【授業の目的】
・西洋絵画の歴史を踏まえて古代ギリシア以来の伝統であるミーメーシス(再現的模倣)理論を学び、視覚芸術としての絵画における「素描」の意味づけと必然性への理解を深めることを目的とする。 ・原始時代から今日に至るまで生体が底流となり表現として変成されていることを理解し、美術解剖学からの形の基礎的な知識を得ることを目的とする。。 ・美しさの基準としての比例をギリシアおよびルネサンス期の理想美、および人体骨格の動性から理解することを目的とする。 ・物事の様々な差別、変容への視的判断能力を養い、自然対象の事象および画面上の部分と全体の相互関係を捉えることができる基礎的造形素描技術を体得することを目的とする。
【授業の到達目標】
・生体の動きのメカニズムを分析し、生体(皮膚)の変化が動きによる形の変化よりも“動き”という抽象的な動感を出す上で必要な因子であることを理解できる。 ・視覚の感覚作用を通じて「比例」を基にした構図を探り、三次元的対象を平面へと再構築できる。 ・明暗によるヴァルールとモノクロの諧調により空間、量感を表現できる。
【授業概要(キーワード)】
ミーメーシス(再現的模倣)・美術解剖学・人体比例
【科目の位置付け】
この授業は絵画領域における「造形理論と表現」の基礎的能力を培い、知識と技能を効果的に身につけるものである。(地域教育文化学科専門教育科目カリキュラム・ポリシー)
【授業計画】
・授業の方法
・絵画技術の基礎的知識を学び素描演習を行う。 ・美術解剖学を基に人体解剖画像の模写を行う。 ・応用表現として人体をモチーフにした映像作品を鑑賞する。
・日程
授業計画 第1回:生体の骨格を美術解剖学の視点から観察し、参考画像を基に古代ギリシア・ローマ、ルネサンス期における理想美と秩序美を型にした石膏像および人体比例から美の基準としての比例を検証する。(講義) 第2回:古代ギリシア・ローマ時代、ルネサンス期を型にした組石膏静物素描を行う。描画材の使用用途と方法 及び構図の基本的な構成を学び、部分と全体の相互関係を把握する。(静物素描演習①) 第3回:石膏像の動勢の比例および形体の起伏の変化を観察し、対象の構造を把握する。(静物素描演習②) 第4回:他のモチーフとの相関関係と設定を意識し、空間表現として二次元再現技術を習得する。(静物素描演習③) 第5回:量感表現、質感表現を二次元上に再現する技術を習得する。(静物素描演習④) 第6回:明暗と色彩について学ぶ。光による形体の陰影の変化を把握する。(静物着彩素描演習①) 第7回:色が見える仕組みと表現技法を習得する。(静物着彩素描演習②) 第8回:ヴァルール(色価=色相・明度・彩度)を把握する。(静物着彩素描演習③) 第9回: 加法混色・減法混色を把握する。(静物着彩素描演習④) 第10回:解剖学の知識を基に人体の骨格と筋肉の関係、人体比例の基本構造を探る。部分と全体の関係を有機的に捉える基礎を習得する(人物素描演習①) 第11回:人体のムーブマン(動勢)とコントラポスト(対位法)の動勢を把握する。光による人体の陰影の変化と画面 上の明度の相対的影響を把握する。(人物素描演習②) 第12回:自然の奥行き表現として空間を意識化し、二次元上に再現する技術を習得する。(人物素描演習③) 第13回:人物の量感表現としての二次元再現技術を習得する。(人物素描演習④) 第14回:人物の固有色と質感の二次元再現技術を習得する(人物素描演習⑤) 第15回:全体のまとめとして講評会を行う。課題や問題点、改善の要件について発表する。
【学習の方法】
・受講のあり方
・講義内容の理解が演習に生かされることが望ましい。知識と技術の横断的理解に努める。
・授業時間外学習へのアドバイス
・画集・文献の活用、日常における自然観察など。 ・授業時間外の自主的な制作研究。
【成績の評価】
・基準
・基礎素描としての意義の理解と必然性の理解度 ・基礎的描画力としての観察力、構成力、空間表現、量感表現等の完成度
・方法
・静物素描演習提出作品 50点 ・人物素描演習提出作品 50点
【テキスト・参考書】
テキスト なし 参考書・参考資料等 「美術解剖学アトラス」中尾喜保著/「THER HAND」井上雄彦作/「束芋」「初芋」oimo 作
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