【授業の目的】
整数や多項式の基本的な性質や環の基本的な概念について学び,既習の代数的な対象の環構造をとらえるとともに,具体的な計算について学ぶ.
【授業の到達目標】
・環,整域,体,商体,剰余環,一意分解整域の概念を理解する.・ユークリッドの互除法が使える.・整数に関して合同式の計算ができる.・具体的な剰余環の環構造を捉えることができる.
【授業概要(キーワード)】
環,整域,有理整数環,互除法,多項式環
【科目の位置付け】
代数学Ⅰ・代数学Ⅱにおいて,領域横断的な問題を解析する手法の基礎を学んだ.この授業は,それを領域横断的な諸問題へいかに応用するか,群を題材に学び実践力を養う.更には教員の資質を養うものである.(地域教育文化学部のカリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシー).
【授業計画】
・授業の方法
概念の説明,計算方法の説明,計算練習,総合的な演習を含めて次の内容について講義する. ・整数の基本事項.・1変数多項式の基本事項.・環の概念と具体例.・イデアルと剰余環.・商体.・一意分解整域とその上の多項式環.
・日程
第1回:整数環:割り算定理と素因数分解の一意性 第2回:整数環:ユークリッドの互除法と1次不定方程式 第3回:整数環:合同式と1次合同方程式 第4回:整数環:フェルマーの小定理,オイラーの定理,中国剰余定理 第5回:1変数多項式環:割り算定理と素元分解の一意性 第6回:1変数多項式環:ユークリッドの互除法と最大公約元 第7回:環の定義と具体例 第8回:整域,体の定義と具体例 第9回:商体の定義 第10回:イデアルの定義と具体例 第11回:剰余環の定義と具体例 第12回:一意分解整域の定義と具体例 第13回:一意分解整域上の多項式環:原始多項式と素元 第14回:一意分解整域上の多項式環:ガウスの補題とアイゼンシュタインの判定法 第15回:試験とその解説
【学習の方法】
・受講のあり方
考え方や概念の理解に努めること.疑問があれば質問してほしい.
・授業時間外学習へのアドバイス
予習は,教科書を手にとって,概要をつかむ程度でよい.復習は,内容が完全に理解できるまでよく考える.証明などを自分の言葉で書き直すのもよい.粘り強く考えることが大切.必要があれば代数学Ⅰ,Ⅱの内容や高校の内容の復習も厭わないこと.
【成績の評価】
・基準
以下の観点で,演習や課題を取り入れつつ主に試験の結果によって総合的に判断する. ・整数や多項式に関する具体例について基本的な計算ができる. ・環,整域,体,商体,剰余環,一意分解整域などの基本的な概念を理解している.
・方法
試験70点,演習と課題30点.
【テキスト・参考書】
テキスト:津村博文(著)「代数学」(数学書房) 参考書: ○中島匠一(著)「代数と数論の基礎」(共立出版) ○加藤明史(著)「親切な代数学演習」(現代数学社) ○金子晃(著)「応用代数講義」(サイエンス社) ○桂利行(著)「代数学Ⅰ 群と環」(東京大学出版会)
【その他】
・学生へのメッセージ
やや抽象的な概念を学びます.はじめは理解が困難な対象も,よく考えていると徐々に見えるようになってきます.(数学教員になる人は,そのような経験を多くしたほうがよいと思います.)積極的に学んでください.
・オフィス・アワー
講義で連絡します.
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