方 第13回 戦国城下町1 第14回 戦国城下町2 第15回 まとめと期末試験
【学習の方法】
・受講のあり方
毎回きちんと授業に出席して、授業内容を理解すること。適時、受講生にも配付した資(史)料を音読させることがある。 小テストも実施し、授業終了時に提出する。希望者には後日返却する。
・授業時間外学習へのアドバイス
とりたてて予習の必要はないが、毎回授業で配布されるプリントなどを活用して授業の復習をしておくこと。また、授業中に指摘した参考書などを読んで、授業内容の理解を一層深めてほしい。
【成績の評価】
・基準
中世の歴史(特に都市・城館など)について、授業を通じて得られた知識や経験に基づいて主体的に考察し、論述できることが合格の基準である。
・方法
平常点10点+小テスト30点+期末試験60点
【テキスト・参考書】
『史跡で読む日本の歴史6・7』(吉川弘文館)、齋藤慎一『中世武士の城』(吉川弘文館)など。他は授業中に適宜指摘する。
【その他】
・学生へのメッセージ
高校までの暗記中心の日本史学習とは違い、先学の研究成果を真摯に受け止め、それをふまえて受講生各自で考え、疑問や批判的な見方を養ってほしい。歴史は永遠に変わらないものではなく、新しい書籍・文献などの発見や、書物を読み解く人の解釈によって、変化するものである。自身の目で歴史を検証する力を養ってもらいたい。
・オフィス・アワー
必要に応じて相談を受ける。
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