日本史講読
 Directed Reading in Japanese History
 担当教員:落合 義明(OCHIAI Yoshiaki)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科児童教育コース
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
・テーマは、「特定の時代の歴史史料を読む-中世-」である。
・日本の歴史を諸資料にもとづいて総合的に考察し、日本の伝統と文化の特色についての認識を深めていくためには、基本史料の読み方と読解力の基礎を身につけておく必要がある。そこで特定の時代の基本的歴史史料を取り上げ、古文書学の基礎知識をふまえつつ、独特の読み方、解釈の仕方などを学んでいく。
・本授業においては、特に『保暦間記』をテキストとして取り上げ、この講読を通して中世の武家社会を探る。
・『保暦間記』とは、保元の乱(1156年)から後醍醐天皇が亡くなった暦応2年(1339)までを漢字仮名交じり文で叙した歴史書である。成立は14世紀中頃と考えられ、作者は不明なものの、武士自身がまとめたものと考えられている。よって、『保暦間記』は鎌倉・南北朝期の戦乱の歴史を探る上で貴重な史料と位置づけられ、政治史史料としても重要である。

【授業の到達目標】
・本授業によって、漢文体で書かれた史料を、辞書を用い、史料に書かれた用語・人名・地名などについて詳細に調べることができる。
・関連史料や参考文献を探して調べることで、史料内容を理解するだけではなく、時代背景、歴史的意義を分析する手法を身につけることができる。
・調べた内容をレジュメにまとめ、レジュメを用いて、分かりやすく、時間内に口頭で発表することができる。
・中学校社会科および高等学校地理歴史科担当教員として必要な専門的知識を理解できる。

【授業概要(キーワード)】
 武士、源氏、平氏、院政

【科目の位置付け】
 この授業は、日本史を叙述するうえで必要な活字史料の読解を通じて、史料に基づく実証的な研究手法を習得する力を身につけるものである。
 中学校教員免許状(社会)および高等学校教員免許状(地理歴史)取得のための選択科目である。

【授業計画】
・授業の方法
 受講生による少数グループ、ないしは一人による発表形式となる。報告者は必ずレジュメを作成し、全員に配布し、内容豊かな報告となるように努める。報告終了後、担当教員によるコメント、他の受講生による質疑討論を行う。
・日程
第1回 授業の概要説明、授業の進め方
第2回~第4回 治承三年の政変
第5回~第8回 後白河法皇の鳥羽殿幽閉
第9回~第11回 安徳天皇の即位
第12回~第14回 以仁王の挙兵
第15回 まとめと期末試験

【学習の方法】
・受講のあり方
 担当した史料を読解し、与えられた時間内で史料内容(現代語訳・時代背景など)の発表をする。発表者以外の人は積極的に質問する。
・授業時間外学習へのアドバイス
 担当する史料読解に向けて、辞書と格闘し、人名・地名・語句説明・現代語訳・時代背景については確実に調べてくること。

【成績の評価】
・基準
 期末試験においては、主に史料の読解力を問うが、十分な学力を示すことができること。
 発表においては、報告者には発表内容や質疑への受け答えを、報告者以外の者には質問や意見を発表したか否かを成績評価の重要な要素となる。事前に史料やレジュメを読んで、質問等を用意しておくとよい。
・方法
 期末試験60点+発表の有無やその内容40点

【テキスト・参考書】
テキスト:『校本保暦間記』(和泉書院)の中から必要箇所をコピーして配布する。
参考書・参考資料等:五味文彦・櫻井陽子編『平家物語図典』(小学館)、角田文衞監修『平安時代史事典上・下』(角川学芸出版)
その他の参考書は、授業時などで適宜指示する。

【その他】
・学生へのメッセージ
 『保暦間記』は、他の史料に依拠して書かれた箇所があるので、同時代史料との比較検討をしながら、史料を読解してもらいたい。この授業を通じて、史料内容を理解することは勿論のこと、史料批判の大切さも学んでほしい。
・オフィス・アワー
 必要に応じて相談を受ける。

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