物理学的なものの考え方(物理学)
 Think like a Physicist (Physics)
 担当教員:安田 淳一郎(YASUDA Jun-ichiro)
 担当教員の所属:基盤教育企画部
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義(一般)
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 この授業では,物理学の知識や問題解法ではなく,物理学の「概念」や「考え方」を学びます。
 これまで物理の勉強を公式の丸暗記で乗り切ってきたことに不安な方はいませんか?あなたの予想通り,丸暗記した問題解法が研究や開発など大事なときに役立つのは中々まれなことです。丸暗記から一歩進んで,速さや力などの物理概念がどのような意味を持つのか,物理法則が身近な現象とどう結びついているのかを深く理解してみましょう。そうすれば,あなたの持っている物理の知識はより役立つものになり,そして物理の本当の面白さがわかってきますよ。
 また,「物理って難しそう」とこれまで物理を遠ざけてきた方はいませんか?実は物理には,あらゆる学問分野の研究で使える「科学の考え方」を習得するのに特に優れている,という特長があります(科学の考え方を学ぶNHK教育番組「考えるカラス」で紹介される実験のほとんどが物理実験であることが,この事実を裏付けています)。この授業では,難しい数式はまったく使いません。物理の実験を通じて,科学の考え方を学び,将来の研究に備えてみませんか。

【授業の到達目標】
1. ニュートンの法則などの物理法則について概念的に理解する
2. 「数値の解釈」や「隠れた仮定への意識」など物理学の基本的な考え方ができるようになる
3. 直観の役割を理解するとともに,直観を洗練できるようになる
4. 科学的推論について理解し,実験を適切に計画できるようになる

【授業概要(キーワード)】
物理学,グループディスカッション,チュートリアル,科学的推論,ミニ研究

【科目の位置付け】
この授業は,物理概念の理解や科学的推論の習得によって,合理的な批判的思考力を養うものである。

【授業計画】
・授業の方法
授業の前半は,学生同士のグループディスカッションと,学生と教員の議論を組み合わせた「チュートリアル」という形式で進めます。授業の終盤は,グループディスカッションをしながら実験を計画する「ミニ研究」を行います。
・日程
第①回 オリエンテーション
第②〜③回 速さの意味(「速さ」とは何か,「隠れた仮定」とは何か,数値はどのように解釈すればよいのか)
第④〜⑤回 グラフと方程式の解釈(「加速度」とは何か,グラフや数式はどのように解釈すればよいのか)
第⑥〜⑦回 直観に反するような考え(「力」とは何か,「直観的な考え方」とは何か)
第⑧〜⑨回 日常的な感覚とニュートンの法則を合わせる(「運動の法則」とは何か,直観はどのように洗練すればよいのか)
第⑩〜⑪回 科学的推論(仮説演繹法と変数のコントロール)
第⑫〜⑭回 【ミニ研究】 科学的推論に基づいた実験の計画
第⑮回 総まとめおよび理解度認定

【学習の方法】
・受講のあり方
グループ演習形式の授業なので,チームワークが非常に重要になります。欠席すると,チームの雰囲気に影響しますので,すべての回に出席してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
チュートリアルで使うワークシートは事前にWebClassにアップロードします。また,物理未習の受講生には,事前学習用の資料を配付するなど,手厚くサポートします。

【成績の評価】
・基準
物理概念の理解に基づいた説明ができること,科学的な推論ができることを合格の基準とします。
・方法
1. 受講態度 (50%)「授業に積極的に貢献したか」などを考慮
2. ワークシート (30%)「文章が論理的に書かれているか」などを考慮
3. 期末試験 (20%)「正しい物理概念に基づいて説明できるか」などを考慮

【テキスト・参考書】
テキスト:University of Maryland, PHYSICS 121 Tutorials and Laboratories, Wiley (2006) の一部を和訳して授業で配布します。

【その他】
・学生へのメッセージ
この授業のテーマは物理ですが,多様な受講生に活躍の機会が用意されています。意外かもしれませんが,物理既習の学生よりも,物理未習の学生の方が柔軟な発想を持っていて,ディスカッションで活発に意見を出してくれたりします。
・オフィス・アワー
金曜16:30〜17:30。居室・連絡先などは初回の授業でお知らせします。

g83204005-2017-G1-79364