【授業の目的】
西洋絵画の技法材料演習を通じて,絵画の物質的構造と表現の関係を探求する。 ・キャンバス,板,布といった基底材,膠,テンペラ,油,樹脂といったメディウム(媒材),各種顔料に対する歴史的,科学的,造形的理解を深め,絵画表現の基礎的な技術を身につけるとともに,応用的な展開を促す。 ・技法と表現の関係について技法史的に考察し,絵画の特性について理解を深める。 ・19世紀の印象派的な油性キャンバス・プリマ画法システムを批判的に相対化するため,技法史的にその前後の時代の技法演習に重点をおく。
【授業の到達目標】
・基底材や媒材,顔料の基本的な知識を基に,技法史的観点をふまえながら,各種技法に基づく絵画制作ができる。 ・技法史的な観点から絵画表現について説明できる。
【授業概要(キーワード)】
基底材 媒材 メディウム 絵画技法・材料 膠 テンペラ 油 樹脂 キャンバス 板 布 技法と表現 絵画 グリザイユ
【科目の位置付け】
造形芸術コースの専門科目であり、学生が目指す表現ジャンルや職業生活の実務に対応できるような基礎的な知識や技能を与えるものである。(地域教育文化学部造形芸術コースカリキュラムポリシー)。なお原則として「絵画論」と併せて履修すること。 ※教科に関する科目(中学校及び高等学校 美術/高等学校 工芸)
【授業計画】
・授業の方法
模写を中心とした技法材料の講義と実習(絵画の基底材・媒材の制作から作品の完成までを演習する) 自由課題制作も課す。
・日程
第1回:ガイダンス 第2回:基底材に布張り、絶縁 第3〜5回:水性地塗り 第6〜10回:下層描き(膠、テンペラなど) 第11回〜14回:上層描き(テンペラ、油彩) 第15回:講評とまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
指示した事前準備を怠りなくすること。
・授業時間外学習へのアドバイス
参考文献にあたるとともに,材料用具の事前準備を怠りなく行うこと。 演習した技法について理論的な理解を深めるとともに,応用的な作例を自ら探求制作すること。
【成績の評価】
・基準
絵画技法・材料と表現の関係に対する理解度。
・方法
提出作品(70%)およびレポート(30%)を総合的に評価する。
【テキスト・参考書】
テキスト:なし 参考書: 佐藤一郎『絵画技術入門』美術出版社 M.デルナー『絵画技術体系』美術出版社 『トンプソン教授のテンペラ画の実技』三好企画 紀井利臣『黄金テンペラ技法』誠文堂新光社 チェーザレ・ブランディ『修復の理論』三元社 森直義『修復からのメッセージ』ポーラ文化研究所 歌田真介『油絵を解剖する』NHK出版 歌田真介『高橋由一油画の研究』中央公論美術出版 『明治後期油画基礎資料集成』中央公論美術出版 『明治前期油画基礎資料集成』中央公論美術出版 ほか,適宜紹介する
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