初期村上春樹の世界(文学)
 Early Works of HARUKI Murakami (Literture)
 担当教員:森岡 卓司(MORIOKA Takashi)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 村上春樹の初発期における文学的営為を概説し、具体的なテクストの読解を通してその特質を解明することを目指す。
 本講義の題材としてとりあげるのは、作家本人によってその特質を《デタッチメント》と明言されるテクスト群であるが、実のところ、そこに見られるのは先行する世代の文学に対する批評意識である。本講義においては同時代作家の動向をも視野に収めつつその具体的な様相を探究したい。

【授業の到達目標】
 1970~80年代にかけての日本現代文学史の概略を踏まえて、現代文学を方法論的な見地から理解する態度を身につけ、授業を踏まえた分析レポートにそれを表現できる。

【授業概要(キーワード)】
日本現代文学 ポストモダニズム サブカルチャー 批評

【科目の位置付け】
この授業は、文化と社会について理論的に考察することで、健全な批判精神に裏打ちされた幅広い知識を習得するものである。

【授業計画】
・授業の方法
プリント資料とコンピュータスライドを使用する(スライド資料は非配布)。中間レポートの提示を求め(提出日については数週間前から予告する)、その講評を行う(提出レポートの幾つかは匿名で引用し、受講者にプリント配布する)。
・日程
1 ガイダンス
2 政治の季節 ―1960年代
3 1970年という断層
4 初期春樹評価の諸問題
5 1970年代以降の作家にとっての「言葉」と「世界」
6 『風の歌を聴け』における断章形式
7 『風の歌を聴け』におけるミステリの可能性
8 『風の歌を聴け』における〈物語〉の復活
9 『風の歌を聴け』におけるアイデンティティのゆくえ
10 中間レポートの解説
11 『1973年のピンボール』における「政治」と「聞くこと」
12 『1973年のピンボール』における「ピンボールマシン」
13 『1973年のピンボール』と「政治と文学」
14 『1973年のピンボール』におけるサブカルチャー
15 試験と解説

【学習の方法】
・受講のあり方
提示・配布された資料を利用して、自分のノートを作成する。
・授業時間外学習へのアドバイス
[予習のあり方]予告された回までに、テキストを読了すること。
[復習のあり方]ノートを整理しながら、レポート及び試験に備える。

【成績の評価】
・基準
中間レポートと期末試験、及び授業内提出物によって評価する。講義内容を筋道立てて論述する力と、それを応用する力を評価する。
出席点はない。
・方法
中間レポート30点、期末試験60点、授業内提出物10点。

【テキスト・参考書】
[受講者が購入すべきテキスト]村上春樹『風の歌を聞け』『1973年のピンボール』(何れも講談社文庫)
[参考書]加藤典洋『村上春樹イエローページ』、他授業内指示。

【その他】
・学生へのメッセージ
受講者に感想文を求めてはいません。文化的なテクストを分析する視点を身につけて欲しいと願っています。
・オフィス・アワー
水12:30〜14:00、他時間はメールでアポイントを取って下さい。

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