科学リテラシー(化学A)
 Water Science and Scientific Literacy (Chemistry A)
 担当教員:天羽 優子(AMOU Yuuko)
 担当教員の所属:理学部理学科
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義(一般)
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 水は,身近な物質であるにもかかわらず,未だに活発な研究が行われている。また,「健康にいい水」といったフレコミで水処理装置が販売されているが,かならずしも科学的根拠があるわけではない。この講義では,水の基礎的性質を正しく理解すること,そのために必要な科学の方法論等について解説する。

【授業の到達目標】
水を題材として,正しい科学的知識と出回っている宣伝にどの程度開きがあるか,これまでに出てきた「病的科学」にはどんなものがあるか,といったことを通して,科学的に考えるとはどういうことか理解すること。世の中に出回っている怪しい宣伝について、怪しいものであることを判定できるようになること。

【授業概要(キーワード)】
水,物理化学,科学の方法,ニセ科学

【科目の位置付け】
世の中に出回っているニセ科学言説に騙されないための基礎知識と考え方を身に付けることで、健全な批判精神に裏打ちされた幅広い教養の養成をはかるものである。

【授業計画】
・授業の方法
講義内容のプリントを配布し解説する。
・日程
1.高校までの化学の復習
2.水の基本的な性質
3.氷の結晶多型と相図
4.不規則な構造の取り扱い方。クラスレート。
5.ミクロな世界の物理。量子力学の紹介。
6.ニセ科学としてのマイナスイオン
7.水の電気分解(1)
8.水の電気分解(2)化学反応とエネルギー
9.水の電気分解(3)反応論
10.科学とは何か,病的科学・疑似科学とは何か。ポリウォーター騒動
11.常温核融合の顛末・ホメオパシー
12.レポートの書き方とテキストの読み方
13.だまされないための放射線の知識
14.ニセ科学を見分けるチェックポイント
15.低温の生物物理と生化学

適宜、ニセ科学の話題と注意点を講義中でとり上げる。
適当な時期に、期末レポートの課題と書き方を説明する回を入れる。

【学習の方法】
・受講のあり方
テキストを何回か読んで、講義中にとりあげるニセ科学の例にどのように適用できるか気を付けながらきいてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義の内容を元に、日常目にするテレビ、新聞、雑誌等に書かれている科学っぽい話に対して、疑いの目をもって見るように心がけること。この講義では,世の中にいかに科学的にみてデタラメな話が出回っているかということや,それをどうやって見抜くかということがテーマなので,そういう目で普段から新聞,雑誌,TV,いろんな企業の宣伝パンフレットなどを見る訓練をすることが,そのまま復習になります。
教科書は、レポート製作で使用しますが、少しずつ読み進めてください。

【成績の評価】
・基準
教科書を要約してニセ科学をチェックするためのリストを作り、それを使って宣伝中のニセ科学を判定できるようになったことが合格の基準です。

テキストの2章と3章の要約をまとめて、自分で見つけた科学っぽい怪しい話について、どこがどう怪しいか、テキストに沿って判定してもらいます。期末レポートの内容を見て、議論の筋道がきちんと押さえられているか、テキストへのあてはめができているかで評価します。
・方法
期末レポートの点数をそのまま成績とします。

【テキスト・参考書】
テキスト:食卓の安全学 松永和紀著 家の光教会
参考書:「人はなぜ騙されるのか—非科学を科学する」安斎 育郎著 朝日文庫

【その他】
・学生へのメッセージ
この講義内容が役立つとしたら,卒業後になると考えている。会社に就職して,上司から取り扱うように言われた製品がインチキなものだった,といったことはけっこう頻繁に起きている。卒業生の何人かは,業者を取り締まったりあるいは補助金を出したりする立場の公務員になるかもしれないが,そこでも真実を見抜くことが必要だろう。
・オフィス・アワー
何かあったらapj@cm.kj.yamagata-u.ac.jpまで。

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