【授業の目的】
地表の風化・浸食から運搬・堆積して地表に露出するまでの地層の形成過程および自然災害のメカニズムについて理解する 生活環境にかかわる地質学について講述する. 人間の生活は,地面の上においてなされている.たとえば,地震や火山活動,地すべり・斜面崩壊などの災害や,構造物を構築する際の地下地質の状態など.人間が生活する上で,構造物を構築するしないに係らず,生活の場における地質の特性が人間生活に大きく影響を与えている. 授業では,人間の生活に密接にかかわっている地質について,その学問的基礎について概観するとともに,上記の事象について具体的に講述する.
【授業の到達目標】
3泊4日で男鹿半島(秋田県男鹿市)に出かけ、地質および地形を観察し、地質観察と地質調査の方法を実習し、日本列島の古第三紀~第四紀にかけての地層と岩石を観察する.具体的には,日本海が拡大する前の古第三系の火山性堆積物および貫入岩、日本海が拡大して深海で堆積した地層と化石、日本列島が上昇する過程で、徐々に浅海化する地層の堆積相、海水面変動によって下部外浜~沖積平野の繰り返しからなる堆積相の観察、地質構造の観察、第四紀火山岩、段丘地形などを観察する.
【授業概要(キーワード)】
環境地質学 地層学 堆積学
【科目の位置付け】
専門科目
【授業計画】
・授業の方法
講義.ただし可能な限り,一度以上は野外にでて,実際の堆積作用や地層について現地観察する機会を持つ予定である.
・日程
第1回:地表を構成する岩石(火成岩・堆積岩・変成岩) 第2回:火山および火山噴出物、火山岩と火山災害 第3回:堆積岩の生成と重力、流水の働き 第4回:山地と盆地と境界断層、構造運動と地層の浸食・運搬・堆積 第5回:岩石の風化、岩石の初生的亀裂 第6回:重力による浸食作用(地すべりと崩壊、山崩れ)のメカニズムと防止対策 第7回:堆積物重力流の運搬・堆積作用 第8回:流水による浸食・運搬・堆積作用-粒径と流速と作用との関係 第9回:流水による浸食・運搬・堆積作用-河川の形態 第10回:流水による浸食・運搬・堆積作用-流水による運搬過程と洪水堆積物 第11回:流水による浸食・運搬・堆積作用-堆積作用と堆積構造 第12回:人間の生活の場としての沖積平野-土地利用の歴史 第13回:堆積の場としての沖積平野 第14回:地震動と沖積平野-活断層と液状化、その対策 第15回:期末試験と解答の解説
【学習の方法】
・受講のあり方
地盤災害等のニュースなどにも積極的に興味を持って,授業時間以外でも日常生活と関連させて,学習に取り組むこと.
・授業時間外学習へのアドバイス
前回までの授業内容について復習する. 講義内容を,自分なりに再整理してまとめてみること.理解不十分な点や不明な点が見えてきます.自分で書籍・インターネット等で調べたり,次回の講義の質問して下さい.
【成績の評価】
・基準
講義の内容をどれだけ理解しているか,実際の現象を見て,どれだけ自分で考えられるか.
・方法
学生に対する評価 レポート:40% 期末試験:60%
【テキスト・参考書】
『地球の歴史』(地学団体研究会編,東海大学出版会) 『層序学と堆積学の基礎』(ウィリアム J.フリッツ,ジョニー N.ムーア著 原田憲一訳,愛智出版) 『Basics of Physical Stratigraphy and Sedimentology』(William J. Fritz and Johnnie N.Moore, John Wiely & Sons, Inc., New York)
|