【授業の目的】
定住性の強い中世ヨーロッパ社会の自然利用形態を、遊牧社会や東アジア・モンスーン地方の定住社会の場合と比較する。この中で中世に起源を持つヨーロッパの地域社会(community)の基本的性格と自然資源の利用形態を論じる。続いて、近代における公共社会(public society)の誕生と、工業化が環境問題に与えた影響を論じる。
【授業の到達目標】
中世・近代ヨーロッパという地理的・時代的に距離を持った文明社会の理解をつうじて、現代日本の社会や環境問題のありかたを、考えることができるようになる。
【授業概要(キーワード)】
ヨーロッパ史 地域社会 公共社会 環境問題
【科目の位置付け】
この授業は、基幹科目「共生を考える」として、他者、自然、社会との関係を知ることを目指している。特に、自然資源利用と社会集団・関係のヨーロッパ的な特性を、歴史学的な視点から扱う。
【授業計画】
・授業の方法
講義を中心とするが、その合間に小試験を行い、また学生の質問に応える時間もとる。
・日程
オリエンテーション(第1回) Ⅰ ヨーロッパにおける地域社会の形成(第2~6回) 1.農耕の起源と定住化 2.中世のヨーロッパ的家族制度の形成 3.ヨーロッパ中世の農村と都市 4.中世社会とキリスト教会 Ⅱ 近代における公共社会の形成(第7~9回) 1.近代国家と国民の誕生 2.市民的交流、メディアと結社 Ⅲ 工業化と環境問題(第10~14回) 1.近代農法と初期工業化 2.都市化と公衆衛生問題 3.工業化と環境破壊 まとめ(第15回)
【学習の方法】
・受講のあり方
この授業はグループワーク・プレゼンテーションなど学生が主体的に参加する学習活動を含みます。授業では中間で授業1回分を確保し、グループ毎に授業の内容を踏まえて調査と討論を実施し、調査の結果を発表してもらいます。 板書はあくまで説明のための補助手段である。言葉による説明を正確に理解し、それをノートに書き取る能力を高めてほしい。
・授業時間外学習へのアドバイス
ヨーロッパに関する本(歴史書に限らず)をできるだけ読んでほしい。また小試験の前にはノートで授業内容を確認すること。
【成績の評価】
・基準
中間試験(小試験4回)と学期末試験によって、講義の基本的な内容を理解しているか
・方法
中間試験(小試験)20点(1回5点満点)と学期末試験80点
【テキスト・参考書】
(参考書)E.A.リグリィ『エネルギー革命と産業革命』同文館
【その他】
・オフィス・アワー
火曜日 10時30分~12時10分 山崎研究室(人文社会科学部3号館4階)
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