工芸基礎
 Elements of Craft Production
 担当教員:齋藤 学(SAITO Manabu)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科文化創生コース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
身近な素材を用いて日常的に使用する工芸やプロダクトの制作を通して,ものづくりの基礎としての「材料」と「工具」の関係について正しく理解し,加工のための基礎技法を習得する。
身近な生活用品(食器及び卓上事務器)の制作を通して,工芸やプロダクト制作で用いる基本的な材料(木・竹・硝子・石膏)の特性や,工具(小刀・鉈・鋸・電動糸鋸・ベルトサンダー・玄翁・焼成窯)の構造について解説し,論理的な「材料」と「工具」の関係について理解を深めていく。また,製品の観察や使用感の評価を通して,社会的な視点に立った材料特性の活用方法や,使うことを前提とした形状を構想する能力についても修得していく。

【授業の到達目標】
①:植物系素材としての木と竹,及び鉱物系素材としての硝子の特性を捉え説明できる。 ②:材料と工具(技法)の関係を理解し,イメージしたかたちを再現できる。 ③:材料特性と使用場面を想定した形状を構想できる。

【授業概要(キーワード)】
木,竹,硝子,道具,技法

【科目の位置付け】
工芸表現(ものづくり)における基礎的学習/中学校一種免許状(美術)および高等学校一種免許状(工芸)取得に必修

【授業計画】
・授業の方法
手仕事を中心とする実制作を通しての演習
・日程
第1回:オリエンテーション,今日のライフスタイルとものづくりの社会事情について概説する。(講義)
第2回:身近な生活用品の観察を通して材料および形状(身体尺度を含む)の特徴について考察する。(演習)
第3回:身近な植物系材料として木材の観察を通して材料の特徴について考察する。(演習)
第4回:身近な生活用品「箸」の制作①/木材加工のための技術考察[鋸(挽く)]について概説と課題制作(演習)
第5回:身近な生活用品「箸」の制作②/木材加工のための技術考察[鉈(割る)]について概説と課題制作(演習)
第6回:身近な生活用品「箸」の制作③/木材加工のための技術考察[小刀(削る)]について概説と課題制作(演習)
第7回:身近な生活用品「箸」の制作④/使用感の評価と考察,仕上げ加工と塗装[メンテナンス]について概説と課題制作(演習・討議)
第8回:身近な生活用品「箸置」の制作①/鉱物系材料としての硝子の概説・観察と形状の構想[スケッチ](演習)
第9回:身近な生活用品「箸置」の制作②/原型制作[モデリング]及び型取りによる鋳型制作[石膏]の概説と課題制作(演習)
第10回:身近な生活用品「箸置」の制作③/鋳込みと焼成[パートドベール]及び仕上げ加工の概説と課題制作[研磨](演習)
第11回:身近な生活用品「ペーパーナイフ」の制作①/竹材の概説・観察と形状の構想[スケッチ](演習)
第12回:身近な生活用品「ペーパーナイフ」の制作②/植物系材料として竹材の加工[鉈・鋸]について概説と課題制作(演習)
第13回:身近な生活用品「ペーパーナイフ」の制作③/電動工具による加工[電動糸鋸・ベルトサンダー]について概説と課題制作(演習)
第14回:身近な生活用品「ペーパーナイフ」の制作④/小刀による切削と仕上げ加工[加熱と油脂利用]について概説と課題制作(演習)
第15回:使用感及び形状の評価と講評,材料特性・道具の形状・加工技法に関する小テストと解説(演習・討議)

【学習の方法】
・受講のあり方
材料への積極的な関わりを期待します。材料・かたち・仕上がりなど制作に対するこだわりを大切にしてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
かたちに対する感性を高めるためためにも、専門誌や専門店等、良質の情報を進んで収集すること。材料、道具等についても自身で事前に準備・収集してもらいます。
授業時間内での完成は難しいと思います。授業時間以外に週2時間程度の制作時間を確保すること。

【成績の評価】
・基準
到達目標①②③を評価の観点として,作品(3点):80%,小テスト(小レポート含む):20%を総合的に評価する。
・方法
制作の手法の理解および造形への意欲等を制作の「過程」と「作品」により評価します。なお、最終提出時に作品のプレゼンテーションと専門用語に関する小テストをおこないます。

【テキスト・参考書】
テキスト:適宜配布
参考書:宮脇理 監修『ベーシック造形技法』建帛社/澤井聖一『木のデザイン図鑑』建築知識/佐藤庄五郎『図説 竹工入門』共立出版 ほか適宜紹介する。

【その他】
・学生へのメッセージ
製図用具,道具類(小刀など),作業に適した服装を要す(各自で準備すること)。
・オフィス・アワー
随時

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