中学校及び高等学校理科の目的・目標，カリキュラム編成，学習指導と評価，生徒の実態等を理解し，理科授業を構想することができる。

　近年の理科教育研究から，中学校及び高等学校理科の現状と課題について理解できる。そして、中学校及び高等学校の学習指導要領（理科）に関する改訂の経緯、目標の意味や内容等についても、小・中・高等学校の連携等の視点から理解できる。また，中学及び高等学校理科のカリキュラム編成，学習指導（アクティブ・ラーニングも含む），評価等に関する諸説を踏まえ，理科授業の在り方や具体的な方法について理解を深め，学習指導等に関する資質・能力を向上させることができる。

理科の目的・目標，理科カリキュラム，学習と評価，協同学習，科学的リテラシー

中学校及び高等学校教員免許（理科）取得のための必修科目

　新しい理科教育の理論を学習したのち、各自がいくつかのテーマに沿った指導案を作成して模擬授業を行い、それら授業をもとに討論を行う。

第１回：オリエンテーション（授業概要の説明等），中学校及び高等学校での理科授業に関わる各自の経験や関心（講義・演習）
第２回：国内外（PISA及びTIMSS調査，学力テスト等）結果とそこから見える中学校及び高等学校理科の問題点（講義）
第３回：欧米の科学教育と我が国の戦後の理科教育の史的変遷 －学習指導要領を中心に－（講義）
第４回：現在の理科教育の基本的考え方 －理科教育の目的の再考と討論－（演習）
第５回：科学的リテラシーと「生きる力」 －探究の考え方や確かな学力，STEMにも言及して－（講義）
第６回：中教審答申と現行中学校及び高等学校学習指導要領・理科のポイント －目標・内容等－（講義）
第７回：生徒の自然事象の理解や理科学習の実態について（講義）
第８回：科学観の転換や心理学の発展に基づいた新しい理科の学習の考え方について（講義・演習）
　　　　－相対主義的科学観，構成主義，社会講師主義，状況主義，概念形成と概念変換，メタ認知，自己効力感等－
第９回：理科の授業形態と学習指導 －協同学習・協調学習・アクティブ・ラーニング・ジグソー学習等－（講義・演習）
第10回：新しい理科の評価論 －真性の評価、ポートフォリオ評価－（講義）
第11回：理科の単元構成の考え方と学習指導案の作り方（講義・演習）
第12回：模擬授業の計画 －学習指導案の検討と教材の選択－（演習）
第13回：模擬授業の実施と授業の評価　（演習）
第14回：実施した授業の改善策の検討（演習）
第15回：まとめと中学校及び高等学校理科に関する今後の展望（講義）
定期試験

理科教育研究の動向を踏まえ，理科学習の意義を考えながら講義を受けたり，討論に参加すること。

テキスト及び授業プリントに目を通しておく。また，授業中の討論の結果について、整理してまとめておく。

以下の評価の観点に則り，定期試験，レポート，模擬授業及び授業中の態度等をもとに総合的に判断し評価する。
・これまでの理科教育の経緯と中学校理科の現状と課題について理解することができたか。
・生徒の実態を踏まえ、中学校理科の指導（観察・実験を含む）と評価の方法について理解したか。
・話し合いや活動に意欲的に参加し、目標の達成のために努力しているか。
・中学校理科における授業計画や具体的な指導に関して実践的な能力を向上させることができたか。

評価の具体的な方法は以下の通りである。
・定期試験　・・・・・・・・・・・・　６０％　　
・レポート，指導案，模擬授業等・・・　２０％
・討論における論理性・表現力・・・・　１０％
・授業中の態度等　・・・・・・・・・　１０％

［テキスト］
・文部科学省(2008)『中学校学習指導要領解説　理科編』，大日本図書
［参考書」
・中学校理科の教科書を１セット準備しておく（出版社は不問）
・大高泉編著(2013)『新しい学びを拓く 理科 －授業の理論と実践（中学・高等学校編）－』，ミネルバ書房　
・その他については，授業の中で適宜紹介する。