【授業の目的】
自然界には、個々の構成要素の間の相互作用は単純であるが、システム全体としては複雑な動きを示すものが多々ある。 このような系を取り扱うためのパラダイムは未だ明らかになっていないが、計算機シミュレーションは強力な手法の1つである。 この授業では現在発展を遂げつつある複雑系の科学の紹介と検討を行う。
【授業の到達目標】
○ロジスティック写像、ベルヌーイシフト写像、テント写像を通して離散時間力学系のカオスについて理解する。これらの系を再現するための数値計算(プログラミングを通して)を行う。 ○高い次元のカオス、連続時間力学系のカオスへの応用。数値計算による演習を通して理解を高める。 ○カオスと分岐現象、フラクタルとの関係を理解する。 ○毎回、数値計算および、プログラミングを行い、授業毎に課題が課される。評価は提出物(課題の結果)、および試験により総合的に行う。
【授業概要(キーワード)】
カオス、複雑系、非線形科学、フラクタル
【科目の位置付け】
カオス系の数理に対する基礎
【授業計画】
・授業の方法
講義と実習
・日程
第1回:複雑系の科学についての概説 第2回:ロジスティック写像1-- 離散時間力学系のカオス 第3回:ロジスティック写像2-- 離散時間力学系のカオスについての演習 第4回:ベルヌーイシフト写像、テント写像1-- 10進数と2進数(ビットシフト) 第5回:ベルヌーイシフト写像、テント写像2-- 初期値に対する敏感な依存性 第6回:ベルヌーイシフト写像、テント写像3-- ロジスティック写像から 第7回:高い次元の離散時間力学系のカオス1 第8回:高い次元の離散時間力学系のカオス2-具体例による演習(池田写像など) 第9回:連続時間力学系のカオス -- ローレンツの方程式(連立微分方程式) 第10回:カオスと分岐 第11回:カオスとフラクタル1 -- カントール集合など 第12回:カオスとフラクタル2 -- 容量次元(自己相似性の尺度)について 第13回:カオスとフラクタル3 -- シェルピンスキーのガスケット等への応用 第14回:カオス工学 -- カオスの応用について 第15回:試験とまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
予復習を必ず行う。
・授業時間外学習へのアドバイス
復習が特に必要となる。
【成績の評価】
・基準
レポートおよび試験結果等を中心に、総合的に判断し評価する。
・方法
レポート・試験
【テキスト・参考書】
テキスト:授業ごとに配布する 参考書 複雑系【ミッチェルワールドロップ著】(新潮社) 複雑さを科学する【米澤富美子著】(岩波) 図形雑学 複雑系【今野紀雄著】(ナツメ社) カオス入門【長島弘幸・馬場良和著】(培風館) 複雑系が開く世界【合原一幸編】(日系サイエンス)
【その他】
・学生へのメッセージ
C, C++言語,UNIXの知識があること。
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