【授業の目的】
欧米思想の原典に直接取り組むことにより、西洋の思想伝統が育んできた思考のあり方を肌で学ぶ。使用するテキストについては、狭い意味での哲学的著作にとどまらず、社会思想や文化・文明思想等、広範囲の思想的書物から選定する。選定したテキストを精密に読解することにより、大枠の理解に加えて、個々の議論とその論拠を多方面から批判的に吟味しながら、細部の論理展開を精密に読み解く技術を習得する。これにより、思想的諸問題の理解を深めると同時に、自ら批判的かつ多面的に思考するための基礎訓練を行う。受講者の関心にも対応しながら、思想的諸問題の理解に資するテキストを選定し、熟読・精読する。テキストは英語(またはドイツ語)の原典を基本とするが、受講者の力量に応じて、適宜日本語訳を使用する。
【授業の到達目標】
西洋哲学・倫理学史上の重要な思想家の考え方やキーワードを理解できるようになる。論理的に一貫した解釈の重要性を学ぶ。
【授業概要(キーワード)】
哲学、倫理学、西洋哲学、西洋倫理思想、批判的思考
【科目の位置付け】
本授業は地域教育文化学部地域教育文化学科システム情報学コースのカリキュラムにおいて「発展科目」のうちの選択科目の一つとして位置づけられる。ディプロマ・ポリシーのうち、総合的に判断する能力を展開させる点に、特に関与する。
【授業計画】
・授業の方法
各受講者が輪番で読解と発表を担当し、その内容を全員で検討し討議する。同時に、必要に応じてレポート作成と小発表会を挟み、また発表会後、小シンポジウムを行い、理解を深める。このような方法で、欧米思想の特徴的な問いやアプローチについて理解を深めると同時に、議論展開の仕方などについても適宜訓練していく。
・日程
授業計画(I.Berlin: Two Concepts of Liberty をテキストとして取り上げた場合) 第1回:導入:著者およびテキストについての背景的説明。担当箇所の指定 第2回:テキストの読解と討論1:序論(1)政治の問題とは。哲学の課題。観念についての批判的思考 第3回:テキストの読解と討論2:序論(2)二十世紀の思想的課題。自由の問題。服従と強制 第4回:テキストの読解と討論3:第一節前半 二つの自由概念。消極的自由の観念。~からの自由。 第5回:テキストの読解と討論4:第一節後半 自由の擁護と消極的目標。三つの事実。 第6回:テキストの読解と討論5:第二節 積極的自由の観念。自己支配と自己分裂 第7回:テキストの読解と討論6:第三節前半 内なる砦への退却。理性と自律。パターナリズムと人間性の否定 第8回:テキストの読解と討論7:第三節後半 理性的自己理解。禁欲的自己否定と隠遁。自由の消極的概念との対立 第9回:テキストの読解と討論8:第四節 自己実現。啓蒙的合理主義。理性による解放という積極的教説 第10回:テキストの読解と討論9:第五節前半 サラストロの神殿。理性による社会設計と「自由」。 第11回:テキストの読解と討論10:第五節後半 個人主義から全体主義への転倒。理性の同一性 第12回:テキストの読解と討論11:第六節前半 個人と社会的承認。パターナリズムの批判 第13回:テキストの読解と討論12:第六節後半 承認への欲求と自由への欲求との混同。願望の多様性 第14回:テキストの読解と討論13:第七節 自由と主権・権威。消極的自由と積極的自由。人生への二つの態度 第15回:テキストの読解と討論14:第八節 一と多。「究極的」解決はありえない。究極的諸価値の間での選択 (以上の計画は、受講者の要望や進み具合等に応じて変更することがあり得る)
【学習の方法】
・受講のあり方
自ら発言し、また質問することを心がける。自分の解釈と他の人の解釈の違いを理解し、その違いを議論を通して吟味する。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストを何度も読んで予習してくる。
【成績の評価】
・基準
以下の観点に則り、発表内容、レポート、討議での発言内容等を中心に、総合的に判断し評価する:思想的テキストを正確に読解し、その哲学的含意を理解することができるか。理解した内容を適切に要約できるか。理解した内容を適切に敷衍し、自分の言葉噛み砕いて説明することができるか。哲学的・倫理学的思考の表現方法に親しみ、レポートに学習成果を反映できるか。発表の仕方、批判的討議の方法を身につけたかどうか。
・方法
発表(40%)、小シンポジウムやレポートの内容(40%)、ディスカッション内容(20%)を基本とし、その他の要素も加味し総合的に評価する。
【テキスト・参考書】
授業で指示する。
【その他】
・オフィス・アワー
授業で連絡する。
|